Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、1日目のフライト終わる

アメリカの小型機専門の旅客航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

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今月は先月に続いて、欠員補充要員を務めています。先月は前半は全くフライトが入らず、ずっと自宅にてフライト待ち。後半になって矢継ぎ早に次々にフライトが入り、そのパターンは今月に入っても変わらず……ただここ最近入っているフライトは、需要の微増に応じての増便を埋めるものではなく、病欠で抜けた乗務員の穴埋め役。

 

需要の動向を注意深く慎重に追っている親会社のデルタ航空では、8月以降の増便をしばらく見送りする方向で、当面は減便したまま組んだ運航を続ける方針だそうです。確かに今のコロナウィルスの感染再拡大の状況を見ていると、そう判断するのは妥当かも……

 

今月に入ってのアメリカは、コロナが爆発的に再拡大………そして最近では、コロナには強いとされてきたはずの若年層でも、入院に至る症例が広がっているのだとか……新規陽性と発表された方の数だけを見ていても、むしろ感染拡大初期よりも状況は悪いようで、アリゾナ州フロリダ州テキサス州の各病院の集中治療室は、既に病床が満杯になっているそうです。各病院とも病床は増やすなどの措置を取っているようですが、今度は看護師さんの数が足りない…

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そんな状況にあっても、トランプ大統領の暴走は止まるところを知りません。どんなに批判を受けようとも、どんなにたくさんの敵を作ろうとも、自らの意志をとことん貫いてしまうトランプ大統領。普通の人であれば、精神的にズタズタになっているところでしょう。ある意味、尊敬の念を抱いてしまいます。裕坊があんな状況に置かれたとしたら、精神的に1日と持たないです。絶対にムリ………

 

最近では、外国からやってくる留学生たちが、オンライン授業だけを履修する場合は、留学生の滞在を認めない方針を示したのが話題になりました。それを受けてハーバード大学マサチューセッツ工科大、あるいはカリフォルニア州などまでがビザ規制の差し止めを求めて提訴したりするなど、もう泥仕合……マンガ家でも、ここまでの筋書きは頭に浮かんでこないでしょう……

 

キューバ危機の時に、ありとあらゆる情報を集めて、13日間徹底的に考え抜き、核戦争から世界を救ったケネディ大統領とは、思考回路が全く違うのかも知れません。

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っていうより、思いついたことをあまりにも口にしすぎやで、トランプさん……それでもそれが法制化されてしまうのが、今のアメリカ……

 

 

トランプ大統領を見ていると、以前スペンサー・ジョンソン氏が発売した「チーズはどこに消えた」という一世を風靡した本を思い出しました。物語は、この世のものとは思えないほどの美味しいチーズにありついていたネズミ2匹に、小人2人で始まるのですが、

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遂にはチーズを食べ尽くして、チーズは跡形もなく消えてしまい………

 

さて、どうするか……

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2匹のネズミたちは迷うことなく、新しいチーズを求めて旅へと出かけて行きますが、2人の小人はなかなか旅へと出ようとはせず……

 

2人の小人のうち、ホーという小人は内心旅に出かけてチーズを探し求めたいのですが、もう1人の小人のヘムは、なくなったのには訳がある、と散々考え込んで、ホーの提案を決して受け入れようとはしません。しかしホーは迷いに迷った挙句、新しい旅を決意……苦難の旅へと出発しますが、最後には新しいチーズのありかへと辿り着きます。ところが、もう1人の頑固者のヘムは……………

 

最後まで動こうとはせず……

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ホーはヘムの改心を願って、新しいチーズのありかまでの道のりで、壁に自分の思い思いの自らの発見を書き込んでいくのですが………

 

そのせっかくの格言の一つ一つを、ヘムが見ることは最後までありませんでした……

 

 

固定観念に凝り固まって、新しいものや考え方、環境の変化などを受け入れられないヘムと同じその姿、まさにトランプ大統領と見事なほど重なってしまうと思っているのは、裕坊だけではないはず……

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極論にはなってしまいますが、もし仮にドナルド・トランプ氏が半永久の命を手に入れたとして、これから地球上で10億年の間に起こる環境の変化にどう対応するのか……太陽が赤色巨星と呼ばれる大きさにまで膨張し、地球上の水が完全に干上がり、地球上の大気の気温が金星と同じように摂氏400度という灼熱の大地になっていたとしても(実は従来の試算では、地球上の水が全て蒸発するには、太陽の膨張と直接関連づけられていて、17億5千万年かかるとされていましたが、最近の研究によって、海洋プレートの潜り込みで年間23億トンの水が消滅していることが分かり、実際には6億年ほどで地球上の水分は全て消滅するそうです)、「アメリカは偉大だ!」「アメリカは死なない!」と言い続けられるのでしょうか。裕坊、これ結構本気で見てみたいです。

 

 

ただアメリカの保守層の方達というのは、トランプ大統領を見るまでもなく、意思がとても堅そうだというのを垣間見る場面に、今日は遭遇することになりました…

 

今日の担当のフライトは合計3本。ノースカロライナ州の州都、ローリーを経由して、

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久しぶりにやってきましたが、こちらもまだまだ閑散……
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ただターミナル内を歩く人の姿を見ていると、マスク着用は乗客、従業員を問わず、他の空港とは比較にならないくらい、徹底されておりました。

 

そしてミネアポリスを経由して、
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アイオワ州の州都、デモインへと到着したのは、夕暮れ時。
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まだ木曜日のはずなのですが……

 

ダウンタウン内にあるホテルへと到着して、ロビーへと入ってみると、
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今日はバイク仲間の集まりでもあったのでしょうか、10人くらいの屈強な体の男性を中心に、30名ほどが集まっておりました。

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もちろんその方達を撮影はしていませんが、誰1人としてマスクをした者はおらず……

 

やがて裕坊が自分の部屋へと到着する頃には、轟音とともに立体式の駐車場の屋上にバイクが30台ほど勢ぞろい。その颯爽とした姿は、かつて日本のありとあらゆる町に出没していた集団走行を思い出す場面に重なるものがありました。

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腕にはタトゥーが入り、革ジャンの袖から突き出る腕は筋骨隆々。アメリカは軍事費世界一というだけあって、軍隊出身の人が多く、普段から体をハンパなく鍛えている人も多くて、腕の強さや太さを見せつけて、男らしさを自慢する人が多いです。そんなアメリカ人にとっては、マスクを着けるのは女々しさを象徴するのかも知れません……駐車場の屋上にまで上がってきたバイク乗りの集団を見ていても、残念ながらマスクを着けた人は、1人も見ることができませんでした。

 

自分が一度持った意思は、徹底的に貫徹しろ……簡単なことで曲げてはいけない……
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かつて大手航空会社への面接を準備した時に、この教えを伝授されたことがありましたが、まさかマスクという布一枚のことで、「徹頭徹尾、自らの意志を貫徹する」姿を見ることになるとは、想像もしませんでした……アメリカにおける、コロナウィルスの終息の兆しが見えるのは、かなり先のことになりそうです……

 

 

明日はお昼過ぎの出発で、2本の旅客便を担当する予定です。