Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、帰宅

米国で国内線中心に小型機を操る、裕坊と申します。こんにちは。

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6月から2ヶ月間連続で務めた、交代要員、欠員補充要員の役割、こなし終わりました。今日月曜日がそのスタンバイ要員としての締めくくりの日。

 

前日は飛行機の操縦席に忘れ物をして、客席搭乗の便を1つ遅らせざるを得なくなり、当初の予定から3時間遅れて、ミネアポリス入り……

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それでもホテルでの滞在が14時間取れたので、ゆっくり休むことはできました。

 

今朝のミネアポリスは、雲一つない快晴のお天気。

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ミネアポリスは森に囲まれたという表現がふさわしいくらい、緑の多い町。

 

古くからのプロジェクトで、既にミネアポリスの町全体の3割が森で覆われているという「森の町」。
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冬の厳しさが半端ないことでも有名なのですが、夏の間に見られる景色は壮観そのもの……裕坊の年次研修も今の時期にあるといいんやけどなぁ〜。ちなみに裕坊の座学は毎年12月で、シミュレーターは毎年2月……

 

ただ座学は、我が社でもどうやらオンラインへの完全移行がほぼ決まりそうな感じです……

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受講する側も、移動する手間が省ける上に、インターネット環境が整っているところであれば、どこででも受講ができる利点があります。会社にとってもホテル代が節約できるので、お互いウィンウィン。ただフライト訓練は、実機を使わないにしても、最低限シミュレーターを使わないことには訓練のしようがないので、こればかりは置き換えはできそうもありません……

 

今朝月曜日は、午前7時の送迎シャトルにて、空港へと出発。
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シャトルには1番乗り。

 

中に乗ってみると、
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お互いの距離を確保できるように、わざわざ一部の座席にロープなどが張られています。

 

今朝は一般の宿泊客の方も大勢乗ってこられて、ほぼ「満員」でした。
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今日のミネアポリス、太陽がとっても眩しい、気持ちのいいお天気。

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担当は8時25分発、ミシガン州グランドラピッズ行き。出発ゲートはC12。
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ミシガン州グランドラピッズからの到着は、ちょうど正午。到着ゲートはC12。

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同じ景色です。全くの同じ景色です………ただほんの少し違いもあります………間違い探しをしてみると………

 

雲がほんの少し増えてます……

それと影の角度が、ほんの少し変わってます……

太陽が少し動いた後なので、ターミナルの建物に下の写真では、陽が当たっておりません……

また到着後の折り返しに1時間半の空きがあるので、まだプッシュバック用のカートも到着しておりません……

 

 

リザーブ』と呼ばれるスタンバイシフトは、今日にて終了……

 

 

ただ来月度の開始は、実は我が社の場合ちょっと変則パターン。8月度の初日は実は7月30日で、既に7月30日にはフライトが入っているので、裕坊の今回の休日は2日。これは今の航空旅客需要にかなりの影響を受けています。無理やり経済回復を試みたアメリカでも、まだまだ航空旅客需要は弱含み……

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基幹路線といえども乗客数が50名に届かないことも珍しくないので、本来であれば150席平均のデルタ航空本体の機体が担当する路線に、76人乗りの小型機が投入されたりするなどで、リージョナルジェット機の稼働率が親会社デルタ本体を上回るという、歪な現象が起こっているのです。

 

そんなわけで、この時期裕坊の仕事が増えているのは、リージョナルジェット機が現在の需要に「たまたま合致している」ということに過ぎません……8月に今年の需要が頭打ちになることが予想されていて、中には既に減便になっている路線もあります。恐らく裕坊自身も、9月以降は担当のフライトが減るものと思っています……

 

最近乗っていて気になるのは、「ビジネス需要」が目に見えてはっきりと減っていること。旅客航空会社というのは、会社の運営形態でもって利益の根幹をなす部分にそれぞれ違いがありますが、デルタ航空のような老舗の大手にとっての利益の根幹をなすのは「ビジネス利用」。

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7月4日の独立記念日や年末年始などの一部の時期を除くと、平常時であれば写真のようにスーツに身を固めたビジネスマンが、ファーストクラスに座る姿をかなり見かけるのですが……

 

今現在は、そういった方を見かけることがほとんどなくなってしまいました……

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オンラインツールがここ最近急速に普及し始めて、在宅勤務が広く導入されるようになったり、インターネットを通した会社同士の交渉などが、急速に普及してその影響を受けているかも知れません。


デルタ航空エドバスティアンCEO(最高経営責任者)は、先日の第2四半期の決算発表の中で、航空旅客需要の本格回復には、最低でも2年を要するだろうと述べていましたが、
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ビジネス需要が昨年並にまで回復するかどうかは未知数。ビジネス需要が回復しない場合を見越して、新しいビジネスモデルを探求する時期が訪れているかも知れません。

 

むしろ対面交渉が必要ないのであれば、ビジネスマンにとってみれば、インターネット環境され整えばどこからでも仕事をすることが可能になりますので、
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バケーションとビジネス環境の提供をセットにしたパッケージなどを販売することも可能になるはず。アイデアを出して、いかに航空会社にとって厳しい環境を生き延びていくか……知恵の出しどころかも知れません。

 

ちなみにデルタ航空の第2四半期決算は、57億ドル(日本円でおよそ6,200億円)の赤字でした。

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売上額ベース(14億7千万ドルの収益)で昨年同期比88%減。

 

その中でも影響がとりわけ大きかったのは、やはり旅客収入でこちらは前年同期比94%減。
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昨年までは利益のうちの約7割を、自社株買い戻しに当てていたデルタ航空内部留保が極端に少なく、現金枯渇が異常なまでの速さで進んでいましたが、日計算での赤字額は1日平均で2,700万ドル(およそ30億円)まで圧縮することができているそうです。さらには150億ドル相当(およそ1兆6,000億円分)の現金確保もできましたので、当面の間は倒産危機を回避することができそうです。

 

デルタ航空は、最近まで中南米、西ヨーロッパへの拠点拡大、足掛かりを作るために、チリに本社があるLATAM航空の株買い増しをしたり、
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イギリスのバージンアトランティック航空などの株買い増し(いずれもそれぞれ49%の株を保有しています)をしていたのですが、
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そちらも残念ながら、大きな重荷になってしまいました。その2社の株保有だけでも、20億ドルの損失を計上……アメリカの4大手の中でも、損失は最大を記録することになってしまいました。財務状況が急速に悪化しているアメリカン航空でも、第2四半期の赤字額は25億ドルでしたので、結果的に純損失は倍以上……航空会社の投資の難しさを浮き彫りにしています。

 

ところで、7月に入って体調を崩し、コロナウィルスに感染していると診断されていた時の人、ブラジルのボルソナロ大統領。
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最近の検査で陰性と診断され、一時自己隔離に努めていた大統領府を、颯爽とバイクに乗って後にしてしまいました……マスクの着用を拒否するために、マスク拒否権をめぐって裁判まで起こしてしまう「マスク超拒否派」。

 

親分格のトランプ大統領ですら、ここにきてマスク着用を国民に勧めるようになっているというのに……
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そして二言目には「コロナはただの風邪」……

 

ただの風邪なら、葛根湯なり抗生物質なりを飲めば大抵治ります。インフルエンザでもタミフルやアビガンを服用して安静にしていれば、かなりの確率で治癒します。けれどもコロナウィルスは………それ自体が肺全体を繊維化させたり血栓の原因になるというのに………

 

ブラジルの方が、本当に気の毒です……最近の報道の中には、それでも支持率上昇とありましたが、恐らく政府系の新聞による報道と思ってほぼ間違いないです。どうか、これ以上ブラジルの状況が酷くなりませんように……