アメリカ地域航空会社員、操縦担当係の、裕坊といいます。こんにちは。
今週の水曜日に4日勤務を終えて、日曜日から次の4日勤務。3日間のお休みをいただいています。
このお休みは歯医者さんにも行っておりました。
久しぶりにクリーニングをして、歯の検診もお願いしてみると……
虫歯が3本…
ただ最近の歯の磨き方自体は良くなっているのか、見えているところは綺麗に磨けている、とのお褒めの言葉をいただきました…
口の中にも、春よ来い……
まだ2月だというのに、日差しがすっかり春の様相のミシガン州です。
最近裕坊の中で一番お気に入りのスーパーにお買い物にも来たりして、
真っ先に手に取ったのはこちら、みかんジュース。日本のポンジュースとほとんど味も同じ。
3本ともまとめ買いしました…
そんな中入ってきたニュースといえば、ホンダジェットの納入機数。2020年は31機が納入されて、4年連続で小型ビジネスジェット機部門で世界首位だったそうです。
第二次大戦後、連合国軍の総司令部GHQ(General Headquarters)によって航空機製造を7年間制限され、航空機の製造に関するノウハウが何もなかった日本。
ホンダ社のウェブサイトを検索していると、開発の苦労がすごく伝わってきます。プロジェクトが立ち上がっていたのって、1986年やったんや……まだその当時、裕坊は高校2年生…
バブルの崩壊で社内での予算が大幅に削減されて、プロジェクトの打ち切りが言い渡されていた時期まであったんだそうです。
それでも開発は続けられ、遂には2003年初飛行にも成功。奇しくもライト兄弟の有人動力飛行の成功から100年。しかもライトフライヤー号が飛んだのと同じ、ノースカロライナ州。
ただその当時は、ホンダジェットの事業化をにおわせることは一切口にするな、と開発陣は釘を刺されていたそうです。
そこで開発陣は勝負に出ました。
世界に名だたる航空ショーのうちの1つ、ウィスコンシン州のオシュコシュで開催される航空ショーへの出典を決意。
オシュコシュの航空ショーは、夏季7月下旬から8月上旬に開催され、全世界から多くの航空ファンで賑わいます。
2005年の航空ショーに出展されたホンダジェットは拍手喝采の大きな注目を集め、発売、販売、予約に関する問い合わせが殺到したのだとか…
ただこれだけの注目を集めながらも、ホンダジェットの紆余曲折は続きました。
そこから合計で3,000時間以上もの試験飛行を繰り返し、70箇所以上にも及ぶ空港やら試験施設でのテストを経て、正式に航空機としての一歩を歩み出す型式照明を連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)から取得したのは、10年後の2015年。
血の滲むような努力の結晶が、やっと身を結びました。
従来の小型ジェット機と見た目があまり変わらないホンダジェットですが、他機種とは大きな違いがあります。通常ビジネスジェット機といえば、エンジンは胴体後方から伸びているのですが…
写真はセスナ社製、サイテーション。オーソドックスなビジネスジェット機で、アメリカでよく見かけるジェット機の1つ。
こちらはボンバルディエ社製のチャレンジャー。
ちなみにこちらは、裕坊が乗務しているCRJシリーズのリージョナルジェット機。
ボンバルディエ・チャレンジャーが原型になった派生型の飛行機なので、こちらもエンジンは胴体後方の取り付け。
それに対して、ホンダジェットは主翼の上面に取り付けらているのが、大きな特徴。
翼の上にエンジンを置くことによって、従来のような胴体後方取り付け型のようにエンジンを支える構造が胴体内には要らなくなるため、機内を大きくすることができるという、小型ジェット機が抱える悩みを解決することに寄与しているそうです。
従来の固定概念を覆したデザインを採用して、小型機の主流への階段を駆け上がったホンダジェット。
プロジェクト立ち上げの頃から開発に携わっていた開発責任者の藤野さんは、ホンダジェットに乗って初めて日本の空を飛んだ時、こう感じたんだそうです。
『日本に生まれてよかった』
アメリカ、日本だけでなく、既に欧米や東南アジアなどでも販売されていて、昨年にはロシアとパキスタンの航空局の型式照明も取得済み。
現在までに170機ほどが納入されているそうです。
これだけの紆余曲折を経ながらも、夢を実現したホンダジェットを見て、日本人の定期航空会社のパイロットとして頭に真っ先に思い浮かんできてしまうのは、やっぱりこちら。
三菱航空機社が手がける三菱リージョナルジェット改めスペースジェット。
ちなみに三菱航空機社は、リージョナルジェット機の代表格であるCRJシリーズの販売権を、開発元のボンバルディエ社(本社:カナダ、モントリオール)から購入していて、
現在の正式な型式名称は、三菱航空機・カナダエア・リージョナルジェット。
そのCRJシリーズ…既に生産終了が間近で、生産は合計で1985機。
その最終機が完成すると、CRJシリーズは全ての生産が終了します。
販売権の引き継ぎにより、整備点検も三菱が請け負っていますので、
その間に培った航空機のノウハウを活かして、
現在立ち止まっているスペースジェット機の完成に、是非漕ぎ着けていただきたいです。
日曜日から、4日勤務のフライトへ出勤します。