Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、5日間のフライトから帰宅

アメリカの地域航空会社で小型旅客機に乗っている、裕坊といいます。

f:id:Yuichibow:20210330012942j:image

先週の日曜日から始めていた5日勤務のフライト、バタバタとこなして終わり、木曜日の午後に帰宅してしばらく休日をいただいておりました。

 

その5日間のうち、2日目から4日目まではアトランタを拠点に行ったり来たり。

f:id:Yuichibow:20210327041501j:image

こちらは出発前の、外部点検の時に写した一枚。誘導路の反対側に止まっている飛行機も、ほとんどがデルタ航空の塗装を纏ったものばかり。

 

アトランタ・ハーツフィールド・ジャクソン国際空港は、1998年から2019年にかけて22年連続で単体の空港としては旅客数が世界一(1都市として世界一乗客数を誇っているのは、イギリスのロンドンだそうです)デルタ航空の最大拠点空港となっています。アトランタ空港を発着する旅客便のうち、デルタ航空が管轄する旅客便が8割を占めているそうです。

f:id:Yuichibow:20210327041504j:image

2020年はコロナウィルスの感染拡大の影響をもろに受けて、乗客数も激減……その世界一の座を、とうとう中国の広州白雲国際空港へ譲ることになりました。ただアメリカ全体での旅客機利用の乗客の戻りの勢いは凄まじく、全米での旅客機利用者は2週間連続して100万人を超え、この日曜日などは157万人を記録して、コロナ禍以降での過去最高(1月3日の132万人)をいとも簡単に更新……コロナウィルス対策に疲れ果て、旅客航空会社だけでなく、全てをコロナ禍前の日常へと戻そうと躍起になっているアメリカ合衆国

 

その分、コロナの陽性診断数も急激に逆戻りしています…

f:id:Yuichibow:20210329143648j:image
ミシガン州でもぶり返しは大きく、一時期は3桁台で推移していた陽性診断数が、先週はとうとう6千近くを記録するまでになってしまいました……コロナ感染もさることながら、病院などの医療機関への負担がかかっていないことを祈るばかりです…

 

最近報道が目立つようになった、アジア人を狙ったとされる人種差別的ヘイトクライムアトランタでも連続襲撃事件などが起きて、ニュースの一面を飾ってしまいました。

f:id:Yuichibow:20210329153605j:image

ここが連続襲撃事件の現場となった、アトランタのマッサージスパ。30年ほど前にロサンゼルスで起きた暴動のことを思い起こさせるような事件でした……人種差別的な潜在意識も犯行の動機にはなったのかも知れませんが、ロス暴動の時と同様、根底にあるのは貧困のような気がしてなりません……

 

国内総生産額では堂々の世界一を誇り、1人当たり国内総生産額でも、常にトップ10にあり続けるアメリカ合衆国

f:id:Yuichibow:20210329172646j:image

ビジネスで大成功を収めされすれば、アメリカンドリームを掴むことも可能…

 

ハワイ・オアフ島のカハラ地区に代表されるように、小高い丘の上に大理石で固まれた豪邸を建て、
f:id:Yuichibow:20210329172708j:image

 

プールサイドでのんびりカクテルを味わいながら、
f:id:Yuichibow:20210329172633j:image
f:id:Yuichibow:20210329172641j:image


眼下に海を見下ろすことだって可能。
f:id:Yuichibow:20210329172655j:image
f:id:Yuichibow:20210329172705j:image

アメリカンドリームという、夢物語を垣間見ることもできる一方で……

 

 

もう片方のアメリカに目を向けてみると……

 

 

廃れた町も、あちこちで点在します…

f:id:Yuichibow:20210329233210j:image

 

ラストベルトという言葉に象徴されるように、鉄鋼、石炭、自動車産業などの空洞化によってアメリカの中流階級が軒並み没落して、f:id:Yuichibow:20210329233219j:image

 

かつて繁栄していた町が廃れ、荒廃した町をあちこちで見かけることも珍しくないというのが悲しい現実…
f:id:Yuichibow:20210329233144j:image

 

それを象徴的する町の1つが、ペンシルベニア州のアランタウン。
f:id:Yuichibow:20210329233225j:image

 

鉄鋼産業で栄えた町の面影が消え去り、荒廃した街並みだけが残って、
f:id:Yuichibow:20210330003935j:image

f:id:Yuichibow:20210330003658j:image

 

ビリー・ジョエルによる歌にまでなりました。
f:id:Yuichibow:20210329233157j:image

 

一時は裕坊の会社でも、アランタウンに宿泊滞在の時には、荒れ果てたダウンタウンの真っ只中のホテルに宿泊していた時期があり、その当時は外出自粛の警告が出ていたほど…

f:id:Yuichibow:20210329233201j:image

 

こちらはニューヨークのクイーンズ地区。
f:id:Yuichibow:20210329233150j:image

大リーグ、ニューヨーク・メッツの本拠地があるのは、クイーンズの北側。ラガーディア空港からですと、車で5分とかからない立地にあります。クイーンズは特に貧困の激しい地区ではないのですが、

 

低所得層の家族が何世帯か集まって、狭い住宅を共有しているケースも少なくなく、
f:id:Yuichibow:20210329233154j:image

昨年のニューヨークにおけるコロナウィルスの感染爆発の一因ともなりました。

 

アメリカンドリームを手にすることができるのは、ほんのひと握り…上位1%の富裕層の総資産が、アメリカの富の80%を独占しているという現状を改善することがまずは先決、に裕坊は一票。
f:id:Yuichibow:20210329233214j:image

ちなみに世界的には、超富裕層1%の総資産額が、残る99%の人口の資産の合計額に匹敵する富を独占しているらしいです……これも尋常ではない、というほかありません…

 

本人たちの努力や世の中に対する貢献度によって、ある程度の格差ができる社会は必要だと思います。

f:id:Yuichibow:20210330004357j:image

努力が報われる仕組みは、世の中の繁栄には必要不可欠。ただそれには、現実的な格差の維持、というものも必要でしょう。

 

夢のアメリカが実現している一方で、

f:id:Yuichibow:20210330004350j:image

 

こういった貧困が、手付かずのまま放置されているのも、また同じアメリカの現実…
f:id:Yuichibow:20210329233147j:image

 

これらが当たり前のように同じ国の中に同居しているのを見るにつけ、これが世界で一番繁栄しているとされる国の現状とは到底思えないのです。
f:id:Yuichibow:20210330004347j:image
ヘイトクライムは、そもそもはこういった現状に深く根ざしていて、それを改善することが一番の近道のように思えてなりません。

 

一部の大企業に重役クラス、そして政治家たちが大きな影響力を握り、さらには自らをさらに富める仕組みを確立してしまっているので、現実は簡単ではないのですが…

f:id:Yuichibow:20210330012019j:image

 

コロナウィルスの感染拡大が、社会の仕組みの歪みを炙り出したように、
f:id:Yuichibow:20210330012558j:image

f:id:Yuichibow:20210330003135j:image

 

ヘイトクライムでも、アメリカを蝕む社会の現状が如実に示されているのではないか、と思います。

f:id:Yuichibow:20210330012445j:image
f:id:Yuichibow:20210330012441j:image

現実は簡単ではないです。ただ、この現状が少しでも改善される社会の仕組みの構築を、心から願いたいです。

 

持ち運びができる食材を、ちょっとだけ手に入れて……

f:id:Yuichibow:20210330012715j:image

 

 

 

火曜日の午後に、次の4日勤務のフライトへ出勤です。