Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、帰宅

 アメリカの地方航空路線を飛ぶ、小型旅客機担当の裕坊といいます。こんにちは。

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日曜日からの5日間のフライトを終えて、今日木曜日の午後帰宅しました。

 

昨日4日目の最終目的地になっていたのは、『5つの季節がある町』という別名が付けられている、アイオワ州第2の都市シーダーラピッズ。

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入社当時、50人乗りのCRJ−200型機に乗務していた当時は、デトロイトからもメンフィスからもよく訪れておりました。

 

「5つの季節がある町」のオブジェが街に飾られ、

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市庁舎と郡庁舎が、シーダー川の中洲になっているメイズ島に浮かぶ町。
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東欧からの移民の方も多いのか、チェコスロバキアからの移民の2世、3世たちが寄り添って作り上げたという国立チェコスロバキア博物館なんかもあります。
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街にはチェコ村などもあり、チェコの伝統の品や食材なんかも買えるんだそうです。
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ただ町の中心を流れるシーダー川(ミシシッピ川の支流の1つにもなります)は規模が大きく、たびたび洪水を起こしていて、
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中でも2008年に起こったアイオワ州大洪水では、ミシシッピ川の支流にあたるアイオワ川から、さらにその支流にあたるシーダー川で大氾濫……
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ダウンタウンまでもが大洪水になったこともありました。その後も、2008年ほどの規模にこそなっていないものの、たびたび氾濫を繰り返しています。
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こちらは橋の下にかかる川のようにも見えますが、実際には陸橋の下をくぐり抜けるダウンタウンの通りの1つ。
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この時は当然のことながら、シーダーラピッズ空港も全面的に閉鎖になり、数ヶ月間にわたって旅客便も全便欠航になる事態に……この洪水の現地視察のために、当時のアメリカ大統領だったジョージ・ブッシュ氏も現地を訪れたそうです。

 

一部では、復旧に3年以上の歳月がかかったところもあったのだとか……
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ですので、シーダーラピッズでは、10年を超える治水計画で、現在も水害対策が進められています。

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50人乗り仕様の旅客機を担当していた当時は、かなりの頻度でやってきていたシーダーラピッズ。

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前回来たのがいつだったのか思い出せないほど、久しぶりのシーダーラピッズ行き担当となりました。

 

 

確かターミナル内は、こんな感じだった記憶が……

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ところがいざターミナルへと、足を入れてみると………

 

 

いつの間に………
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全てが新しくなっとる……
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天井が高くなって、吹き抜けが高い位置に聳えておりました…
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以前の面影がすっかり消える、全く新しい空港へと生まれ変わっておりました…

 

2015年に始まっていた空港の大改装工事が、
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空港のゲート係員によると、昨年の冬に完成。晴れて新しいターミナルのお目見えとなっていたんだそうです。
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かつてはこじんまりとした地方の空港の装いだったのが、すっかり別の空港へと大変貌を遂げておりました。

 

昨日水曜日は夕方には終えて、ホテルへと向かい、
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こちらも新しく開業したばかりのホテル。
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空港からもすぐ近く、短時間の宿泊滞在にはもってこいの立地条件でした。

 

ただ地域航空会社には、明るい時間帯に到着した時の法則みたいなものが存在し、お昼から夕方にかけて到着した日の翌朝は、大抵6時台、早い時は5時台の出発便の担当になると相場が決まっています……
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早朝出勤の時に欠かせない、マストアイテム……
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ちなみにシリアルなども、お好きなだけどうぞ状態でした…

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早朝は夕方とはまたちょっと違った雰囲気。
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朝一便の目的地は、ミネアポリス
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まだ夜が明けきらないうちの到着となり、

 

5日間のフライトの締めとなったのは、ミネアポリスからのピッツバーグ行きでした。
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ピッツバーグからは客席に搭乗して、
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5日間のフライト終了。本拠地となるデトロイトへ到着…
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風に煽られ続けた5日間を、15便をこなし終えて締めくくりました。

 

 

5日間で運んだ乗客の方の数の合計は330名。地方路線が多かった影響もあって、1便あたりが22名(現在の定員数上限は1便あたり56名)とやや少なめ。ひょっとすると、ここに来て急激に増えているコロナウィルスの影響を受けていたのかも知れません。

 

 

その一方で、新たな話題も航空業界に入っています。

 

 

2件立て続けに起きていた墜落事故の影響で、全機とも運航停止状態にあったボーイング737−MAX型機。連邦航空局による飛行許可が、やっと降りる見込みとなってきました。
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ちなみに、従来のボーイング737型機とMAX型の外見の違いは、エンジン、もしくは胴体後部で簡単に見分けがつきます。

 

こちらが従来型。エンジンカバーの後ろの部分が、きれいな円の筒状になっているのですが、

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MAX型ですと、カバーがギザギザ状になっているのが大きな違いの1つ。

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胴体後部に目をやると、従来型機ですと第3エンジン(地上において、主エンジンが立ち上がっていない状態で電源となるべく発電機を回し、機内の空調用の空調装置としても使われます)の排気口が、
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胴体の後ろで口だけが開いたようになっているのに対し、

 

MAX型ですと三角錐の頭の部分を切り取ったように、後ろにスラッと伸びているのが従来型と大きく違います。
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ただこのMAX型の従来型のボーイング737型機との1番の大きな違いといえば、飛行特性。MCAS(Maneuvering Charasteristics Augmentation System)と呼ばれる、離陸時、着陸時における機首の動作補正装置をつけていたのですが、ボーイング社はこの新しい装置の装着については航空会社に告知していませんでした。
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ライオン・エア(インドネシア)610便や、

 

エチオピア航空302便では、
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その動作補正装置が予期せぬ方向へと機首を動かす結果となり、

 

両機とも離陸直後から、異常なまでの機首下げが発生して墜落……
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その後およそ1年半に渡って全世界のボーイング737−MAX型機は、運航停止へと追い込まれることになりました。
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完全な飛行許可が下りるまでには、まだいくつかのプロセスが必要になるらしく、7つの過程からなる精査を経過することになるそうです。飛行機整備マニュアルにも、機首動作補正装置の記述が義務付けられることになりました。これから試験飛行なども行われるでしょうし、誤作動が発生していた補正装置にどんな改良が加えられたのか、裕坊もちょっと注目しています。

 

 

 

 

1日のお休みを経て、日曜日に日帰りのフライトを入れました。明日は体をちょっと休めます。