Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊日記(2024年5月)

米国航空会社に勤務する副操縦士、裕坊です。

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写真は、裕坊が入社依頼ずっと乗務しているボーイング717型機。

 

元々の開発はマクドネル・ダグラス社で、DC-9型機の派生型の1つです。当初はMD-95型という機種名で市場に投入される予定でした。
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ところが初導入になったのは、ボーイング社によるマクドネル・ダグラス社の吸収合併後。そのためボーイングの冠名をつけた上で投入されることになりました。

 

ボーイング717という名称そのものは、写真にある米空軍空中給油機(ボーイング707型旅客機からの改造機)の型式名称だったのですが、

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米空軍ではKC-135という正式名称が採用され、B717は実質空き番号のような形になっていました。
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というわけで、ボーイング777型機の市場投入より後になったにも関わらず、

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結局この旅客機をB717と呼ぶことになったという経緯があります。ただ生産期間は短く最終生産は2006年。最終生産機ですら機齢は既に18年。客席数がほぼ同じで市場が重なりながら、旅客機としては最新鋭のエアバス220型機などと比較すると、古さが否めない機体になっています。

 

昨年の6月には、ノースカロライナ州のシャーロット空港へと向かっていた機体が、機首脚が降りずにそのまま機首を擦らせた上での着陸などの事象も発生。

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事故詳細調査は現在も続いていますが、どうやら機首脚を飛行中上げたままの状態で支えておく留金の金属が一部で腐食していたらしく、機首脚の動きが制限されたいたようです。

 

事故調査こそ一通り落ち着いたものの、その後の修理までの間運用から外れていましたが、
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既にそれも終わって、路線へも復活。

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先日裕坊が担当した、シャーロットからデトロイト行きの機体になっておりました。実はこの日は5日間勤務の最終日。
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その5日間勤務の中では、テネシー州チャタヌーガに長時間滞在しておりました。
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人口およそ18万人と、町の規模自体は大きくはないので、空港もややこぢんまりとしています。

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フォルクスワーゲン社の米国内初の工場をチャタヌーガ市内に抱えていることから、空港内には現地生産の代表モデルであるパサートが展示されています。
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チャタヌーガの有名な観光地といえば、ルックアウトマウンテン。市内の中心部からだと、車で南西におよそ15分の距離にあります。

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山という名をつけられながらも、実際には高所の台地のような地形をしていて、1番高いところでも標高は海抜700メートルほどしかありません。かつて南北戦争の戦場となった歴史もあります。

 

麓からはケーブルカーで “山頂“ へと向かうこともできます。およそ10分ほどで “頂上“ へと到着するケーブルカーの最大傾斜角はというと…
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72.7度だそうな……
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乗車中は、決して車外には出ない方が良さそうです…

 

もちろんこれだけの急斜角ですので、ケーブルカー自体が全区間を自走できるはずもなく、動力源はロープウェーと基本同じ仕組みで、
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線路中央に敷かれたロープによる牽引式となっています。

 

お天気の日の頂からの眺めは間違いなく最高で、

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見晴らしがいい時などは、一度に7つの州(テネシー以外に、アラバマジョージアサウスカロライナノースカロライナ、ケンタッキー、バージニア)を拝むことも可能。
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お天気さえ良ければ訪れたかったのですが、


あいにく当日は雨のお天気…
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市内に留まって、市街地を観光しておりました。

 

チャタヌーガのもう1つの観光の目玉といえば、こちらテネシー水族館。1992年開業当時は、淡水生物のみの展示だったそうです。

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現在でも、淡水生物の展示館としては世界最大級。常時使用されている水量、なんと150万リットルにもなるのだとか…

 

奥に見えるのが海洋生物の展示館で、こちらは2005年に開業しました。
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チャタヌーガ市内の北側に位置し、テネシー川沿いにあります。
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チャタヌーガといえば、かつては鉄道の要衡都市の1つでもありました。現在はアムトラックなどの運行はありませんが、駅舎は観光名所の1つとして残されています。
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当時の名残を残す駅舎は煉瓦建て。

 

厳かな雰囲気は当時のまま残されていて、天井が高さはシンシナティ駅やカンザスシティ駅とも似ています。

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駅舎の裏側へ行くと、当時の鉄道車両が展示されていて、
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レストアされた寝台車を使ってのホテルなども営業されておりました。
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駅舎内は、一部レストランとしても営業されていて、
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遥々デトロイトから前日に合流した愛妻ちゃんと共に、こちらで夕食をいただいておりました。
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ここのレストランの売りは、なんと言っても新鮮食材。特に野菜類は産地直送物に限定していて、全てが採れたての新鮮素材。
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しかもボリュームがすごく、このサラダなどは1つの注文を2皿に分けてもらった上で、まだこのボリューム。

 

それぞれビーフ丼に、
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ポケ丼とを注文したのですが、到底食べ切れる量などではなく、
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ほぼ半分以上、お持ち帰りと相成りました…

 

満足感の高いこのレストランの名前は、

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STIR。面する通りから向かって、右側にあります。

 

別名チューチュー(Choo  Choo)とも呼ばれるこの駅舎は、水族館とは反対側で市内の南に位置し、水族館からだと徒歩30分ほど。

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もしラクに移動したいのであれば、無料で乗車可能な小型バスによるシャトルでの移動がオススメ。
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車内は向かい合わせで座る仕組みになっていて、市内を南北に結んでいます。
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チャタヌーガそのものは、テネシー州ナッシュビル(北米日産の本社が近くにあります)とアトランタのほぼ中間に位置していますので、この2都市間を移動する用事がある時などは、チャタヌーガで1泊2泊してみるのもいいかも知れません。

 

 

 

また6月にお目にかかります。