Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、2日目終える

アメリカの地域航空会社で、小型旅客機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

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昨日5日間連続のフライトへと出勤して、水曜日は2日目でした。

 

昨夜はデトロイトからクリーブランドを運航。この2地点間を車で行くとなると、エリー湖の周りを回って行かないといけないので2時間半ほどかかるのですが、

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飛行機だと直線で行けてしまうので、離陸から着陸までの時間、なんと…

 

 

25分……

 

 

飛行機の車輪がデトロイト空港を離れる頃には、クリーブランド空港での着陸のことを、もう既に意識していたりして……気づいた時には、既に飛行機が地上滑走していたりします……

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今回の5日間のフライトは、宿泊滞在がいずれも12時間ほどとかなり短いので、早くホテルへと行きたいのですが……

 

送迎シャトルの乗り場を探すのに四苦八苦…

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やっちもうた……

 

シャトル乗り場は、ここ1年間の間に何度か変わって、
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2年前と同じところに戻っているという、オチがついておりました………
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2日目の今日水曜日は曇り空の中を、出勤。

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まずはミネアポリスへと向かいます。

 

ミネアポリスへと着いてみると…当然のようにボーディングブリッジが近づいてくるのですが……

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ボーディングブリッジを動かしているゲート係員とともに、会社の従業員証を身につけた管理職の人を見かけたら、大抵乗務員の運命は決まっています……

 

もうアメリカの航空業界にお勤めの方ならご存知……

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そろそろ行く時間やで………管理職の人は、大抵書類を手にしたままニヤニヤした顔で立っていて、お客さんが降りるのを待っているのですが、その間パイロットたちがコックピットの中で交わす会話といえば、「今日は一体誰の番やあ〜」……

 

乗客の皆さんが全員降りたところで、ミネアポリス空港に所属する我が社の管理職さん、おもむろに操縦室の中に入ってきて……

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『裕坊、お前の番や』………

 

 

イヤな予感は当たると、かつて偉人のマーフィーさんがおっしゃっていたのを、思い出しました…
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実は今日裕坊に順番が回ってきていたものとは、アメリカではよく行われる、業務中の抜き打ち薬物検査……

 

アメリカでは、かなりの確率で、尿の検体をとっての検査になります。
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指示されるままに、関係者専用の通路を通り抜けて、

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我が社のクルーラウンジまで……
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ここのトイレで、担当の係員が待機しておりました…

 

大麻マリファナなどの違法薬物常習者、あるいはアルコール依存症というのでもない限り、大抵は難なく通過します。トイレに行ったばかりの時には、おしっこがなかなか出てこなくなるので、時間がかかる時もありますが……

 

この薬物検査は、ほぼ例外なく事前の告知がない、抜き打ちによるもの。飲酒癖があったり違法薬物の履歴などがあると、これですぐ判別されてしまうので、アメリカの航空業界ではアルコール依存症などの話も、最近ではすっかり耳にしなくなりました。ちなみにこの薬物検査を拒否して、勝手に帰宅したり、急な病欠を申し出たりすると、連邦法の処罰の対象になるので、拒否はまずできないです……
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決まった時間や毎回空港への出勤時、というのではなく、いつやってくるか分からない抜き打ちによる検査、ということで、一定の効果を上げている、ということなのかも知れません。

 

今回も無事に終えて……
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お店が全店閉店していて、ほぼ無人のフードコートのテーブルに座って、

 

ほんのちょっとの寛ぎタイム……
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本当は2時間の地上待機が入っていたのですが、結局テーブルでゆっくりできたのは、20分ほど……

 

そして今日はミネアポリスから、ノースダコタ州のマイノットを往復。
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マイノット空港のターミナルは新しくなったばかりで、天井も高く、窓も大きくて日の光がたくさん入ってくるので、ゆったりと落ち着いて出発便を待つことができます。
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そしてハイライトは、ミネアポリスへと戻ってくる折り返し便……

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局地的な悪天候が発生していて、そんな時は風も強くなる傾向にあり、最大瞬間風速が15メートルを超えることも珍しくないのですが、

 

 

今日は久しぶりに、20メートル超え………

 

 

航空界でよく使っているノットという単位に換算すると、風速40ノット……風速30ノットは普段でもよく目にする数字なのですが、風速40ノットとなるといつ以来かな、というくらいの風速で、今日火曜日は突風による最大風速、なんと風速45ノットを超えておりました……機体が小さく、機重が軽いリージョナルジェット機になると、揺れ具合も半端なく……着陸直前になって、風速の急激な変化を示す警告灯が計器画面に上がってきて、着陸やり直し……

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再上昇中に、自動操縦が稼働させられない状態になって、さすがに副操縦士も手に負えなくなってしまったのでしょう。操縦桿は副操縦士が握っていたのですが、裕坊が変わって操縦桿を握り、やっとのことで着陸……

 

実は巡航中に、こんな警告が上がっていたのですが、これが原因で自動操縦を再稼働させることができなくなっていたらしい……

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本当は同じ飛行機で折り返して、次の目的地に出発するはずが、飛行機は乗り換えることにまでなりました……

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そしてやってきたのが、ウィスコンシン州マディソン空港。
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ミネアポリス着陸時ほどではありませんでしたが、こちらでも風が吹き荒れていて……

 

 

滑走路へと降りていく飛行機の中で、ダンスダンス……

 

 

安堵の表情を浮かべながら、ホテルへと向かうシャトル乗り場へ……
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至福の瞬間……
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初日の夜から走り続けて、2日目をなんとか終了……

 

 

明日3日目も今日と同じく、4便を担当の予定です。