Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、2日目を終える

米国小型機専門の航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

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昨日月曜日から4日間のフライトへと出かけています。本来であればこの4日間は、10便を担当するはずだったのですが、数度のスケジュール調整が入って、結果的に4便だけの担当になることに。それでも減便の波は収まることがなく、当日の欠航もまだ出ています……

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下の写真は、まだ3月の中旬。ちょうどミシガン州で外出禁止令が発令されたばかりで、学校なども次々に閉鎖することが決まった頃でした。航空会社も、ここまでの影響が出るとは全く想定していませんでしたし、欠航が本格的に出始めたのもこの頃。

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まだ3月中は、当初の予定からの減便を米国国内線で約4割ほど、国際線で半数ほどと見込んでおりました。

 

1便当たりの乗客の数は、明らかに減ってはいたものの、デトロイト空港のような主要基幹空港ですと、それなりの行き交う人の数も多く、
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さほど影響は感じてはいませんでした。
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半分ほどシャッターを下ろしながらも、営業を続けていたオーガニック食材を使った空港内のお惣菜屋、プラムマーケット。
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出発ゲートA35のお隣にある日本食レストラン「空」。こちらもミシガン州の要請を受けて、着席してのお食事というのはできなくなってはいたものの、
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お寿司や丼ものを買うことはできておりました………

 

ところが、アメリカでも感染が本格的に広がり始め、ニューヨーク州ニュージャージー州マサチューセッツ州に次いで全米でも4番目に感染者、死者数を出すようになってしまったミシガン州(死者数は、全米ワースト3)、4月以降はデトロイト空港でもその影響がはっきりと目に見えるようになってきています。(4月14日現在、全米確認済み感染者数:602,989名、死者数:25,575名)

 

ノースダコタ州サウスダコタ州ネブラスカ州などの一部の例外を除いて、ほぼ国全体で外出禁止令が敷かれているアメリカ。移動する人の数は激減。歴史的な減収を目の当たりにし、思い切った減便措置が必要となった航空会社は、スケジュールの調整を今も余儀なくされています。

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平常時であれば、6面のボードいっぱいに掲載される出発便の案内板。減便調整の後、ボードを埋めるのは4面分がやっと。それでもさらにここから欠航も発生しています。

 

保安検査場も、一部は閉鎖になってしまいました。デトロイト空港では、国際線の搭乗手続きカウンター横の保安検査場が、4月14日現在閉鎖……
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デトロイト空港、マクナマラターミナルのAコンコース中央に位置する噴水……
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既に噴水は2週間以上止まっていて、吹き出し口も完全に乾き切っています。

 

Aコンコースの中央から北端と南端を結ぶトラム。こちらは先週から運休中……
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自然食品惣菜専門のプラムマーケットは、早くから全面休業……

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つい先日までお持ち帰りができていた日本食レストラン「空」。
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営業時間が短くなり、お昼前の11時になってやっと開店。

 

デトロイト空港からの国際線は、ソウル仁川空港行き、週3便に調整されているアムステルダム行きを除いて、ほとんど運休しています。
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行き場をなくして佇む大型国際線用機材。(写真はエアバス350型機)。デルタ航空による日本行きの便は、当面は羽田からのシアトル行きのみ。デトロイトからの羽田行き、名古屋行きの本格的な運航再開は、現在のところ6月以降……もちろん、こちらも流動的………

 

人の往来がめっきり少なくなって、
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既に先々週には、リージョナルジェット機のみが発着しているCコンコースの供用見合わせが決まり、

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従業員以外は立ち入りができなくなっていたのですが….…
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国際線の機材も扱えるAコンコースも、発着はかなり少なくなっていますので….…

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Aコンコースの南側、出発ゲートA29から先にかけては、一般の方の立ち入りができなくなりました……
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従業員のみが出入りできる旨を書いた、告知板。
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今回の4日間のフライトは、初日こそ夕方遅くの空港ショーアップだったものの、2日目以降は毎朝早朝便を担当。
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昨夜来ていたのは、ニューヨーク州のローチェスター……

 

ここローチェスター空港は、内装が全面的に新しくなって、とても機能的で売店やレストランなども真新しいものになりました。

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たくさんのお客さんで賑わう日が帰ってくるのが、待ち遠しい………
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待ち合いのスペースなどもゆったりと取られるようになり、落ち着いた気分で飛行機を待つことができるようになっています。

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減便の影響で、駐機場付近も今日はひっそり……
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ちなみにローチェスターからデトロイト行きの乗客は、火曜日の始発便は、76名仕様の機体に9名でした。
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今日火曜日は一旦デトロイトへと帰ってきて、その後客席の搭乗しての移動で、ケンタッキー州レキシントンまで。
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デトロイト到着が7時過ぎで、レキシントン行きの搭乗までには5時間以上が空きましたので、今日は会社負担でホテルにおいての休憩………我が家に帰れなくもなかったのですが、ゆっくり寝ている家族を起こすわけにもいかず、ホテルに向かうことに……

 

ところが、電話がなかなか繋がらず…………シャトル乗り場で、ひたすら待ちぼうけ………

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何やら不吉な予感………………………

 

休憩のために予約が入っていたのは、高級ホテル、シェラトン
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ロビー付近は、改装の真っ最中…………最上階の部屋の鍵を渡されて、部屋へと向かいます……

 

部屋に到着。しかし目に入ってくる景色は、車が全く止まっていない、だだっ広い駐車場……

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裕坊のいる部屋以外には、人が休んでいる気配もなく、シーンと静まり返った最上階……

 

部屋には消毒剤の匂いが強烈に立ち込め、換気装置の音が大きくなったり小さくなったりなど、ただ事ではない異様な雰囲気に、胸騒ぎがしていたのですが………

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そこに、けたたましい音が館内全体に響き渡ります。

 

猛獣の遠吠えのようなサイレンが3回立て続けに鳴り響き、聞こえてきたのが、とても低く不気味に響く女性の録音音声………………

 

「火災を感知しました。速やかに階段へと向かい、直ちに避難を開始してください」……………

(A fire has been reported inside the building. Please proceed to the stares and start to evacuate immdiately)

 

出しかけていたタブレットを急いでカバンにしまい直し、緩めていたネクタイを締め直して、かけていた制服の上着を着込んで、避難の準備を始めます。まだドアノブは熱くない……

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ドアの下からも、まだ煙は入ってきていない…………最悪、今なら避難することができる…………

 

まだけたたましいサイレンと女性の声が館内中に鳴り響く中、ドアをそっと開けてみます………

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全く人気のない館内。サイレンと女性の声は、およそ7分間続きました………

 

館内に静寂が戻ります。胸騒ぎが収まらず、タブレット類などを入れたバックパックを背中に抱えたまま火の出所を確認しますが、煙が出ている様子などはなし……そのうちに、大音量のテンポのいいメキシカン音楽が近づいてきて、見ると1人の小柄な男性清掃員。その人に確認してみると、

 

「もう大丈夫だよ。俺が1階から11階から全部確認して回ったから」…………

 

ありがとう………

 

やっと落ち着きを取り戻して、再び空港へと戻ります。

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普段はなかなか見ることがない、デトロイト空港の3桁のコードの看板の横を通過。
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有料の駐車場は、ガラガラ………
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こちらで今日のお昼をいただき、
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やってきたのが、ブルーグラス空港として知られる、ケンタッキー州レキシントン空港。
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リニューアルの終わった、ホテルに到着。
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バーボンウィスキーで有名な、ケンタッキー州
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それを象徴するかのように、たくさん樽が並べられておりました。

 

コーヒーショップもリニューアル。
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ようやく心の底から落ち着くことができて、やれやれ。
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不思議なことを体験した、初めての経験が詰まった1日でした。

 

 

明日はカナダを目指します。