Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、お休み

アメリカの小型旅客機の操縦担当をしている、裕坊と申します。こんにちは。

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連日最高気温30度を超えるミシガン州、久しぶりにスプリンクラーで芝に水を撒いておりました。

 

本格的な夏になって、壊滅的な影響を受けていたアメリカの航空需要は徐々に戻りつつあります。裕坊が勤めるリージョナル航空会社の、昨年の1日平均旅客便数は910便。需要の激減を受けて欠航が相次いだ4月中旬は、最大で欠航数が800を超える日もあり、運航便数が100台にまで落ち込んだ時期もありました……その頃の平均搭乗率は一桁台前半で、乗客が1名や2名といった便がほとんど………それが今日7月6日(月)の実績を調べてみると、522便。6割近くまで運航便数は回復しています。

 

デルタ航空の管轄するフライトでは、我が社の機体も含めて、一部の座席を空席にしたままの運航を続けていますが、アメリカン航空では先週より3人がけの真ん中座席といえども販売するようになりました。

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ここ数週間は、7月4日のアメリカの独立記念日に合わせて、移動するお客さんの数も増えていましたので、

 

空港がこんな状態になり、

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機内も隙間がないくらいに混雑して、
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最悪の場合、こんなことが起こる可能性だってありました…
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ただアメリカン航空は、財務状況がよくないアメリカの大手航空会社3社の中にあっても1番危機的な状況ですので、背に腹は変えられない事情もあるのでしょう。

 

飛行機は空気の薄い高高度まで上昇しても、機内で一定の気圧を保つことができるように、エンジンが取り込む空気の一部を温度などを調整した上で機内に取り込み、これを常に循環させて3分に一度の割合で強制的に空気を入れ替えていますので(これを与圧装置と呼び、同時に機内の温度調整にも使われます)

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同じ密閉空間の中でも、比較的安全とはされているのですが、満員になった機内でどこまで安全と言えるのか、裕坊には分かりません……満員になった客席における集団感染がないことを祈るばかりです。

 

 

既に日本でも報道されていますように、ここ最近のアメリカのコロナ新規陽性者の報告数、1日あたり5万件という尋常でない数が上がっています。第2波は秋以降にやってくるものと思いきや、まだ第1波を押さえ込めていないのが現状……先日はアラバマ州タスカルーサ市で、学生たちが「コロナパーティー」までやっていたというのは論外として………

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お金を賭けて、最初に新型コロナウィルスに感染した人が賞金をもらうことになっていたらしいです。タスカルーサ市の市議会議員さんも、頭が痛かったことでしょう………

 

そうでなくても、マスクの着用をめぐる論争が絶えないアメリカ……もはや政治問題とまで化す過熱ぶり……特に共和党支持者の間におけるマスク拒否の頑ななまでの姿勢は、簡単には変わりそうもありません。

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トランプ大統領は、先日になって急に自身のトーンを翻し、マスク着用を「推奨する」に至りました。ただ最近になっても公の場では一切マスクを着用する姿は見せていません……

 

これは「マスク着用を推奨」する以前の画像ですが、

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マスク製造工場を自らの足で訪れたときでさえ、マスク着用を拒む徹底ぶり……

 

トランプ大統領のシンパでもある、ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領も同様で、ボルソナロ氏の場合はコロナウィルス政策をめぐって保健相を2人も更迭しています。

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先日は連邦裁判所によってボルソナロ大統領個人に、最低限首都ブラジリアとその周辺地域における公共の場でのマスク着用を命じる判決までが下されました。ところがボルソナロ氏は、大統領に与えられる拒否権を発動。感染拡大阻止よりも、都市封鎖による経済的打撃の方が影響が甚大だとして、徹底的に拒否。今月2日(木)には、6,600人が既に死亡しているリオデジャネイロでのバー再開にまで踏み切っています……

 

サンディエゴのスターバックスで、マスク着用を拒否してコーヒーの提供を断られた腹いせに、バリスタの顔写真をインスタグラムに載せた女性のアカウントが大炎上してみたり……

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同じようにコストコにマスクなしで入ろうとした男性客が、入店を断られてみたり、
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5月にコストコが入店の際のマスク着用を義務化する方針を示したときなどは、コストコに対する不買運動までが持ち上がったことがありました……

 

フロリダでは、マスク着用義務化をめぐって公聴会が行われて、

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8割の人たちが、マスク着用への抵抗感を臆すことなく述べておりました。

 

最近では、マスク拒否を揶揄する風刺画までが新聞紙上などで取り上げられる始末……
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マスクの効能はアメリカ疾病予防管理センターなどでも取り上げられるようになり、アメリカでも多くの方が公共の場でマスクをするようになりましたが、完全に一般に浸透するにはまだまだ時間がかかるかも知れません。

 

こういった方達でも、恐らく手洗いを拒否する人はいないのでしょうが………手洗いも実は19世紀まではむしろ非常識とされていて、東ヨーロッパなどでは、子供を産んだばかりの母親が産褥熱と呼ばれる病気で亡くなる例が後を絶たなかったそうです。これは当時の医師が、手洗いを全く行っていなかったのが原因だったのだとか。掌が媒介する病原菌や微生物が科学的に実証されるようになったのも20世紀に入っての話。マスクの効果がアメリカやブラジルなどで認識されるのも、同じように時間がかかるのかも知れません……

 

マスクをここまで頑ななまでに拒否してきた、ボルソナロ大統領。

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38度を超える高熱を出しているそうです。既に検査を受けており、現在結果待ち。もしコロナウィルスに陽性だったとしたら、どんなこと言うんやろ………

 

 

7月23日(木)に、首都ワシントンにてワシントン・ナショナルズニューヨーク・ヤンキースの試合にて、2020年シーズンの火蓋が正式に切られることになった大リーグ。ただ選手やチーム首脳陣にもコロナウィルス感染者は出ていますし、感染再拡大に呼応してテキサス州など一部では都市再封鎖の動きも出てきています。そのためシーズン開幕前のキャンプを、3球団が中止することに………

 

またナショナルズのジマーマン内野手や、ロッキーズのデスモンド選手など、既に今季の辞退を正式に発表していた選手がいたのですが、さらに出場辞退を申し出る選手も相次いでいます。今日7月6日(月)までにブレーブスのニック・マーカキス外野手、

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さらには2012年タンパベイ・レイズ時代にサイヤング賞を受賞したデイビッド・プライス投手。今季からドジャースでプレーすることになっていましたが……

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彼も13億円に相当する年俸を破棄してまで、出場を辞退することを発表。

 

こちらは長年シアトル・マリナーズの孤高のエースとして活躍を続けていた、フェリックス・ヘルナンデス投手(今季はアトランタ・ブレーブスマイナー契約)も辞退。
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さらには正式には表明こそしていないものの、数名の選手が辞退を検討しているそうです。

 

アナハイム・エンゼルスの押しも押されぬスーパースター、マイク・トラウト外野手。
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球界最高年俸を誇るトラウト選手、まだ今季の出場をするかどうか、決断に至っていないそうです。

 

こちらはサンフランシスコ・ジャイアンツの顔ともいえる、球界を代表する捕手の1人、バスター・ポージー選手。
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彼もまだ今季の出場をどうするか、迷っているそうです。仮に7月23日から予定通り開幕したとしても、州によっては2週間の隔離を義務付けられたり、様々な障壁が残ることになります。それらの壁を全て乗り越えることができるのかどうか……まだまだ開幕への道のりは険しそうです。

 

 

裕坊、休日を数日いただいて、再びスタンバイシフトで自宅待機になりました。