Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、4日間のフライト

米国で、小型旅客機に乗っている、裕坊と申します。こんにちは。

 

昨日木曜日のお昼過ぎに出発して、4日間のフライトへと出発しました。昨日は夕焼けをほぼ真正面に見ながら、デトロイトから、同じミシガン州のほぼ中央に位置するトラバースシティまで。

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夏は観光で来られる方が多い、別名「チェリーキャピタル」とも呼ばれる、さくらんぼでも有名な田舎町。
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金曜日は夕方ゆっくりの出発で、
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7時過ぎにデトロイトまでやってきて、
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レストランは、けっこうな賑わいでした。

 

やってきたのは、コネチカット州ハートフォード
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既に8月は、1ヶ月間のスケジュールが確定した中でのフライトをこなしています。

 

 

6月と7月“度”は欠員補充交代要員として過ごし、昨日7月30日(木)が、変則的な「8月度初日」。アメリカの航空業界では、担当便が1ヶ月分確定している通常のスケジュール(これをアメリカの航空業界では、『ラインを持つ』と呼び、社内のスケジュールにまで、その表現が採用されています)とスタンバイ役(業界用語で『リザーブ』と呼びます)がはっきり区別されます。

 

ラインを持つ者は1ヶ月間ずっとラインホルダー(Line Holder)として扱われ、リザーブは1ヶ月間ずっとリザーブ

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リザーブの場合は、1ヶ月間スマホ片手にフライトが入るのを、ひたすら待ちます。リザーブのシフトは1ヶ月あたり我が社の場合で18日か19日で、休日が12日。2ヶ月間はずっとリザーブで過ごしておりました。

 

旅客需要自体は、まだ平常時の3割程度。さらに最近は乗客の皆さん同士の距離を確保するために、76名分の客席のうち搭乗可能な上限を44名に抑えているので、実際の搭乗率は6割が上限。ただデトロイトミネアポリスなどの主要基幹空港から比較的規模が大きい都市への路線といえども、1便あたりの乗客数が40名前後という路線が少なくないので、少しでも利益率を確保するために、デルタ航空本体の平均150人乗りの機体から、小型リージョナルジェット機へ機材を置き換えての運航が多くなり、6月後半から7月にかけては、スケジュールが入りまくり……この時期になって、思いも寄らず入社以来最も忙しい月を過ごしておりました……

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8月度は既に担当便が1ヶ月間に渡って確定しているので、とりあえず機材の急な変更に大きな影響を受けることはないです。8月度は、2日間の休みを挟む形で、4日間のフライトを2週連続に渡ってこなして、そのあとしばらくお休みが入ることになりました。

 

 

ただ会社にとってみると、『リザーブ』で待機している乗務員をフル活用しないといけない状況にあっても、それは一部の航空会社の小型機だけに限った話………未だに航空業界全体として、落ち込みが激しい状況には変わりはないです………昨日はアメリカ政府が、第2四半期の国内総生産の統計を発表。年間換算でほぼ33%の減少という、記録的な落ち込みだったそうです。航空業界の場合、3月から5月にかけては需要が9割減という、需要が消滅、蒸発したと言っても過言ではないほどの悲惨な状況になりましたので、むしろGDPよりも落ち込みは激しかったと思います。

 

 

航空会社によっては、既に一時的な雇用凍結(これを英語でFurloughと呼びます)の可能性がある旨の通知が、従業員の元にも届いています。我が社でも、9月度にかけての無休休暇の応募が始まりました。需要が少ない分、現在では小型機は利用価値が高く、しかも小回りが効くため、今のところは我が社では一時的な雇用凍結を示唆する発表などはされていないものの、もしコロナウィルスの状況が改善しないようであれば、需要が冬にかけてさらに落ちる可能性大………となれば、我が社でも一時雇用凍結が出てきても不思議ではない状況……私たちもとても他人事ではないです………

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でもだからといって、飛行機に乗ってくれ、とも言えないのが現実………時々、ツイッターやインスタグラムなどで、飛行機の安全性を仕切りに宣伝している乗務員もいますが……

 

『飛行機に乗って、一体今、どこへ行くの??』

 

正直この質問をされると、返す答えが見つからないです……

 

 

仮に日本へ行っても、2週間はホテルなどで自己隔離。その間公共の交通機関を利用することはできず、自由に外出することもできず、ホテル代は自分持ち……ハワイやヨーロッパに行っても、扱いは基本的には同じ……今、感染が再拡大しているアメリカから他の国に移動して、いい顔してもらえるはずないです……ましてはアメリカ国内ですら、州によっては、感染が拡大している州からやってきた場合には、2週間の自己隔離が必要になるくらいなのに………

 

まずは感染の速度を抑えて、重篤な患者の数を減らして、死者数も抑えられるようになれば………

 

その為にも、まずはマスクをしてみて、どんな結果になるのか、見てみようよ、と心の中では思うのですが………

 

 

大リーグでは、先日感染者が出て試合がほぼ1週間に渡って中断することが決まっていたマイアミ・マーリンズ……どうやらマーリンズ所属の登録選手の半分ほどが感染していたらしいです……

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聞くところによると、どうやら夜な夜な遊びに行っていたらしい……

 

他にもセントルイス・カージナルスからも2人の感染があったり、フィラデルフィア・フィリーズからもコーチや関係者が3名が感染。7月31日現在、29名の感染が出て、とうとうロブ・マンフレッドコミッショナーは、今季の全試合打ち切りの可能性にまで言及することになりました……

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相当腹わたが煮え繰り返る思いだったことは、容易に想像ができます。

 

 

先日は6月に開かれていたジョージア州のサマーキャンプで、参加した子供たちが数百人にも渡って、コロナウィルスに感染していたことも判明。スタッフも含めて、感染した方の数、なんと260名。一部のスタッフ以外は、全くマスクの着用をしていなかったのだとか……ほとんどが発熱や頭痛、喉の痛みなどを訴えた程度で、重症化には至らなかったそうですが……この時期は免疫も一般の健常人であれば、ほとんど正常に機能するので、20代以下であれば感染したとしても軽症で済むでしょうが、もしこれが冬だったとしたら………

 

正直震え上がってしまいます………

 

 

空港内でのマスク着用率は飛躍的に上がりました。ホテルでも、今日はロビーに入って来られる方全員が、マスクをちゃんと着用されてました。ジョージア州のサマーキャンプが行われていたのは、保守派の抵抗が強かった6月。今は、保守層の方といえども、かなり意識が変わったのを感じ取ることができます。

 

 

今後、状況が改善することを、心から心から願っています。