Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、出発準備

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

明日からまた4日間のフライト。洗濯を済ませてワイシャツや制服のズボンにアイロンがけ。1日目からして朝の6時半というあり得ない時間のショーアップなので、早めに荷造りをしないといけません。昨日は日中やったことといえば、アプリを使ってのピアノの鍵盤叩きくらい…………左手の練習がいきなり本格的に始まり、手がつって痛いことときたら………………

夕方には駐在で来られている方たちの集まりの輪の中に入れていただきました。裕坊を呼んでくれたHさんとは4年ぶりの再会。駐在とはいえ、ミシガンに戻ってくること3回目。バリバリのカリスマビジネスマン。ミシガンに戻れるのであれば、転職をも厭わないバイタリティーの持ち主。普段は企業の部長さん、休日はゴルフに釣りに音楽にと趣味も多様。そしてその話の内容の深さと来た日には…魚に関する知識だけで、軽く5冊は本が書けてしまいます。そのカリスマ性たるや、完全に尊敬レベル。趣味が人間性を深くしています。

やりたいことを何一つ成し遂げることなく過ごしてきた裕坊、20代の後半には、とある製薬会社でセールスとして過ごす日々。4年ほど九州の薬局を地味に回る時間を過ごしていました。ゴルフやスキーこそそれなりに楽しんではいたものの、他にはこれといった趣味も持たない裕坊。テレビすら普段は全く見ない人なので、情報も入ってきません。

ヒマなときの裕坊のお供は活字。それが雑誌であれ、新聞であれ、本であれ、マンガであれ、手に届く範囲の物を読みあさります。そしてたまたま寄った本屋で、ある雑誌に裕坊の目が止まります。そのときからその雑誌の愛読者。旅客機マニアが泣いて喜ぶ「月刊エアライン」。

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大学時代に盲腸が破裂して腹膜炎を起こして入院した時、お見舞いにとサークルの先輩が買ってきてくれたこともあります。知る者が少ないレアな雑誌の存在に、皆驚きの表情。そして大学は超低空飛行ながらも卒業。その後、製薬会社のセールスとして勤めること4年半。平凡に過ごしていた自分に嫌気がさして何か出来ることはないのかと探していたところに、目に止まったのがその雑誌の中の広告。「めざせ・エアラインパイロット」

思い切りました。もう今から20年も前。人生最大の決断でした。数あるフライトスクールの中から選んだのは、ニュージーランドの南島の北端にあるネルソンからさらに車で1時間ほど走ったところにあるフライトスクール。信号機すらないのどかな田舎町。キウイ畑の横にあるようなのどかな空港には細く舗装された滑走路1本だけ。交通事故で左腕を骨折し、数ヶ月余分な時間がかかりながらも、日本の仲介斡旋業者によって組まれたカリキュラムを完全にこなし終えます。

帰国後の2年間のアルバイト生活を経てやって来たのはフロリダ。デルタ航空の子会社のコムエアーというリージョナル航空会社が直接経営する学校。小さなセスナを飽きもせず4年半も飛び続け、今も勤めるリージョナル航空会社に就職したのは2006年。フェデックスの本社があり、エルビス・プレスリーでも知られるテネシー州のメンフィスに当時本社があった会社に採用が決まります。

当時あった3つの配属先、ミネアポリス、メンフィス、デトロイトの中から裕坊が選んだのはデトロイト。寝室が2部屋あるフロリダのアパートは環境の割に値段も安く、しばらくは飛行機にお客さんとして搭乗し、フロリダから遠距離を通う日々が続きます。住宅バブル真っ只中の2007年。アパートの経営者が変わって裕坊の運命も大きく変わることに。

当時の1ヶ月のアパート代は750ドル。契約更新のたびに少しずつ上がるのが常識のアメリカのアパートにあって良心的だった経営者。数年に渡ってそれを引き上げていませんでした。安月給のリージョナル航空の副操縦士にとってありがたい存在。そして次のアパートの契約更新が迫ります。新しく変わったオーナーに提示された更新後のアパート代。用意された額面を見た裕坊家族、言葉を失いました。そこに提示されていたのは………………………1,500ドル………

住み慣れたアパートを離れる以外に残された選択肢はありませんでした。

デトロイトに移り住んで早や11年。いろんな出会いがあり、今に至ります。右も左も分からない状態の裕坊家族に手を差し伸べてくれたのが、Hさんご家族でした。ミシガンに関するイロハをいろいろと教えていただきました。どんなに感謝してもとても感謝しきれません。そのHさん、近々他州へと釣りに出かけるそうです。行動力に頭が下がります。またお土産話を聞けるのが心から楽しみです。

今日は息子くんの剣道の練習へ3人でお出かけ。明日の3時起きに備えて、そのあとは早めに就寝です。

 

裕坊

 

裕坊、休日2日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

久しぶりの3連休。今朝も愛妻ちゃんと息子くんはバタバタしながら8時前にお出かけ。幼稚園でアシスタントを勤める愛妻ちゃん、子供相手の仕事は本当に体力勝負。ただでさえ何にでも全力投球の愛妻ちゃん、3歳児、4歳児相手でも全力でぶつかります。体にも相当な負担。椅子に座っているだけでもツラそうなことも。家に帰って来てからのストレッチは欠かせないようです。

対照的にいつもほどほど、スキさえあれば手抜きすることばかり考える裕坊。それでいて超がつくほどの慎重派。ちょっとでも危なそうなものが見え隠れすると石橋が先に崩れそうになるくらいに石橋を叩いてしまいます。ただ老後の設計はやっぱり必要。副操縦士だった頃は貯金をする余裕すらなかったとあって、貯蓄は到底足りる状態にはありません。プロのアドバイスを仰ぐべく、昨日雪が舞う中、友人に紹介をしていただいたファイナンシャルプランナーに会ってきました。

いただいていたメールとにらめっこしながら、書類をいろいろとかき集めます。マイホームを7年ほど前に購入した際、住宅ローンを組むのに収入や税金、クレジットカードのローンやら自動車ローンなど、考えもしなかった細かいことをいろいろと聞かれて、取りあえず税金やローン関係のことなら一通り頭に入っている裕坊。そちらの書類は順調に集まります。

年金や株、証券関係には全くど素人の裕坊。企業の支援する積立年金のようなものなら入っているものの、他には全く手すらつけていない裕坊家族。積立年金以外には出せる資料すらなし。あぁ情けなや………

おまけにあまりに急ぎすぎたか、プリンターの紙が詰まってしまって、1時間ほど大格闘。どっから手をつければいいのか分からない……んで、紙受けを外してダメ元でプリンターをひっくり返してみると、確かに詰まっとるわ……………………見事に帳尻を合わせるかのように、愛妻ちゃんが帰ってくるタイミングで書類が揃いました。

座骨神経痛がピークに達して、椅子に座っているのすらツラそうな愛妻ちゃんを助手席に乗せて出発します。金ピカの大ビルが立ち並ぶオフィス群の真っ只中にあるとすっかり思い込んで気合いを入れていた裕坊、高速道路を降りて出口のすぐ横にある5階建てのビルをナビは指図します。ちょっと拍子抜け。数分遅れながらも、取りあえず無事到着。エレベーターを上がると、すぐそこがオフィス。受付で予約があることを伝えると、すぐに背丈が同じくらいの男性が笑顔で出迎えてくれました。

やがてその男性の姉だという女性も入ってきて雑談から始まります。まずはこちらの財務状況などを説明。希望も一緒に伝えます。一通りこちらが喋る終わると、あとはプロによる顧客に対するサービスの説明。なるほどうむうむ……

結果からいうと、第一回目の訪問としてはまずまずの好印象。それぞれの領域のプロ、例えば税金関係は税金のプロ、証券マンは証券、とそれぞれが専門の領域を持ち、会社の中で一つの家族を形成して顧客とともに最終的なゴールに向かうというそのコンセプト、日本人好みだと感じました。日本人顧客もそれなりに抱え、中には数年来のお付き合いのある家族も。裕坊にもなかなかの手応え。次回の予約を入れて、まだまだ雪が舞う中を家路に着きます。持ってきたカバンは少し重くなっています。次回の予約までに調べる細かい財務状況の宿題がどっさり…………………

今日は息子くんは学校のあとピアノの練習があります。裕坊は遅くまで1人。ちょっと鍵盤を叩いてみようかな、とアプリを開くと今日から左手の練習???お隣、ご近所にお届け物をしないといけません。耳栓でーす……………。

 

裕坊

 

裕坊、3日間の休日

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

ほっぺたの落ちそうな愛妻ちゃんの手作り料理に舌鼓を打って、いつも通り8時前にはお見送り。嵐が過ぎ去って…………………もとい、急に賑やかだったのが静かになって、久しぶりの3日間の休日に寛ぐ裕坊。3連休を取れるのは久しぶりとあって、気分的にもゆっくり。

ただ休日1日目の裕坊は使い物になりません。再充電するまではピクリとも動きません。今日は夕方には友だちに紹介してもらったファイナンシャルプランナーに初めて会います。資料を印刷しておかないといけませんが、まずは再充電。コタツに足を潜らせます。暖かさが全身に伝わってくる、至福の瞬間。ぬくぬく.………

ほんのちょっと雪がチラついた昨日のデトロイト。でも数センチの雪ではビクともしないデトロイト。天気予報に雪マークが出ただけで、デトロイトの除雪隊は出動待機。何台ものトラックが連なって除雪するその姿は圧巻。ショーにしてしまえばお金が十分取れます。まさに壮観。

フライトはまずまず順調。1本目の出発地のインディアナポリスで除氷作業、デトロイトには10分ほど遅れて到着。折り返しのピッツバーグ行き、トイレに駆け込んで急いで戻って来る頃には搭乗も終わって、お客さんは皆座ってシートベルトも締めています。数分遅れて出発。ピッツバーグへはほぼ定刻の到着。次のデトロイト行きまで2時間待ち。

少しゆったりする時間ができて、フードコートで中華料理を食べます。すごい量をついでくれます。お腹も一杯になります。これならあと3本のフライトも問題なくこなせそう。心の準備をして飛行機に戻ろうとした瞬間、電話。。スマホの画面にこう書いてあります….....…乗員配置課...............

英語でクルースケジューリングと呼びます。詰まるところスケジュール変更の知らせ。交渉をしても大抵の場合拒否はできません。大概この電話が入ると、それがパイロットであれ客室乗務員であれ、顔が皆一瞬こわばります。本来のスケジュールから変更になり、どこへ行かされるのか、緊張感が走ります。電話が聞こえないふりをして無視した方がいいのか、それとも電話に出なければいけないのか…パートナーと時間を過ごしている時などは、顔を見合わせます。お互いの顔が青くなります。

頭をよぎるのは、予定の時間に帰れるかどうか。裕坊は所属先のデトロイトの近郊に住んでいますから、帰りのフライトに乗る必要はありません。デトロイトに戻りさえすれば車を運転して帰れます。ただこの業界は半分ほどが所属先からかなり離れたところから飛行機を使って通うコミュート組。その多くは州外から通います。遅くとも最終便に乗れるかどうかはクルーにとって死活問題。

例えばインディアナポリスから通っているとします。インディアナポリス行きのデトロイトからの最終便は8時40分。8時までに戻れれば安全。それ以上遅くなると、フライトが終わってデトロイトで足止めを食う可能性も出てきます。そんな訳で乗員配置課からの着メロは、大抵皆ベートーベンの運命などにします。着メロが鳴った瞬間のあの緊張の一瞬。裕坊も恐る恐る電話を取ります。旋律が走ります。まさに緊張の一瞬。その結果たるや………………………

ピッツバーグからデトロイト行きがクルー交代。裕坊と副操縦士がそのフライトから外され、あとからやって来た飛行機をデトロイトまで回送。シカゴ往復の担当を外されて、予定より早く家に帰れることになりました。安堵感に包まれます。大きく深呼吸。ふ〜〜〜………………

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この飛行機でデトロイトに向かうはずが、

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こっちの飛行機に乗り換えて、お客さんナシでデトロイトまで……

おかげで予定より2時間ほど家に早く帰れました。ゆっくり一緒にご飯もいただきました。愛妻ちゃんと息子くんの顔を2時間早く見ることができました。今日は引退後の生活設計のためにファイナンシャルプランナーに会ってきます。お友だちの紹介です。ビルがいくつも並んだ中にあるようです。辿り着けるかどうか、とても不安です。

 

裕坊

 

裕坊、帰宅の日

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今朝はインディ500というカーレースで知られるインディアナポリスのホテルで朝食を取る裕坊。チョコクロワッサンの代わりにベーコンやスクランブルエッグなどを皿に盛り、オレンジジュースなどと一緒にいただいて、ちょっとひと息。5本の担当便を受け持つ、ザ・リージョナルの1日に向けて心の準備を整える時間です。

リージョナル航空の担当する便は、人口10万人にも満たない都市へも就航。需要さえあれば航空会社はどこへでも飛んで行きます。そしてリージョナル航空の主な役割といえば、小さな町からの乗客を主要空港における接続のために送り届けること。大半のお客さんは主要空港で大型機の担当する大都市への便にお乗り換え。

ビジネスマンはリージョナルジェットにも慣れっこ。同じ路線をリージョナル航空と大手航空会社本体が共有することもありますが、機種は選びません。あくまでビジネスの都合優先。都合がいいのであればリージョナルジェットといえども平気で乗ってしまうのがビジネスマン。

遅延にも慣れきっています。遅延が発表になっても慌てることなくスマホを取り出し、得意先に電話を一本入れて事情を説明、素早く次の対策を提案。ビジネスマンにとっては目的を達成することが最優先ですから、遅延に対する対処法も慣れたものです。

旅行客は必ずしもそうはいきません。経費で落とせるビジネスマンと違って、一般旅行者の場合自分のお財布から全てを持ち出していますから遅延は命取り。ホテルやイベント、クルーズなどの予約が入っていたらそちらにも大きく影響。必死になります。

クルーだって必死。6日も飛べばそれだけ家族から離れています。出来れば遅延に遭遇することなく終わりたい。では実際にパイロットの力でどこまで遅延に対処ができるかというと…………

残念ながら遅延に対してはパイロットはほとんど無力。特にニューヨークやシカゴなどの主要空港へ向かうフライトになると、お天気が下り坂だと航空管制の扱える便数が減るため、離陸まで相当な時間待たされます。いわゆる地上待機。定刻出発時刻が午前10時のところに離陸指定時刻が午後2時なんてことはザラ。パイロットにできることと言えば、ゲートでの事情説明くらい。そして座席数の少ないリージョナルジェット機は、いつも欠航の最優先ターゲット。減らされた離発着の枠を少しでも座席数が多い航空機に残しておくための措置として、リージョナルジェットが優先的に欠航になることに……

一旦離陸しても自由は効きません。速度を規制されます。300ノットを出せるところを他の到着便との距離を保つため、250ノットにまで制限されたり。上空待機もあります。ときどき耳にするホールディング。遅延が出るときは燃料をかなり余分に積んでいきますから、30分くらいなら大概余裕で上空待機にも対処できます。でも1時間以上ともなると………さすがに代替空港へと向かうことも……

大幅な遅延が出ると航空会社の職員たちは乗り継ぎに間に合いそうか、間に合わなければ他の空港経由で乗り継ぎは出来そうかなど、各乗客を少しでも早く最終目的地へ送り届けられるよう、知恵を絞ります。各乗客の位置情報を自動追跡し、本来の乗り継ぎ便に間に合わなければ、他の便へ自動振替する新システムも開発されました。乗り継ぎ便に間に合わなかった時には、スマホの航空会社アプリを開けてみるといいです。搭乗券を空港に設置された機械にスキャンしてみてもいいです。大抵の場合、その時点で自動振替が済んでいて、次の搭乗便の情報が取り出せます。遅延対策は進みました。

デトロイト周辺には少し雪が降るものの、お天気は徐々に回復傾向。今のところ遅延を示すものはなし。ただ6日間に渡るトリップの6日目ともなると、何かが起こるのが航空業界の法則。最終便を運航できず、往復便の往路だけを飛んで、着いた先でそのまま宿泊滞在したことも数知れず……

愛妻ちゃんと息子くんの顔が見れるのを祈りながら、インディアナポリスを出発。今日はデトロイトを拠点に、そのあとピッツバーグ、シカゴオヘア空港へそれぞれ往復便を担当です。今日は6日間のフライトの締め括り。5便全便を欠航することなく全うできること祈るのみ。もし帰れなかったら………………それはまたいずれお話します。

 

 

裕坊

 

裕坊、5日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

昨日は運転免許証の更新のお話を載せたところ、いろんな方からとても耳寄りな情報をいただきました。そうか、有効期限を6ヶ月過ぎてもちゃんとした理由があれば、更新が問題なくできるんだ。いいことを知ってしまった……ということは、シルク・ド・ソレイユもひょっとして見れるのか?実は未練たらしくホテルをまだキャンセルしていない裕坊。ちょっと検討してみようと思います。皆さん情報を本当にありがとうございます。

昨日はお昼前には2本のフライトをこなして、任務完了。シンシナティを出発して海鮮物が美味しいボストンを経由し、カントリーミュージックの街としても知られるナッシュビルへとやってきました。天気さえよければ、街を散策していいくらいの時間にはフライトも終わっているのですが、ダウンタウンからはちょっと離れているので、結局サナギのように部屋にこもってしまう裕坊。今ではインターネットでピザや中華料理などが出前などで頼めてしまえますし、タブレット1枚と充電器されあれば、時間はいくらでも潰せる便利な世の中。

リージョナルに限らず、大手の航空会社でも宿泊するのは大抵空港近くの送迎シャトル付きのホテル。ゲートに飛行機を止めるなり、すぐにホテルへと電話を入れて送迎シャトルにお迎えに来てもらいます。最近はどこのホテルでもイメージアップのためか、内外装の手入れ、大改装にかなりお金をかけているようで、外壁が剥がれかけたような南部の街を思い起こさせるホテルにお世話になることはなくなりました。ちなみに今日泊まっているホテルの部屋はこんな感じ。

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特に何の変哲も無い部屋です。豪華さや華やかさとは程遠いお部屋です。ただこのお部屋は冷蔵庫付き、電子レンジ付き、おまけに流し台付き。カップラーメンやカップ焼きそばくらいなら簡単に作れます。

さらにはこんなものもあります。日本に比べると少し部屋は広め。ソファもその気になれば6人くらいなら座れるくらいの幅。実はこのソファ、昼夜兼用のスグレモノ。昼間はソファとして寛ぎ、夜になるとクッションを片付けてベッドを作れます。アメリカではよく見られるソファベッドと呼ばれる昼夜兼用のベッド。裕坊もヒマだったので、ちょっとベッドを作ってみました。

まずはクッションを取り除くと黒いレバーが顔を覗かせます。

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そしてそのレバーを引っ張ってみると、

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ベッドの外枠が顔を出し、さらに外枠を倒してみると、

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ベッドが出てきた!ついでにマクラと掛け布団もかけてみます。

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簡易ながらも立派なベッドの完成!!たっぷりと遊んだあとはちゃんと元に戻しましょう。

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人数の多い家族で泊まるときはとても便利です。裕坊も家族を何度か裕坊のフライトへとご招待。一部屋で賑やかに過ごせるのでとても楽しいひとときを過ごせます。ただしトイレや浴室は一つにまとめられているので、トイレに行きたいときは早い者勝ちです。争いに敗れると、階段を使ってロビーまで一直線という罰ゲームが待っています。

今日はニューヨークのラガーディア空港までフライトのあと、インディアナ州インディアナポリスへと向かいます。

 

裕坊

 

裕坊、4日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

昨日は晴天の中を1人のお客さんとして客席に乗り込んで、オハイオ州シンシナティへとやってきた裕坊。今朝も朝食のお供はチョコクロワッサンにコーヒー。何とか朝が始まります。昨日の朝は気持ちよく朝寝坊。愛妻ちゃんも1日お休みだったとあって、表情は穏やか。その顔色はある一つのテキストメッセージによって豹変しました。裕坊の母親からの愛妻ちゃん宛のテキストメッセージ。「運転免許証の更新のお知らせが届いているわよ」…………………

普段は血圧が低く、寝起きはよろけるように起き上がる愛妻ちゃん、パッチリと目が開いて獲物を全力で追いかけるライオンのように凄まじい勢いで階段を駆け下りていきます。一階に置いてあった運転免許証をよく見ると愛妻ちゃんの運転免許証、平成30年のお誕生日のちょうど1ヶ月あとが有効期限。愛妻ちゃんのお誕生日は4月の中旬。日本人が多く通う幼稚園の教室内でアシスタントを勤めているとあって、なかなか4月中、5月中のお休みを取ることはできません。まして息子くん1人を残して帰国する訳にもいかず…………

愛妻ちゃんの幼稚園の春休みは2週間。3月の中旬から4月の頭にかけて入ります。そして息子くんの通う中学校のお休み、去年までは2週間あったのに何故か今年は1週間、3月の終わりから。春休み期間中は、いつもコツコツと貯めた貯金を使って数泊の旅行を計画する裕坊一家。今年は一度シルク・ド・ソレイユでも見に行こうかと計画していてホテルまで予約。フライトはスタンバイでも乗れそうか、と毎日空き具合を欠かさずチェックしているところに降って湧いた運転免許証更新のお話。敢えなく計画変更を余儀なくされ、ホテルはキャンセルすることに…………

実は裕坊も今年が日本の運転免許証の更新。そして裕坊のお誕生日は5月の下旬。さて、どうしよう……一緒に3人で日本へと向かって、期間前更新しようか、それとも元々の計画通り5月の有給休暇を使って、通常更新をしようか……

航空会社のスケジュールが決まるのは大体毎月20日ごろ。クルーのそれぞれの入社日順によって優先順位が決められ、その優先順位によって自分の取りたい休日が割り振られるのが基本的な仕組み。業界用語でシニオリティ(Seniority)と呼ばれます。シニオリティとは形容詞のシニアの名詞形。入社日が早ければ早いほどシニアだと呼ばれ、反対に入社したばかりの新人くんなどはジュニアになります。休日、有給休暇だけでなく、希望する所属先や担当する機体、機長がいいか副操縦士がいいか、などもこの優先順位が全て。

今裕坊が勤めるリージョナル航空会社の中では比較的優先順位が上がった裕坊ですが、デトロイトは中西部出身の田舎育ちが多いパイロットの間で大人気。かなり勤続年数の長いパイロットでひしめいているので、裕坊のデトロイトにおける優先順位はまだ下位の方。なかなか思うようなスケジュールは取れません。まして春休み期間中のお休みを1週間ともなると、果たして………

愛妻ちゃんの運転免許証の期限が今年であることに気づいていれば、有給休暇を春休み期間中に充てることも不可能ではなかっただけに、裕坊もウッカリしていました。既に裕坊の有給休暇は5月中に入り、今から4月へと変更するのはほぼ不可能。毎月のスケジュールの希望の締め切りは14日。これからほぼ10日間に渡って頭を悩ませる日々が続きそうです。

今日はこれからシンシナティを出発してまずはボストンまで。そのあとミュージックタウンとして知られるナッシュビルへと向かいます。

 

裕坊

 

裕坊、また出勤

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

昨夜一旦愛妻ちゃんの元へと帰ってきて一晩を過ごし、また次の出勤へと備える裕坊。我が家には女の子はいませんが、ひな祭りということで、ちょっと贅沢な海鮮物たっぷりののり巻きで英気を養い、3日目の仕事に備えます。今日はデッドヘッド一本だけで直接の担当便はなし。一昨日泊まっていたオハイオ州シンシナティが目的地。

裕坊が住むデトロイト近辺は自動車産業のおかげで在住日本人家族も多く、日本語と英語を両立させた学校があります。息子くんは開校時の一期生。開校当時は人数も少なく、生徒の数はやっと10人ほど。保護者が集まって日本でいうPTA、父兄教員の会みたいなものを立ち上げ、生徒の数を増やすのに手を替え品を替えの日々。一時はその父兄会の会長まで勤めた裕坊。他の保護者の皆さんとあちこちを駆け回りました。

1年半ほどボランティアにエネルギーを費やし父兄会の役職を退いたそのわずか数ヶ月後、我がリージョナル航空は破産法11条を申請。ニューヨーク裁判所の管轄下に置かれることに。給料は3割下がり、裕坊はそれまで所属していたデトロイトを離れ、ケネディ空港へと配置換え。1ヶ月のうちデトロイトには3日ほどしか戻れない、実質の単身赴任生活が始まります。当然のことながら、ボランティア活動とも疎遠になることに。

1ヶ月ほど300ドルほどを出し合い、アパートを他のクルーと共有する間借り生活。業界用語でクラッシュパッド(crash pad)と呼びます。クラッシュとは普段は衝突とか激突という意味で使われる単語。派生的にベッドの上に激突するところから、疲れ過ぎて寝るという意味でも使われます。padは共有生活を営む生活の場。つまりアパート。アメリカでしか使われることがない、かなりレアな業界用語。

裕坊のかつて住んだ宿舎はニューヨークのハドソン川の東に位置するクイーンズと呼ばれるヒスパニック系、中南米からの移民が多く住むスペイン語が飛び交う住宅街の一角にありました。狭いスペースを効率よく使うための工夫として地下を作るのが普通のニューヨークのクイーンズ。タウンホームと呼ばれる何軒かの家が続きになった建物の地下の一室が裕坊のアパート。

狭い地下のアパートには4つの部屋。天井が低く、背の高い男性は屈んで歩かないといけません。それぞれの部屋には2段ベッド。裕坊の寝室にも2つ。部屋の大きさに応じて2段ベッドが並べられ、合計その数9つ。全員がそこで寝泊まりすると、狭い部屋に航空会社のクルーが18人。さすがに18人が全員一晩を共有したことはありませんでしたが、破産法下にある航空会社のリザーブのクルーを多く抱えていたとあって、10人くらいが一晩に集まることはザラでした。

築100年を優に超える年代物の建物。換気扇のような最新設備はなし。1人がシャワーに入ると当然のように湿気が浴室にこもります。浴室にその湿気がいつまでも残り、夏の暑さがアパートにも降りてくると、当然のように浴室には黒いシミがあちこちに湧いてきます。衛生状態もいいはずがありません。

1年半の辛抱のあと、やっとのことで破産法下から抜け、裕坊が再びデトロイトの配属となってミシガンへと戻ってくるのにほぼ2年を要しました。愛妻ちゃんも息子くんも本当によく我慢してくれました。ちなみにそのアパートを引き払う際、お手伝いに来てくれた愛妻ちゃん、3分と中に留まることが出来ず、ほぼ窒息状態になって外に避難し深呼吸…………裕坊ってそんなとこに2年も住んでたんだね…………………

今日は息子くんの小学校の当時のボランティアが多く集まる集いも開催されますが、日曜日にお休みが取れず、そちらには参加できず。それでも家から車で仕事に通えることに感謝し、オハイオ州シンシナティへと向かいます。

 

 

裕坊