Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、休日

アメリカの小型旅客機の窓から、いつも景色を眺めている、裕坊といいます。こんにちは。

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月曜日に4日間のフライトを終えて、3日間のお休みをいただいています。普段の年だと、息子のスケジュールに裕坊自身の体内カレンダーを合わせるのですが、今年は3月中旬には休校が決まって、結局その後学校は再開せず……メリハリのないまま夏も終わりかけて、ミシガン州の空は、もうすっかり秋の気配…

 

秋になると、ミシガン州はすっきりと晴れる日が減って、今朝は朝からどんより曇り空でした。

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土砂降りの雨まで降ってきて……
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でも午後になると、カラッと晴れてみたり。
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女心と秋の空………

 

本当によく変わ………

 

もとい、午後はとてもカラッとしておりました。

 

ちなみに、長年勤めた幼稚園を退職した愛妻ちゃん、日中の時間に余裕が持てるようになって、最近は花壇に花を植えたりしています。
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渡米当初は、裕坊のパイロットのライセンス取得にかかる訓練費用で貯金は完全に底をつき、航空会社に入社後も、お給料は裕坊が製薬会社でサラリーマンをしていた頃の初任給に肩を並べることすらなく……家計は火の車……

 

機長に昇格するまでの間は、貯金はおろか、生活をして行くのもやっとの状況で、愛妻ちゃんもしっかりと家計を支えてくれました。
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まだ仕事の意欲自体はあったようですが、コロナ禍をきっかけに、体力的なことを考慮して、退職を決意。

 

現役中は、肺炎まで患うほどの激務をこなしてきたので、結果論ですが、いいきっかけになりました。

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そんなわけで、やっと花壇などにも手を付けられるようになったのですが、だからといって家で毎日ゆっくりしていられるか、というと、実はこれがそうでもなく……

 

3日間のお休みの間も、あちこちお出かけ……

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息子がここにきて、友人の勧めで急にテニスを始めてみたり、急遽入ってきた音楽会の練習へと赴いたり……今まで先のことには、関心がありながらも朧げなイメージしか抱いていなかった息子、ここに来て具体的に自ら大学への入学の要件を詳しく調べるようになるなど、頼もしくなってきました。

 

大学入学の合否も、裕坊の頃のような一発勝負と違い、高校を通じての学業の成績に加えて、ボランティアなどの様々な活動の内容も評価の対象になるのが、現代のアメリカ流。こちらでは、好印象が残る入学願書を作成するためのビジネスまで存在します。
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その息子の希望に応えられるように、親も付き添いで東奔西走……

 

 

まさに初期投資……ただ裕坊の頭をよぎることが1つ……先立つものがなかったとしたら、これ、一体どうなるんやろ……

 

 

フードスタンプと呼ばれる生活保護を受けるような家庭にもなると、普段の生活で手一杯……自己を高めるための資金などはなく、子供たちの学力を高める機会は得られず、スキルは磨けず、ましてや大学へ通う学費などとても捻出できず……アメリカでは機会均等がよく叫ばれますが、資金がなければ大学にすらまともに通えないので、キャリアを積むにも、学歴が重視されるアメリカでは、まずスタート地点にすら立てないです。

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裕福になりたかったら、苦労を積み重ねて這い上がればいい、というのは、あくまでタテマエ……奨学金があるじゃないか、とはいっても、そこに到達するまでのプロセスを踏むことすらできないのが現実……貧富の差は広がる一方で、中流階層アメリカではかなり没落……思うに「資本主義」が行き着いた先でもある「金儲け主義」「株主至上主義」をここ20年に渡って貫いてきたアメリカの今の惨状が、ここにあります。一般の労働者の実質賃金は下がる一方で、キャリアを積むのに必要な条件を揃えることが、非常に厳しくなりました。

 

 

アメリカでは「社会主義」というフレーズに対してアレルギー反応を起こす人が多いのですが、「社会主義的要素」を少しずつでも取り入れてみることを、真剣に検討する時期に来ています。

 

 

まずは、教育と医療からでいいから……

 

 

大学に行くまでの間だけで、ン百万円単位の投資……仮にそれで自分が思う大学への入学の夢を叶えることができたとしても、そこから卒業するまでの間で、学費がさらにン千万円……ここまで達成して、やっとキャリアのスタート地点に立つことができ、そしていざ社会に出たら、またキャリアを積む為に激しい競争の中であくせく…………これが夢の国、アメリカ合衆国という国の今の現実………

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さらに医療体制を見てみても、先進国であるのなら医療くらい自由に受けられてよさそうなものですが、一般のアメリカ人には気軽に医療は受けられない現実があります。診療報酬制度が導入され、同じ治療内容であれば統一価格になる日本と違い、アメリカでは医療請求額が各医療機関の独断での裁量によるという、言い値による診療制度。コロナによる肺炎の治療で、100万ドル(日本円でおよそ1億円)だって、十分に合法……現実に1億円分の請求は、アメリカでは起こりました。仮に人工肺をつけたって、日本では1億円の医療請求は起こりません……

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医療費の請求が怖くて、病院へ訪れる気分になどとてもなれず、結果的にコロナウィルスの症状をこじらせてしまっている人も多いのでしょう……アメリカにおいてコロナが原因で亡くなった方の数、8月26日現在で17万9,708名となってしまいました。

 

 

とても先進国の現状とは思えないです………

 

 

ただ嬉しいことに、次世代の人たちは、アメリカの将来を真剣に見据えています。昨年8月末にハーバード大によって行われた調査で、「企業の存在意義」に対する意見を募ったところ、これまでアメリカが20年間に渡って掲げてきた「企業による株主至上主義」を支持しない傾向が浮き彫りになりました。2000年代に入って成人を迎えたミレニアル世代の労働者間では、51%が「資本主義を支持しない」と回答。3分の1は「社会主義に変わることを望んでいる」と回答しました。2018年ギャラップ社調査でも、「資本主義を肯定的に捉えている」と回答したのは約45%で、2013年調査時の68%からなんと23%も下がっています……

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今年の大統領選挙の、民主党候補者選びで、自称「民主社会主義者」を掲げたバーニー・サンダース氏が大躍進した時期がありましたが、30歳未満の有権者のうち8割以上がサンダース氏支持でした。現状に不満を持つアメリカの次世代を担う若い人たちが、しっかりと未来を見据えているのが、数字にも如実に現れています。

 

「企業」だけでなく、「教育機関」や「病院」までが「金儲け」に奔走している、今のアメリカの現状……どこまでその現状に穴を開けることができるのか……自らのキャリアも大切ですが、息子にはもっと視野を広げて、社会に貢献できる一員になってほしい、これが裕坊の息子に対する願いです。

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その息子、学校は来月の第2週の火曜日から再開になるのですが、当面はオンラインによる授業となりました。1年間全期間、オンラインでの受講ができる選択肢もあり、家族と話し合った上で、息子は1年間(2021年6月まで)の全ての授業をオンラインで受けることを決断。高校や大学クラスになると、インターネットを介した授業を選択するところが増えているようです。

 

 

裕坊はもう1日、お休みをいただいています。