Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊日記(2月5日)

米国航空会社で、地方路線中心の便を担当している、裕坊といいます。

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2月に入ってからは、不規則なスケジュール。日帰りのフライトを多く担当しています。

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この冬のアメリカ中西部の気温は高め。この写真を撮った日のカンザスシティの気温は、10度…

 

降雪量も過去に記憶がないくらい、少なく推移しているミシガン州

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入社して1年もならない新人ながら、週末のお休みが入ることも多く(米国航空会社では、1年目に週末の休日などは通常望めないのですが…)

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予期せず息子くんが参加するジャズの演奏鑑賞にも、駆けつけることができました。

 

小規模ながら、音響設備が整った舞台。
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400人収容。地域用のコンサートホールとしては、まずまずの座席数も確保されています。
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州内大学の演奏だったのですが、プロのジャズギタリストのゲスト参加などもありました。

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ご興味のある方は、ブルース・フォーメン(Bruce Forman)で検索してみてください。なかなかの指使いの持ち主です。

 

 

音楽といえば、平和の象徴……

 

 

でも最近よく目にするニュースといえば、仲違いを象徴するものばかり…ロシアとウクライナの紛争は言うに及ばず…

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最近では、中国の『気象観測用気球』が「誤って米大陸東海岸へと進入」し、米空軍機によって撃墜される、といった一幕もありました。

 

これは実際に撃墜された時の映像…
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中国では最近まで中国から発進されたものではないと否定をしておりましたが、

 

最近になって、「気象観測用気球が誤って東海岸に進入した」と見解を変更…

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でも気象観測用気球って、基本的にほぼ垂直上昇を目的として打ち上げ、気圧、気温、湿度等を測るのが目的なはず…

 

実際には太平洋を遥かに飛び越えてアメリカ大陸の、しかも東海岸にまで飛来……

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気象観測用気球は通常3万メートルよりさらに高い高度へと打ち上げられます。ジェット機が巡航する高度(旅客機の巡航高度は、通常12,000メートルほど)を遥かに上回る高度まで上昇しているので、一旦目標高度へと到達すると、偏西風などの影響を受けることはまずないのですが……

 

さらには観測用気球に搭載される機械は一般的にラジオゾンデと呼ばれるものが多く、大きいものでも直径1メートルほどで、人の手で十分に持ててしまうほどの大きさのはず…

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実際に画像で捉えられたものは、横に大きく広がる撮影装置付き…
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米政府の発表によると、どうやら5トン以上、バス3台分に相当する重さだったそうです…

 

しかもアメリカだけでなく、インドや日本などでも最近この映像が撮影されたばかり…

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本当に気象用観測気球なんやろか……
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どうしても政治が絡むと、意図して情報を捻じ曲げられてしまうのでしょう。

 

 

航空業界でも、同様の仲違いというのは存在します。
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その代表的なものといえば、カタール航空と、

 

エアバス社による非難、訴訟合戦でしょう…

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最近になってやっと和解案がまとまりつつあるようですが、2月5日現在、両社からの公式な発表には未だに至っていません…

 

そもそもといえば中東地域における初開催となったサッカーワールドカップに向けて、カタール航空エアバス350型機をW杯仕様の塗装へと変更しようとしていた時に、
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元々の塗装を剥がした際に『亀裂』が見つかった、とクレームをつけたのが両社間におけるいざこざの始まり。

 

カタール航空エアバス社に対し、執拗なまでに無償修理、損害賠償を要求し続けていました。
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その請求額たるや、6億1,800万ドルの損害賠償に加えて、1日当たり400万ドルの損失補填…ちなみに損失賠償を請求したのは2020年11月。ちょうど世界中がコロナ禍の真っ只中に陥り、ほぼ全世界で航空旅客需要がゼロになっていた時期でした…

 

確かにペイントを剥がした時に塗装部分がひび割れていたのは事実だったようで、エールフランス航空やルフトハンザ航空など、5社でも似たような事象は確認していたそうですが、

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各航空会社、ヨーロッパの航空局の最終的な見解は、「塗装部分だけの問題であって、安全性には全く支障はない」。

 

ところがカタール航空だけは納入済みの53機のエアバス350型機のうち、21機を運用体制から外した上で、さらにはロンドン裁判所でエアバス社相手に訴訟を起こすことにまでなりました。
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痺れを切らしたエアバス社は一時、カタール航空が発注していたエアバス機の契約を一方的に破棄する事態にまで発展…

 

訴えによると、塗装が剥がれて金属が剥き出しになると、落雷の危険性が高まる、ということらしいです…

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航空機における落雷は、基本的に主翼や尾翼の先端で起こる事象で、それを防ぐのはスタティックウィックと呼ばれる避雷針の役割なんですが……
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他には金属の腐食を誘発しやすく、機体の強度が低下する危険性を否定できないということですが……
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ならば非破壊方式による、金属強度耐性試験をすればええやん……
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今の技術をフルに活用すれば、放射線透過式、超音波式、ひずみ測定、赤外線カメラ方式、などなど、不連続部分の特定は様々な方法で特定できるようになっています。
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カタールは国土面積世界第164位ながら、豊富な石油と天然ガスを持つ産油国

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オイルマネーを背景に高所得者が多く、国民一人当たりのGDPでは一時は世界一を記録したほど。(一人当たりの国民総所得は、現在でも世界第2位)

 

しかし近隣諸国を始めとする外交では、傍若無人な振る舞いが絶えないのもカタールの特徴(写真右がタミーム カタール首長)…

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一時はサウジアラビアバーレーンアラブ首長国連邦などとの近隣諸国との国交断絶にまで至りました。(現在は一部で国交回復)

 

民間での出来事ですが、政治的なことが絡んでいると見て、間違いないでしょう……

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そして政治が絡むと、情報はきっと意図して捻じ曲げられてしまうのでしょう……

 

 

 

 

 

次回は火曜日から、2日勤務のフライトへ出勤の予定です。