Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、アトランタへ

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

2日間のお休みをもらいました。しっかりお昼寝もしました。早朝の出勤。今日も6時に家を出て車の中で半目のままキーボードを叩く裕坊。ここ最近のデトロイトはずっと氷点下を行ったり来たり、氷点下10度以下の天気に慣れていた体には暖かくすら感じてしまいます。慣れとは怖いです。これが日本なら間違いなくコート羽織って毛糸の帽子かぶってマフラーグルグル巻きにして震え上がっています。

これから向かうのはアトランタ。1人の乗客として客席に座り、次の目的地へと向かいます。自分では操縦桿を握りません。業界用語でデッドヘッドと呼びます。英語の綴りも見たままdeadhead。直訳するなら死んだ頭。乗客として搭乗、フライトにはクルーとして直接は関わらないので頭を使う必要がない、ということでこの呼び名が定着したのでしょう。乗っている間は本を読んでいようと、ゲームで遊んでいようと、寝ていようと文句を言われることはありません。扱いも一般乗客と同じ。搭乗券を手にして、一般乗客と同じタイミングで搭乗します。

今月の裕坊は既に今月、来月の担当便が確定済み。会社としてもクルーとして飛んでもらった方がコスパは上がるので、デッドヘッドの数は当然少なめ。それに反してリザーブ、スタンバイ状態だとこのデッドヘッドの数は必然的に多くなります。リザーブとは様々な理由でクルーが足りなくなったときの穴埋めをするのが主な役割。急に機長や副操縦士などが足りなくなると、会社の乗務員配置担当がリザーブのクルーのケータイを鳴らして呼び出します。

例えばシカゴからボストンへ飛ぶ機長が急な病欠で飛べなくなったとします。我が航空会社にはシカゴにはクルーの配属先がないので、まずはどこかからクルーをシカゴへと移動させなければいけません。そこへデトロイトにいい具合に1人のリザーブの空きがありました。本社にある乗務員配置係が1人分の座席を確保し、そのリザーブクルーを移動させます。デッドヘッドで送り込むわけです。

おかげでその便はちょっと遅れながらもボストンまで飛ぶことができました。ところがその便がボストンへと向かう間に、他で遅延が発生していました。ワシントンからインディアナポリスへ飛ぶフライトが遅れて、その便のクルーが拘束規定時間を超えてしまいました。このままだと欠航になってしまいます。

そこでボストンへと到着したリザーブクルーをまたデッドヘッドで移動させます。乗務員配置係が時刻表を調べます。ところがボストンからワシントンへはあいにく直行便がありません。そこで本社はボストンからワシントンへの移動手段を検討します。ニューヨーク経由だと何とか3時間ほどで着けそうです。そこでまた座席が各便1席ずつ確保されます。ボストンまで飛んだクルーは再びデッドヘッドでニューヨーク経由でワシントンへと向かい、インディアナポリスまでお客さんを運びます。

この例でいうとそのリザーブクルーはデッドヘッド3便、担当便2便。もしインディアナポリスにそのまま宿泊して次の日デトロイトに戻るとなると、恐らくその便はデッドヘッド。直行便がないときは必然的にどこかを経由します。するとデッドヘッド2便。合計で見ると担当便2便でデッドヘッドが5便なんてことも。週末は便数も減るので本来直行便が出ている路線で2便を乗り継がないといけない場合もあります。お客さんとして乗る機会の方が必然的に増えてしまいます。

数ヶ月前までリザーブだった裕坊も、何度もデッドヘッドをこなしました。今日朝一はデッドヘッド。一旦アトランタに着いたら、ひたすらアトランタを行ったり来たりの4日間の始まりです。

 

裕坊

 

 

裕坊、出発準備

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

明日からの出勤に備えてYシャツにアイロンをかける裕坊。制服にアイロンをかける時が、明日からの仕事を実感する瞬間。気の小さい裕坊は何度もトイレに行きたくなってしまいます。出勤前は必ず3度トイレに座っている小心者。

昨日はデルタ航空本体で大型のエアバスに乗る友人に会ってきました。インディアナ州出身、数年ほど前まで裕坊の勤めるリージョナル航空会社で、ファーストクラスもない50人乗りの小さな飛行機を操っていた生粋のアメリカ人。日本語の勉強真っ最中で、まずまず綺麗な日本語も話せます。話題になるのは国際線のお話。

国際線、特に東へ西へと長距離を飛ぶ飛行機野郎にとって1番堪えるのがジェットラグ。俗に言う時差ボケ。7時間、8時間、日本行きの便ともなると機上の人となること12時間以上。日本との時差は米国東部時間と比較して夏場で13時間。冬場だと14時間。そして大抵の場合24時間で折り返して再び米国本土を目指します。しかもデトロイトに帰ってくるのではなく、違う都市へ行ってそこでまた宿泊して次の日にはまたアムステルダムへ戻ったりなど、フライトはほぼ一週間に渡り、担当便数も4本ほどになるのだとか…

1番ツラいのが寝る時間みたいです。米国での時間そのままに寝ればよさそうなものですが、そうも単純にもいかないようです。国内線、近距離国際線しか飛ばない裕坊にとっては、同じパイロットでも全く異次元の世界。

全く違う世界に住むといえば貨物専用便を運航する会社のパイロットたちもそう。アメリカには複数の貨物専門の航空会社が存在します。FedExUPSが代表的。日本にもボーイング747を主力とする日本貨物航空があります。裕坊、実はFedExに乗せてもらってメンフィスからデトロイトまで帰ってきたことがありました。

裕坊の勤めるリージョナル航空会社の現在の本社はミネアポリス。かつて本社はエルビス・プレスリーで知られるテネシー州メンフィスにありました。ときどき自分の休日にメンフィスにやってきては、近距離線のフライトをこなしてお小遣いを稼ぎます。数日のフライトをこなして家路に着く裕坊。当時の親会社ノースウエスト航空デトロイト行きを待ちます。デトロイトは天候が悪く、遅延は1時間、また1時間と伸び、拘束制限時間を超えたクルーは飛行機を飛べなくなり、デトロイト行きは結局欠航………………

諦めたような表情を浮かべて家路に着く一般の乗客から離れ、裕坊が向かったのはFedExの駐機場でした。メンフィス空港の北側には大きなFedEx専用の大型駐機場があり、昼間は全体真っ白に大きな紫色の帯が垂直尾翼に施された大型の機体が何十機と停泊しています。大きな塀に囲まれたそのFedExの駐機場。昼間は全く人影がなく、人っ子一人見ることはありません。

裕坊が向かったのは夜11時。昼前の静けさがウソのように賑わいを見せます。裕坊を乗せたシャトルバスは旅客ターミナルを離れると一旦FedEx従業員駐車場へと立ち寄り、FedExパイロットを何人も乗せて駐機場まで。実はメンフィスは世界最大の貨物航空会社FedEx Expressのお膝元。日が暮れると地上係員が押し寄せ、次から次へとやってくる貨物を飛行機に積み込みます。貨物で満載になった機材を各地に飛ぶのに深夜にパイロットがショーアップ。デトロイト行きの定刻は深夜2時。

3時間の時間を持て余して裕坊が立ち寄るのはカフェテリア。大きな透明プラスチック容器に野菜を盛り付けて3ドルを支払い、小腹を満たします。1時ごろになると名前を呼ばれ、デトロイト行きの担当便の機長にご挨拶。専用のらせん階段を昇り、飛行機へと乗り込みます。操縦席のすぐ後ろには4人がけのベンチシート。搭乗したのは裕坊1人で、疲れた体を休めるのに壁にもたれかかります。

デトロイト到着は明け方の朝5時。赤いマリオットホテルのシャトルFedExの事務所で3人を拾い上げ、機長と副操縦士2人をまずはホテルで降ろし、裕坊をそのあとデトロイト空港旅客ターミナルまで運んでくれます。裕坊が家に着くのは朝の7時ごろ。その頃貨物便を送り出したメンフィスの大型駐機場からは飛行機は姿を消し、人影はなくなり昼間の静寂を取り戻します。

貨物専門航空会社に勤めるパイロットたちは今日もこのフライトを繰り返します。昼行便の運航もありますが、大半は深夜の運航。業界ではこれを英語でOperations at the back side of the clockと呼びます。直訳すると時計の反対側の運航。即ち昼夜逆転フライト。裕坊にとっては一度きりの体験。対して貨物専門便担当の飛行機野郎にとっての日常。オンラインで注文した品が定時に我が家へと届くのには、彼らの努力が背景にあることを身をもって知る貴重な瞬間です。

明日も早朝の出勤。今度の4日間はデルタ航空のお膝元アトランタを往復する便を担当です。

 

つづく

裕坊

 

裕坊、充電再開

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今日からまた再充電。ここ最近は一まとめのフライトが終わると2日間のお休みを取るパターンが続く裕坊。1日目は洗濯と乾燥とお昼寝、2日目はアイロンがけして荷作りしてお昼寝、3日後には出勤…………しかも出勤は午前早いうちのショーアップ……………休みなど気づかないうちに終わってしまいます。

リージョナルの航空会社は、4日間をひとまとめにしてフライトをこなすのが一般的。一回のトリップ当たり10本前後のフライトを担当。デトロイト所属の裕坊は自宅もデトロイト近郊。出勤の日は自宅を出て車をデトロイト空港まで運転し、フライトが終わるとデトロイト空港から車を運転して自宅まで帰ります。何か当たり前のことのように聞こえますね。これが当たり前でないのが航空業界という世界。

実はフライトクルーにとって飛行機通勤は当たり前。裕坊もケネディ空港に配属されていた時期があります。フライトクルーには福利厚生の一部として、スタンバイにはなりますが、飛行機にはタダで乗れるという特典があります。他社便でもアメリカ国内であれば貨物専用航空会社のフライトですら乗せてくれます。それを利用してデトロイトからニューヨークのケネディ空港まで通勤してみましょう。

今日のお昼12時にケネディ空港を出発する便を担当するとします。11時までには出発便のゲートには着いておきたいですね。デトロイトからニューヨークまでは、出発ゲートから到着ゲートまでおよそ2時間ですから、遅くともデトロイトを9時に出発する便には乗っておきましょう。時刻表を見ると8時半に出発する直行便があります。家を2時間前には出た方がいいですから、6時半には家を出ましょう。

但し乗れるかどうかは当日のフライトの混み具合次第。スタンバイですから、必ず乗れるとは限りません。旅行シーズンだと乗れない可能性があります。最悪乗れないケースを想定して一つ早い便を考慮しておく必要があります。ケネディ空港行きではないですが、ラガーディア空港行きに7時発という便がありました。よく見ると空席がかなりあります。そちらに乗ることにしましょう。家を出るのは朝5時。ご、ご、ご、5時……………いしのようこさんのお約束のフレーズを口にして我が家を出発です。12時の便を担当するのに、家を朝5時に出発。

これを航空業界ではコミュートと呼びます。到底車や電車で通えない距離を通勤するのに、福利厚生を利用して飛行機を利用して州外から通います。ワシントンからニューヨークに通う者もいます。シカゴから通っている者もいます。中にはロサンゼルスからはるばる深夜便を利用して、朝の便に備えるツワモノもいます。日本からの通勤だって可能です。国外からの通勤を制限する事項は、通常航空会社にはありません。その気になれば地球の反対側から通うのも自由です。事実我が社にはインドネシアから通っている者がいます。どんな生活をしているのか、裕坊には想像できません。想像したくもありません。

1度や2度ならカッコいいです。1か月続くとダルくなります。3か月続くと飛行機を見るのがイヤになります。1年続くと自分がどこにいるのか分からなくなります。コミュートはあくまで休日の間の出来事としてカウントされます。インドネシアから通う彼はきっと飛行機マニアなのでしょう。夢のような時間を過ごしているに違いありません。

2日間のお休みの1日目です。今日の裕坊の予定。まず洗濯をします。そのあと洗濯物を乾燥機に移し替えます。そのあとお昼寝をします。そして愛妻ちゃんと息子くんが帰ってきて夕食をいただきます。とてもいい1日になりそうです。

おやすみなさい。

 

つづく

裕坊

 

裕坊、家路に着く

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今朝もここ最近お馴染みの早起きです。いつものようにクロワッサンをかじる裕坊。もう片方の手にはコーヒーカップ。

実は今朝の裕坊には大きなご褒美があります。それはちょっとゆっくり起きることができたことです。ホテルを出発する送迎シャトルの予約の時間は朝6時。何と4時までゆっくり寝ていることができたのです。3時に起きなくてもよかったのです。気持ちにもほんの少し余裕が出て、コーヒーの何と美味しいこと。1分でも多く寝ていたい裕坊には、これ以上ない何よりもの朝のご褒美です。間違いなくいい1日になることでしょう。

今日は3本のフライトをこなして、最後に目指すのは裕坊が所属するデトロイト。そのデトロイト自動車産業の斜陽と共に人口が激減。街の中心部は一時期はとても入れないほどに荒廃したそうです。今は再開発の真っ只中。ダウンタウンの中心にはデトロイトに本拠地を置くプロスポーツチームのスタジアムが並び、川沿いにはGMが本社を置く大きなビルが建設され、ガラスが割られ落書きが放置されていたビルは取り壊されて新しいものへの置き換えが進みます。

日本の領事館もダウンタウンの中。GMの本拠でもあるルネッサンスセンターに入り、訪問者用のバッジをつけて高いビルのエレベーターを昇ります。デトロイト近郊に住む日本人の多くが10年に一度訪れる領事館。パスポートは毎回ここで更新。かわいいカタコトの日本語を話すセキュリティー担当のアメリカ人男性が迎え入れてくれます。必要事項を書き込んだ更新申し込み用紙を提出すると、およそ一週間ほどで新しいパスポートの出来上がり。裕坊も2回ほどお世話になりました。

デトロイト近郊は自動車産業のおかげで日本人の数も多く、郊外にある日本人補習校は全米でも有数の規模を誇ります。毎週土曜日の開校。入学式に始まり、卒業式も執り行われる学校です。およそ900名の児童が在籍しているそうです。

さらには日本語と英語とを同時に学べる全日制の学校もあります。地元が管轄する学校です。こちらではその2ヶ国語教育を、イマージョン教育と呼んでいます。裕坊の息子くんもここで6年間お世話になりました。多くの友人に恵まれたことが、息子くんにとっての1番の財産です。先日息子くんが伴奏を勤めたリサイタルのお友だちも、その学校の出身。開校当時は児童の数も少なく、また地元での認識度もかなり低くて生徒数を集めるのに苦労しました。今となってはいい思い出です。

そこで出会った日本人家族の皆さんには、今もすごく仲良くしていただいています。パーティーなどに呼んでいただけることもあります。裕坊家族にとっても、とてもかけがえのない財産。ただ休日が合わず、なかなかお会いできないのがすごく残念。

フライトクルーのスケジュールは毎月20日前後に決まるのですが、入社日によって優先順位が決まり、それに応じて希望が聞かれる仕組みなので、未だに優先順位が低い裕坊には希望するスケジュールは取れません。それでも3回の土曜日のお休みは何とか確保。

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以前に比べればかなりの進歩。愛妻ちゃんの笑顔をいつもより多く見ることができます。日曜日は毎週、日本昔話の絵姿女房に出てくる兵六くんになり、家族や友人の写真をタブレットにたくさん入れて機上の人になります。

明日からの2日間のお休みにも少しモチベーションは少し上がります。ノースカロライナ州のローリーを出発しまずはニューヨークを経由。ビール工場で知られるウィスコンシン州ミルウォーキーを経由して、デトロイトには3時ごろに戻ります。愛妻ちゃんと息子くんに会えるのが、今からとても楽しみです。

 

つづく

裕坊

 

裕坊、3日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今朝もまた3時台の早起きでチョコクロワッサンにかぶりつく裕坊。取りあえずこれを片手にコーヒーカップを手にすると、何とか朝を迎えられます。本当は朝は大の苦手なのですが、眠い目をこすりながらも、空港の出発ゲートに着く頃には、しっかり起きているフリはしておかないといけません。しっかし何で毎朝こんなに早いの???

昨日はニューヨークを経由して、フロリダ州のジャクソンビルという街までやってきました。午前中にはフライトも終わり、お昼前にはホテルに到着。送迎シャトルに乗る瞬間が至極のひとときです。部屋に入り、着替えを済ませて椅子に座るときには、一瞬何もかも忘れます。頭の中がカラッポになります。そして気を取り直して外を眺めます。こんな感じの景色が目に入ります。

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昨日はミシガンの氷点下の寒さを忘れさせてくれる暖かさ。到着したときに20度近くまでになっていた気温は28度にまで上がりました。朝は霧が深く出ていたフロリダの街には、昼下がりには雲も切れて晴れ間が広がり、南国の日差しが降り注ぎます。ハワイを思い起こさせる心地いい風も通り過ぎていきます。2月の真っ只中であることを完全に忘れてしまいます。普段は宿泊滞在先でサナギになってしまう裕坊も、昨日はTシャツへと着替えてモールを散策しました。

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アメリカの航空会社のフライトクルーのスケジュールは、何千とあるフライトをコンピューターがランダムに組み合わせて作成されたひとかたまりのフライト(これを業界用語でトリップと呼びます)を各クルーに充てがうことで決まります。国内線が中心のリージョナルはほとんどが4日間の構成。3日間や5日間のパターン、日帰りが入ることもあります。スケジュールの組み方によって、長時間フロリダで過ごせることもたまにあるのです………たまにです……………航空会社クルーであるが故のご褒美の一つ。滞在先での過ごし方は、クルーによって本当に様々。

ジムに健康グッズにと体を動かすことに目がないアメリカ人は、到着するなりすぐに着替えをしてTシャツ姿にスニーカーで何処かへ姿を消してしまいます。ジョギングに精を出す者もいます。広いモールをグルグルとひたすら歩く者もいます。中には映画館へ行ってバケツ大のポップコーンを抱えたまま、映画を見るフリをして寝ている者もいます。お買い物にすっかりハマって、次の朝にはカバンが一つ増える者もいます。

お昼過ぎに外へと出た裕坊は、昨日はパラソルの下にあるベンチで1人南国気分を味わいます。スペイン語が周りを飛び交い、さらに南国気分を引き立たせます。そこで裕坊が食べるのはファーストフード中華の鶏肉。周りの景色と見事なほどミスマッチです。油の濃い中華を食べ過ぎて胃がもたれて、大後悔。南国気分がすっかり吹き飛びます。

広いモール内を散策しますが、あるのは「裕坊のお金欲しい、裕坊のお金欲しい」の金食いワニだらけ。憩いの場がなく並ぶのはお店ばかり。元々一人で過ごしていると、すぐ絵姿女房の兵六の気分に陥りますから、1時間も歩けば十分です。少し汗ばんだところで、部屋へと逆戻りです。

今日はニューヨークへと舞い戻り、ボストンを経由してノースカロライナ州のローリーが宿泊滞在地。暑い南国の気温へとまた舞い戻ります。

 

つづく

裕坊

裕坊、2日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今月は本当に毎日が早起き。フライト中はほとんど3時台の起床。早起きは三文の徳という諺をどうやら私の会社はよく心得ています。早起きすれば健康になりますし、1日が有効に使えます。夜も早く寝られます。言うことなしです。眠い目をこすりながら、今朝も6時発の便を担当です。

朝が早いのはなかなか慣れませんが、リージョナルの航空会社の待遇は劇的に改善されました。10年前、裕坊が今の会社に入社した当時は、副操縦士のお給料というとハンバーガー屋のパートの水準。生活はギリギリ、裕坊自身も自らのお給料だけでは食べていけず、親の援助をアテにしての生活でした。

お給料の水準が改善され、若いパイロットたちがリージョナルへ次から次へとやってきます。彼らの最終目標はメジャー。目が輝きます。研修が進み座学が終わると、新人パイロットは研修の一環で操縦席に搭乗。シミュレーターでの訓練前に搭乗する便が指定されます。ジャンプシートと呼ばれる操縦席のすぐ後ろにある座席から、ラインパイロットの操縦を観察です。

昨日はミシガンの生まれ育ちのジャスティンくんがショーアップ。ジャスティンくんはジェット機はこれが初めて。ジェット機の経験がない新人パイロットには、全てが新鮮。プロペラ機に比べると、およそ倍の速さ。セスナなどの訓練機と比較するとおよそ3倍。頭も3倍速で回転させなければいけません。機械類も今まで扱ったことがない、初めてのものばかりがずらりと並び、スイッチ類の多さにも圧倒されます。ジャスティンくんも不安顔。

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シミュレーターの訓練が始まると、最初の課題は出発前のチェック。一通りのチェックを済ませるのに30分という目標を教官から立てられて卒倒します。大抵最初は1時間近くかかります。一つのスイッチを見つけるのに10分かかることもあります。裕坊も吸収には時間がかかる方。新人の頃はいつもモタモタして機長をイライラさせていました。

慣れはすごいです。飛行時間が増え、飛行機に慣れます。スイッチの位置を覚えます。操作手順が身につきます。そのうちスイッチの位置を目を瞑っていても触れるようになります。チェックリストの読み上げ項目などは完全に暗記してしまいます。宙で言えるようになります。出発前のチェックは入社1年後にもなると5分で終わってしまいます。

ジェット機の操縦とは、実は同じ操作手順の繰り返し。短距離便が多いリージョナルジェットともなると平均で1日に3本から4本のフライトを担当。1ヶ月だけで50本前後のフライトをこなします。どの便を担当しても操作手順は同じ。操縦には長距離便、短距離便の違いはありません。どの便でも同じ操作を繰り返しています。パイロットにとって飛行機の操縦とは、乗り慣れた車の運転と同じ。体が完全に覚えています。ジャスティンくんもいずれそうなるでしょう。

その慣れた手順を今日は2回繰り返し。メイン州ポートランドを出発し、ニューヨークのケネディ空港を経由して、目指すはフロリダ州ジャクソンビルです。

 

裕坊

 

 

 

 

 

 

裕坊、お出かけ

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

裕坊、今日から再び出勤です。4日間のフライトへと出かけます。今週はニューヨークやボストンを基点とした東海岸のフライト。ニューヨークと小さな町を行ったり来たり。東海岸側はちょっと雨が降ったり雪が降ったりするとすぐ遅延騒ぎ。霧が出ようものなら、動きは完全に止まります。取りあえず、お天道様のご機嫌うかがいの4日間……

いつもなら週末の仕事に出かけるときは、愛妻ちゃんと息子くんが窓からお見送り。今日はそれが逆になり、こちらが2人をお見送り。昨夜の雪でうっすらと地面が白く被る中を、バタバタと嵐が過ぎ去るように出かけて行きました。愛妻ちゃんと息子くん、今日は早朝からのボランティア。剣道の大会がデトロイト近郊で開かれていて、日曜日が競技大会。たすき掛けや呼び出しなどのお手伝いです。裕坊も参加したかったのですが、お休みがあいにく取れず………

まだ防具を購入していない息子くんは昇段試験はおろか昇級試験すら受けることができません。成長期で顔や体の成長が早いので高価な防具を買うのをためらってしまいます。毎週土曜日の練習もまだ基礎練習だけ。防具を身に付けることができるようになると、本格練習も始まります。本人の希望で昇段試験も受けることができるようになります。もう少し多くお客さんを運んで、防具も購入しないといけません……

昨日は久々の週末のお休み、愛妻ちゃんとお買い物デートです。行き先はコストコ。裕坊はお店に入るなり、タブレットの前でまずは足が止まってしまいます。20分は足が動かなくなります。愛妻ちゃんはその間着るものを物色。それでも30分後には見事なタイミングでいつも合流です。スマホで連絡を取り合う必要もありません。

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今日のお目当ては掃除機。モーターが故障してしばらく掃除機が動かず、我が家はホコリだらけ。拭き掃除をするヒマすらない、多忙の3人。片付ける時間もなかった我が家に、ようやく新しい掃除機がやってきました。最近流行りの立てかけ式のスグレモノ。吸引力もなかなかのようで、早速愛妻ちゃんのお気に入り。家じゅうに真新しいモーターの音が鳴り響きます。コタツの周りを見回します。昨日まであった黒い糸くずもなくなっています。これでコタツに潜ったまま力尽きても、ホコリを吸う心配もなくなります。家が綺麗になるのはいいことです。

裕坊はこれから2人に1時間遅れて出発。今朝はオハイオ州シンシナティを経由し、ニューヨークまで。そのあと乗客の1人として客席に座り、メイン州ポートランドへと向かいます。

 

つづく

裕坊