アメリカの地域航空会社の操縦担当、裕坊といいます。
合計6日勤務(そのうち初日は自宅待機)のフライトをこなし終えて、4日間のお休みをいただいています。
中国の旧正月(今年は2月1日だそうです)の休暇期間に重なるように、北京冬季オリンピックが始まります。
アメリカを始めとする西側各諸国が政府首脳の北京訪問を中止するなど、競技以外にも色々な波紋を残すオリンピックになりました。
実は競技にも影響があるようで…
オリンピック史上、初めて100%人工雪に頼るオリンピックになりそうなのだとか…
北京の中心部の緯度は、北緯40度線よりやや南。
アメリカの都市に当てはめると、中西部の代表的都市になるオハイオ州シンシナティであったり、
インディアナ州の州都、インディアナポリスとほぼ同じ緯度になります。
アメリカの中西部は、メキシコ湾などからの湿った空気が入りますし、五大湖に比較的近い地理的条件もあって冬は雪が降りやすく、
ちなみにこちらは、今週水曜日から木曜日にかけての降雪に関する天気予報の番組。
デトロイトを含めた中西部では、ここ2日間で平均20から40センチほどの積雪になって、
各都市で除雪に追われることになりました。
こちらは我が家の窓から見える風景…
各学校は3日間に渡って休校になっています。
昨日水曜日は家族全員予定が入ることなく、行事類も全て中止…
木曜日の朝になっての雪かきを頑張りました…息子くんが雪かき機を押すのを頑張ってくれたので、
裕坊は、外に止めたままになっている車の雪下ろし…
それでも午後になってまた降り続いた雪が、また10センチほど…
2日間でおよそ30センチほどの積雪にはなったものの、降雪量そのものは例年と比較してもさほど多くはありません。
アメリカ中西部と同等の積雪があれば、冬季オリンピックの開催は不可能ではないでしょうが……
北京は地理的条件からいって、非常に降雪が少ない都市…
温暖化云々以前に、恐らくスキー競技開催そのものが本来かなり困難だったはず…
スキー競技は人工降雪機に頼る以外には、方法がなさそうです…
ただプロのスキーヤーの方に言わせると、人工雪だとどうしてもアイスバーンができて転倒に繋がりやすいのだとか…
政治的な問題もさることながら、参加選手の方にはぜひ怪我なく競技を終えていただきたいです。
先週の日曜日から勤務が入る予定だった裕坊。東海岸地域のニューヨーク、ボストン付近などでは週末からブリザード級の暴風雪が吹き荒れ、
東海岸地域を行き交う航空便は、正味2日間に渡って全便が欠航…
ニューヨークを基点とする担当便が多く入っていた裕坊のスケジュールは、全面変更になり、
初日は結局自宅待機…
シカゴ経由でミネアポリスへと向かうことになって、出勤することになりました。
雪が多いこの時期の風物詩といえば、地表面の除雪作業に、機体の除氷作業。
滑走路に積もった雪は着陸時の飛行機の減速の妨げになるので、除雪隊が一気に除雪していきます。主要空港ともなると、10台連なっての除雪という圧巻の大部隊…
そして飛行機の除氷部隊がこちら…
主要空港では専門の除氷作業隊が待機しているのですが、地方空港だと荷物の積み下ろしなどを担当する地上係員が、兼用で作業をすることがほとんど。
主翼などに氷が張り付いたままだと、設計上の揚力が生まれず、機体を空中へと送り出すことができないので、氷の除去作業は済ませておかないといけません。
除氷に使われる液体は用途に応じて色分けされていて、氷を除去するのは大抵オレンジ色で、主成分はグリコール。
降雪が続いている時などは、離陸滑走の際に主翼に積もった雪を払い落とすための、『防氷』の液体もかけておきます。
第4種と呼ばれる液体が使われることが多く、緑色になっていて見分けがつきます。
飛行機を除氷作業専用車が取り囲んで、液体を次々にかけていく風景を見るのは、冬ならではの風物詩。
ちなみに以前の除氷用トラックといえば、トラック運転と除氷作業が全く別個になっていたのですが、
最近では、ゴンドラからトラックの運転と除氷作業を同時に行えるタイプもお目見えするようになりました。
人手が不足がちな地方空港における主役になりつつあります。
そしてこちらが、先日のシカゴ・ミッドウェイ空港における作業中の一コマ……
除氷用の液体が噴霧されている写真を撮った直後に…
69名仕様の飛行機に、満席のお客さまをお迎えしていて…
機内が全消灯……
こんなお客さまも、いらっしゃったかも知れません……
飛行機には地上にいる際、電源を取ったりエアコンを効かせたりする第3エンジンがあるのですが、その吸気口に除氷液が入って第3エンジンが自動切断してしまっていたのでした…
旅客機では、第3エンジンは機体最後方に据え付けられています。
蓋を下から開けてみると、こんな感じ。
基本的にはジェットエンジンと同じ仕組みです。ただサイズが小さいので、飛行機を動かす動力となる推力までは生み出すことはできません…
第3エンジンが使えないとなると、ジェットエンジン立ち上げに必要となる圧縮空気が送れなくなるので、
仕方なく地上設備を使ってのエンジン発動となりました…
目まぐるしくスケジュールが変更になり、実は最後までバタバタだった6日間…
自分へのご褒美…
和牛バーガー…
この勤務の最後の担当便の出発前の風景…
アラスカ航空の特別塗装版…鮭のようにも見えるのですが、何のお魚なのか、よう分からん…
降雪の警報が発令になる前に帰宅して、今もシンシンと雪が降るのを眺めながら、しばらくゆっくりしています。
次回は日曜日出勤。またも6日連勤です。