アメリカの中西部を中心に、短中距離路線を小型機で飛んでいる、裕坊といいます。こんにちは。
水曜日、木曜日と2日間のお休みをいただいて、金曜日から5日勤務のフライトへ出勤です。
出勤前に今日はちょっと散髪…
車で5分ほどの近所の美容院で、散髪にかかる時間も5分ほど……
アメリカでの男性の散髪というと、バリカンで全部を簡単に済ませてしまうか、後ろと横をバリカンで短くして、前とてっぺんを揃えるか、が一般的なのですが、
それをこの時期にやってしまうと、裕坊は確実に風邪を引くので…
ハサミで全部を揃えてもらって、
これが裕坊の理想…………似た仕上がりになった…………………
はず……………
我が家に帰ってきて、アイロンがけを済ませて……
本音を言うなら、クリーニング屋さんで綺麗に仕上げて欲しい……
でも現実には、クリーニング屋さんが近くにない……
気を取り直して…
今日1月14日(木)、デルタ航空の2020年度の収支会計が発表になりました。その概要を探ってみると、
・年間での概算赤字額総計:156億ドル(日本円:およそ1.6兆円)
・年間売上総額:159億ドル(日本円:1.63兆円)(対2019年度:66%減)
・2020年度末での、現金を含む資産合計額:167億ドル(日本円:1.7兆円)
年末年始の休暇中は、全米での航空機利用者は連日100万人を突破し、休暇最後の日となった1月3日(日)には、全米で132万人の利用者を記録。コロナ禍以降としては最高の人出となったものの、その後は利用客がかなり落ち込み、火曜日と水曜日はそれぞれ50万人台で推移。
これは先日の2日勤務での、デトロイトからワシントン・ダレス空港へと出発する前の1コマ。国内線ターミナルでは、活気をそれなりに取り戻したような錯覚に陥りそうになるのですが、その実情を探ってみると赤字状態はまだ続いているそうです。しばらくはまだ辛抱……
1日当たりの赤字額は、2020年12月末で平均1,200万ドル(日本円:12億4千万円)
昨年3月中旬のコロナウィルス拡大感染初期においては、1日当たりの平均赤字額は1億ドルを超えておりましたので、資産枯渇のペースはかなり改善しています。
デルタ航空の保有機材の整理も、昨年はかなり推し進められることになりました。長年アメリカの航空機製造メーカーの旅客機だけを保有していたデルタ航空でしたが、最近ではエアバス社製の機体への移行がかなり進んでいて、それがコロナウィルスによる航空旅客激減を受けて、さらに加速することになっています。
写真は最大で18機を所有していた、旅客機の最長不倒距離を誇るボーイング777型機。
ロサンゼルスーシドニー間、アトランターヨハネスブルグ(南アフリカ)などの超長距離路線ですらやってのける航続距離(15,000キロ)を誇ったボーイングの顔の1つとも言える旅客機は、昨年全機退役。
国際線主役の座は、最新鋭のエアバス350型機に譲ることになりました。
そしてもう1つの顔でもあった、通称『マッドドッグ(Mad Dog)』こと、マクドネル・ダグラス社製のMDシリーズ。
かつて日本エアシステムで活躍していたMD−90型機も16機加わって、MD−88型機とともに一時は最大保有機数を誇り、デルタ航空の顔として君臨した時期もありました。
胴体後方にエンジンを搭載する独特の形をしたこの機体も、昨年6月に全機が退役。エアバス320型シリーズ旅客機に全機の置き換えが完了しています。
そして今後の退役予定機材の中には、裕坊が勤めるエンデバー航空の使用機材のうち、モノクラス50名仕様のCRJ−200型機も入っています。
発表されている退役予定時期は、2023年末。
CRJシリーズの中でも天井が低く、大柄なアメリカ人はずっと屈んでいないといけない狭い機内……
しかもデルタ航空が管轄する機材の中で、唯一ファーストクラス座席がなく、Wi-Fi接続のサービスもないなど、不人気の代表機種。そんなわけで、元々コロナ禍以前から退役はずっと検討されておりました。
ところがここに来て、10機の増機体制で臨むことに。それに伴う社内の配置換えも発表されました。
増員になるのは、エンデバー航空の本社があるミネアポリス。CRJ−200型機の機長が62名、副操縦士が58名増員されることが決まりました。
もちろん、これは一時的な措置。
そのカラクリになったものといえば、親会社であるデルタ航空の、会社とパイロット組合の契約事項。
実はアメリカの航空会社とパイロット組合間の契約には、スコープ・クローズ(Scope Clause)というのがあり、
これには下請け、或いは契約先の担当便に関する細かな規約が記載されていて、子会社である私たちエンデバー航空の担当できる旅客便に関しても制限が加えられています。
三菱航空機が開発している新しいリージョナルジェット機、スペースジェット(現在、開発は中断中)。こちらも2つの形式証明の同時取得を目指して開発が進んでいましたが、
その原因になったのもスコープ・クローズ。元々の開発機ですと離陸制限重量が規約を超えてしまうことを受けての、苦肉の策でした。
今回の制限の対象になったのは、デルタ航空本体の総旅客便数に対する、子会社もしくは契約先の小型機の担当便数の割合が一定を超えない、というもの。
旅客需要の減少に応じて、本来であれば100名以上の客席数を持つデルタ航空の旅客機が担当するところ、小型機専門のリージョナル航空機に置き換える措置がかなり進んでしまい、この規約に抵触する場面が散見されておりました。
ところがこの割合の規約に含まれるのは、ファーストクラス座席が配置される旅客機のみが対象で、モノクラス50名仕様のCRJ−200型機は制限の対象外……
2年後の2023年末には既に全機退役が決まっているCRJ−200型機に、白馬の矢が一時的でありながら立つことになりました。早ければ、3月中の配置のようです。元々需要が少ない地方路線を中心に配置されますので、生き残りをかけるデルタグループ全体にとっても渡りに舟。航空会社のサバイバルは、これからも続きます…
明日お昼頃に、5日勤務のフライトに出勤です。