アメリカの航空会社で、小型ジェット機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。
中国武漢に端を発した新型肺炎、コロナウィルス。3月中旬にはアメリカ国内でも感染が広がり始め、特にニューヨークを始めとする東海岸では肺炎患者が激増……
ベッドの数は不足し、病院のあらゆる施設があっという間に集中治療室へと変貌します…
ベッドの置き場がなくなった病院では、通路にまでベッドが並ぶ異常事態となりました…
死者の数も激増……
通常の霊安室では、死者の遺体を抱えきれなくなり……
次々と遺体が運び出されて……
病院に横付けされた冷凍トラックに、一時的に遺体を保管せざるを得なくなるという、異常事態……
一時はセントラルパークに、野戦病院までが設置される始末……
各地で都市封鎖も行われて、レストランだけでなく、劇場や映画館、美容院なども軒並み閉鎖に追い込まれ……
外出制限を課されて、自由に外出することすらままなくなり、旅客航空需要は『蒸発』……
利用客を失った各航空会社は、旅客便を次々に欠航させます……
行き場をなくした飛行機は、あちこちで保存状態に置かれることに……
旅客ターミナルからは、人の姿が完全に消え……
旅客便に乗ってくるのは、スケジュール上に組まれた移動で、客席に乗ってくる乗務員のみ、なんてこともありました。
経済が各方面で大きく沈み込む中、アメリカ政府は、経済的救済措置を発表。2.2兆ドル(日本円でおよそ230兆円)にも及ぶ『コロナウィルス支援・救済・経済保障対策法(Cares Act:Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act)』を発動させます。
各家庭には1世帯当たり平均で3,400ドル(大人1人あたり1,200ドル、子ども1人あたり500ドル)が支給され、失業した一般個人に対しては、通常の失業保険に加えて、一律1週間当たり600ドルが上乗せされました(7月末までの支給)。
企業も大きく影響を受け、中でも旅行業界は人の移動の需要が『消え去り』、旅客航空業界は軒並み利用客数が前年比で90%以上減……固定費の経費に占める割合が高い航空会社は、1日当たりの赤字金額が一時は1億ドル(およそ105億円)を超えるなど、保有現金がかなりの速さで枯渇するなど、青色吐息……
そんな中、各航空会社は、コロナウィルス対策の緊急支援策で、給与支払いへの支援(Payroll Support Program)を受け取ります。
ただし、給与支払い支援金の受け取りに当たっては、航空会社には様々な付帯条件が課されました。代表的なものとしては、自社株の買い戻しの禁止、株配当の受け取りの禁止、最高経営責任者、社長、その他重役クラスの昇給、退職金の授与の禁止など…
さらには、最先端で働く従業員たちの、強制的な解雇や雇用凍結の禁止なども、条項に含まれることになりました。
その給与支払い支援策の期限は……
9月30日(水)………
給与支払い支援なしには、到底健全経営がおぼつかない状態にある航空会社。兼ねてから給与支援策の延長は、連邦議会でもずっと議題に取り上げられ、各航空会社とも支援延長を強く要請し続けました。ただ、共和党案と民主党案での金額の隔たりや考え方の相違をどうしても埋めるには至らず……アメリカ最大のパイロット組合(ALPA:Air Line Pilots Association, International)も、連邦議会に、強く働きかけをしてきたのですが……
残念ながら、期限内の更新には至らず………
アメリカン航空では、19,000人というかなりの規模にのぼる従業員の雇用が、強制的に一時凍結になることに……
写真下は、アメリカン航空・最高経営責任者、ドーグ・パーカー氏。給与支援策が延長、もしくは再開されるのであれば、一時雇用凍結を即時中止し、全従業員を復帰させる意向を示しています。
ユナイテッド航空でも12,000人が、一時的に雇用凍結…
ただ幸いなことに、ユナイテッド航空では、パイロット組合と会社側での減給案が締結され、
4,000人近くにのぼる予定だった一時解雇は、来年11月まで中断とすることが決まったそうです。
裕坊が勤めるのは、デルタ航空傘下の地域航空会社。幸いなことに、我が社では一定数の無給休暇への募集があり、今のところ強制的一時雇用凍結は避けられそうな見通しになっています。ただ、今後の需要の推移によっては、これもどうなるかは分かりません……
多くの航空会社にとって、利益の根幹となるのはビジネス利用になるのですが、ビジネスでの利用は裕坊が見る限り、まだまだ弱含み……需要を喚起できるのか、オンラインビジネスが浸透しつつある今のビジネス業界に、航空業界が入り込める余地はあるのか……ここが今後の航空会社の生き残りの鍵を握ることになりそうです。
まだまだ感染の収束が見えないアメリカ……とうとう今度はトランプ大統領が、感染してしまいました……
「マスクを俺はつけない」と、マスク拒否の先導役を買っていたトランプ大統領。
大統領選を1ヶ月後に控える中、選挙活動の締めくくりに大きな影響を及ぼしてしまいそうなことになっています…
今後の大統領選の行方にも、要注目です。
暗いニュースが続いて、気分が晴れない中で、昨日木曜日は日帰りで4本のフライトを担当でした。
朝薄暗いうちから、所属するデトロイト空港までやってきて、
昨日はまずミシガン州西部の主要都市、グランドラピッズを往復。
長らく保存状態に置かれていた、客席数69のCRJ−700型機でのフライトでした。
デトロイトに戻ってきて、3時間ほど待機。
空港内の電車は、今も運休したままになっています。
車でのお迎えスペースから出発ゲートまで歩いてほんのわずか、というコンセプトで建てられたターミナルなので、
ターミナル内が極端に狭いのが特徴。老朽化も著しいので、既に建て替え工事が始まっています。
フライトを終えたのは、日が暮れかけていた7時過ぎでした。
金曜日に1日お休みをいただいて、次の4日間のフライトへ、土曜日に出勤です。