Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊日記(5月6日)

米国航空会社で副操縦士を務める、裕坊です。

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暖冬で記録的に雪が少なかった今年のミシガン州。まだひんやり感が残ってはいるものの、クラブアップルと呼ばれるリンゴの木もしっかりと花を咲かせて、やっと本格的な春になりました。

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桜の木によく似た性質を持っていて、花が咲くのはおよそ1週間ほど。4月の後半がミシガン州では1番見頃の時期になります。
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そして5月に入ると……

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裕坊は半年に一度の航空身体検査。

 

アメリカの航空身体検査は、健康優良児でいる限りそれほど緻密にはなりません…
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尿検査に始まり、血圧、脈拍、あとは視力検査など。

 

今月54歳になる裕坊は、やや老眼が進行中…

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小さい文字を識別するのにちょっと苦労…ただ最近ユーチューブなどで紹介されている老眼トレーニングをしていたおかげか、何とか今回も裸眼のまま乗り切りました…
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40歳を超えると課されるのが年に一度の心電図。そちらも問題がなければあとは聴診器を何度か当てて、

 

異常がなければ身体検査証が発行されます。早ければ10分とかからないアメリカの航空身体検査。

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基本診察料に加えて、心電図に別途料金が課されるので、支払いは275ドルでした…

 

 

ちなみに自費です……

 

 

そして毎年必ず1度はやってくる、パイロットの年次更新研修。パイロットの技量や知識を一定以上に保つための研修なのですが、内容や頻度は各航空会社が連邦航空局の地方事務局と折衝した上で決められます。機種によって若干異なりますが、デルタ航空の場合は3ヶ月ごとに座学を受講、そして9ヶ月おきに実技訓練。

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各社ともタブレットを使ったオンライン講習の導入が本格的になり、実地での座学を受けることはほとんどなくなりました。

 

裕坊が乗務するボーイング717型機の場合、研修項目は13。オンラインで先月全て受講完了…
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そして昨年9月の研修終了からほぼ9月が経過し、やってくるのが実技訓練。

 

裕坊の場合6月が研修月に相当するのですが、1ヶ月前倒しするのも1ヶ月遅らせるのも、我が社の場合本人の自由。

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裕坊は敢えて1ヶ月前倒しして、5月末に訓練を受講することを選択しました。

 

本社第3ビル内はほとんどが実技訓練用のシミュレーターで占められていて、実技訓練はこのシミュレーターを使って行われます。本社アトランタ以外にも施設があり、一部はマイアミにて実施。

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裕坊が乗務するボーイング717型機は、3基のシミュレーターがアトランタにあります。
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研修受講時は操縦実技だけでなく、緊急用装備品の扱いもおさらい。
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対象項目になるのは消火器、酸素マスク、救命胴衣、搭乗口や非常口の扱いなど…
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そして裕坊がもう1つ始めるのが、飛行教官の更新研修。こちらもオンラインによる自主学習が主流になってきました。
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アメリカでは航空会社のラインパイロットとして採用される条件の1つに、総飛行時間というのがあります。多くのところでは1,500時間…その飛行時間を取得する手段として多いのが、飛行教官として軽飛行機に乗りながら学生を教授し、自らも飛行時間を稼ぐという方法。裕坊はフロリダ州のフライトスクールで、約15名の学生に携わってきました。
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通常のパイロットライセンスには期限がないのですが、飛行教官の場合その職業柄、2年ごとの更新が義務付けられます。

 

航空会社のラインパイロットとして乗務するようになると、学生相手の教官としての機会はほとんどなくなります。そんな時によく使われるのが、パイロット用の教材を発行する会社や、フライトスクールによるオンライン講習。
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こちらはコロナ禍前から既に広く普及しています。

 

裕坊もこのやり方で17年間更新し続けてきました。8月の期限までに、こちらも13項目で構成される自主学習をこなします。
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パソコンやタブレットさえあれば、どこでも学習可能なのは助かるのですが、
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航空界全般に項目が分散するので、中身が濃い……
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本業ももちろんこなさなくてはいけません…

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先日の勤務では、かつて勤めた地域航空会社の本社があるミネアポリスも訪問しました。
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ミネアポリスは真冬になるとマイナス30度を記録することもある極寒の世界とあって、ビル間を外の縛られるような低音に晒されることなく移動できるように、スカイウェイと呼ばれる渡り廊下が至る所に張り巡らされています。
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霧の中のフライトも多いのが、この時期の特徴…

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最終日は定時での終了でした。

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しばらくお休みをいただき、友人を訪ねて西海岸へと訪れる予定にしています。