Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、ミネアポリスでの座学を受講

皆さんこんにちは、リージョナル航空会社飛び職人、裕坊です。

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裕坊は、一昨日まで3日間のスタンバイシフト。電話は一度も鳴ることなく、週末は家族と外食づくし。一昨日はデトロイトから北へと行ったファーンデールという町の一角にある創作料理の日本食屋さんで、夕食に舌鼓を打ち、

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週明けの月曜日からは、1泊2日でミネアポリスへと行っておりました……

 

今日火曜日は朝からシミュレーターのあるトレーニングセンターでの講義……ということで、昨日のうちに、ミネアポリス入り…

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しかし出発は夕方6時とかなり遅かったので、朝寝坊……今日から普通にお仕事が入っていた愛妻ちゃんは、起きた頃にはすっかり仕事に行っておりました……

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今月は同じトレーニングセンターで、2回の研修。今週末にはシミュレーターを使った、年次飛行訓練………

 

今回の講義がある教室のお隣は、他の航空会社のボーイング737のシミュレーター……

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そこからすぐ先には、裕坊が今週末に受けるフライトトレーニングで使用するシミュレーターもあります。

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では今回の研修はというと……………

 

 

リーダーシップの講義でした……

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実は正確にいうと、裕坊が現在勤めるエンデバー航空の前身の、ピナクル航空時代から所属するパイロットたちが、親会社であるデルタ航空の面接を受ける権利を、再取得するための座学。

 

なんかよく分からない説明になってしまいます。デルタ航空の子会社に勤めているのに、デルタ航空の面接を受ける権利???…………

 

おそらく皆さんの頭に浮かぶのは、いくつものはてなマークだったことでしょう……

 

そこで、旅客航空業界の構造をちょっと紐解いてみることにします。

 

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上の写真3枚を眺めて、裕坊が表現しようとしていることをすぐお分かりになる方は、恐らくかなり長年アメリカの航空業界に携わっている方ばかりでしょう。

 

見た目にはデルタ航空の機体ばかり………

 

しかしよくよく目を凝らして、機種を見分けてみると、もうお分かりの方はお気付きのことと思います。

 

どの写真を眺めても、全てデルタ航空本体の機体と、デルタコネクションの機体が混ざり合っているのですね。

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上の写真のうち、一番上に写っているのは、デルタ航空エアバス330型機。片や残りの2機は、両方ともブラジル製のエンブラエル175型機。両方とも、インディアナ州インディアナポリスに本社を置くリパブリック航空によって、運航されています。

 

片やこちらの写真は、裕坊が所属するデトロイト空港での写真。
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一番手前の機体が、カナダのボンバルディア製CRJ−900型機。我がエンデバー航空による運航。100%デルタ航空が所有する完全子会社。しかし敢えて書きます。裕坊はデルタ航空の社員ではなく、あくまでエンデバー航空のパイロット。

 

ちなみにこの写真での残りの機体、写真で見る限りは全てデルタ航空本体による運航の機体。手前3機はマクドネルダグラス製MD−88型機。

 

ではデルタ航空の航空券を購入したら、全てデルタ航空による運航の機体に乗ることになるのか………そうとは限りません……

 

例えば、デトロイト空港からアメリカの首都ワシントン、レーガン空港へと飛ぶ場合。平日であれば、恐らくかなりの確率で、この機体に搭乗することになるでしょう。

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国内線の主力機の一つ、エアバスデルタ航空による運航。

 

ではもし週末に旅行がてら、デトロイト空港からワシントンへと行く場合は………

 

かなりの確率で、76人乗りのリージョナルジェット機となることでしょう。リージョナル航空会社の代表格の一つでもあるスカイウェスト航空(本社:ユタ州ソルトレイクシティ)による運航の可能性もありますし、

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リパブリック航空による運航かも知れません。我がエンデバー航空によるCRJ−900型機による運航も多く、ひょっとすると、裕坊自身が皆さんの搭乗便の担当をしているかも知れません。

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全く同じ路線を担当をしながら、実は全く別の航空会社による運航。デルタ航空のチケットを購入していても、必ずしもデルタ航空の機体に乗っているとは限らない、という典型的な例の一つ。

 

では、デルタ航空エンデバー航空とでは、何が違うのか、というと………

 

全てが違います。

 

パイロット同士で比較した場合、給与格差は倍以上。国際線大型機に乗務する社歴の長い機長と、リージョナル航空会社に入社したての副操縦士で比較をすると、給与水準は最大で10倍以上。福利厚生から、会社加入の健康保険、或いは年金積立に至るまで、何から何までが違います。

 

ですから、皆こぞってリージョナル航空会社で、ある程度の経験を積んだ後は、デルタ航空をはじめ、ユナイテッド航空アメリカン航空などの大手を目指すことになるわけです。

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デルタ航空は大手であり、エンデバー航空はあくまでも子会社。そしてあくまでも別会社であり、給与体系も別で取り扱われます。同じデルタ航空の塗装を纏ってはいても、あくまでも別会社……

 

どうしてもデルタ航空本体で、デルタ航空の社員として飛びたいのであれば、面接を受けてデルタ航空の社員になりなさい、そのための面接の権利回復のために、この座学を受けておきなさい、ということで、ミネアポリスでの座学になった、というのが真相です………

 

長くなりました…………

 

 

はっきり言います……航空業界の恥部をお見せすることになって、本当に恥ずかしい限りです…………

 

明日は本来はスタンバイシフトだったのですが、連邦航空法の規定により、30時間の休息が必要になりましたので、休日が1日入ります。

 

裕坊