皆さんこんにちは、「飛ぶパイロット」になることを決意した裕坊です。
小さな76人乗りのリージョナルジェット機の操縦担当を務める裕坊。ほぼ半年に渡って、『リザーブ』と呼ばれる、欠員が出た時の交代要員をしばらくは務めておりました。
『リザーブ』とは言葉の通り、欠員補充要員で、病欠が出た時とか、急なスケジュールの変更などでパイロットが必要になった時の補充要員ですので、どの便を担当することになるのかは、その時になってみないと分からず、月当たりの飛行時間はかなり減る傾向にあります。
保有機が増えるはずだった去年暮れの我が社の計画はアテが外れ、結果的にパイロットがダブつくことになって、『リザーブ』の平均飛行時間はかなり減ることになって、12月は3日しか仕事が入らなかったりなど、日本人向け幼稚園で忙しく仕事をこなす愛妻ちゃんを横目に見ながら、実際裕坊もこんな日をずっと送っておりました………
アメリカの航空会社の乗務員のスケジュールは、全て入社日順に決まる仕組み。デトロイトやミネアポリスといった中西部は、社内でも人気の配属先。従ってその人気の所属先の一つであるデトロイトに所属する裕坊は、まだ優先順位は低い方。
『リザーブ』と呼ばれるスタンバイシフトを選択すると、休日日数は減るのですが、その一方で、裕坊の立ち位置ですと、自分が希望する休日を指定しやすくなるので、5ヶ月連続で『リザーブ』を選択してきたのですが…………
この『リザーブ』の最大の欠点は、「給料が目に見えて下がること」……………
ということで、来月5月は、担当便が決まっている『ライン』へと復帰。但し週末はまた家を開ける日が増えることにはなります。ただそれは航空会社に勤める社員の、ある意味宿命…………………
その前哨戦というわけではないですが、今回たまたま休日を返上して飛ぶ機会がありましたので、明日からアトランタへと出発。アトランタを行ったり来たりの便を、金曜日から3日間頑張ってまいります。
昨日の裕坊のブログでは、医療費のことについてちょっと触れました。昨年のこの時期に、我が息子が診察を受けた救急病院の請求書が、未だに送られてくるという、ここアメリカ。
日本の国民皆保険の常識が全く通用しないアメリカは、医療保険制度も何から何までが違っています。
日本の場合は、国民全員に健康保険加入の義務がありますが、アメリカの場合は、健康保険加入は任意。ただ企業に勤務している場合は、ほとんどの州においては、勤務先企業に従業員に対する健康保険提供の義務が課されます。
もちろん自ら探して、民間の健康保険に加入することも可能……但し企業提供の健康保険とは違い、保険料全額を自己負担することになりますから、保険料は概して高めになるのがネック……
まず健康保険加入時に、軽い健康診断。タバコや酒の履歴、或いは糖尿病などの成人病の経歴なども調べられます。保険料もそれに応じて上下………
持病持ちの場合、保険に加入できないなんてことも…………
一旦加入すると、お給料から保険料が天引きされるのは、日本と同じ……
では何が決定的に違うのか、というと…………
健康保険に加入しているからといって、気軽にどこでも診察が受けられるわけではなく、まず受診する医療機関が、保険会社が定めるネットワークに加入をしていなければいけません。
健康保険ネットワーク外の医療機関で受診すると、診察代が保険ではカバーされなくなります。
そしてもう一つ、大きな問題になっているのが…………
実はここが最大の問題点とも言えるのですが………………
『各医療機関が、自由に値段設定が出来ること』………
日本では、病気の種類、診察の内容、処置の方法、処方箋の薬の種類など、一つ一つの項目で細かく金額が定められているのですが、それがアメリカには……………
ないのです…………………
極端なことを言ってしまうと……
例えば風邪を引いて、診察を受けて、抗生物質を10日分処方してもらったとして………
その診察代が、1,000万円だと言われれば、それがその病院における診察代になり、それに対するお咎めがないというのが、アメリカの医療制度………
それをカバーするのが、本来の健康保険の役割のはず………
注意しなければならないのは、健康保険加入時に、かなり細かな規約が書かれた冊子が保険会社から送られてくること。そこには誰もが読まないような、小さい字の規約が並んでいるのですが………
そこがまさに保険会社にとっての抜け道……
診察内容に、一つでも規約内容に合致しないものがあろうものなら……………
保険による支払いを拒否………
一度保険での支払いを拒否されると、そこからはとても長い長いプロセスになります。特に最近では、保険会社が雇用する医師などが、診察内容を細かく調査するようになりましたので、素人の我々が電話で抗議しても通らないことが多くなり………
結局泣き寝入りすることも多く………
特に1万ドルを超える高額の医療費は、自己負担になるケースがほとんど………
保険に加入しているからといって、安心ができないのが実情………
高騰を続ける医療費の中にあって、アメリカ合衆国における個人破産は増える一方……
そのうちの6割は、医療費の支払い能力を超えるケースによるものだそうです………
アメリカって、夢の国なんじゃなかったの……………………
健康に働けるうちは、頑張って裕坊も働いておこうと思います………