Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、明日から4日間のフライトへ

米国リージョナル航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

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小型機専門の旅客航空会社に勤務する裕坊。5つある支社のうちデトロイトに所属していますが、6月は1ヶ月間を欠員補充役として務め、実働は月末に入っての6日間だけ。7月も同様に確定した担当便を持たず、ひたすら欠員補充で電話待ちだったのですが、早速月初めの明日水曜日から4日間のフライトが入ることになりました。

 

ここ最近は、需要の持ち直しによる増便に対応してのフライトばかりでしたが、今回は病欠乗務員の穴埋め役。

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前回の4日間と同じく、ミネアポリスを基点としたフライトが中心で、合計8本の担当を予定しています。

 

各航空会社によって細かい規定は異なりますが、アメリカの航空会社の乗務員は、年間で累計3回までであれば病欠はお咎めなしになっているのが普通。自分自身のケガや病気だけでなく、家族の病気などで使ってもお咎めはありません。
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我が社の場合、1回あたりの病欠で取れる日数は「病気や怪我が完治するまで」……1ヶ月間の休みが必要であれば、1ヶ月間を取っても警告書などがやってくることはありません……ではそんな時、お給料が差し引かれるのか、となると、それは「どれだけ病欠保証時間が貯まっているか」によります。

 

「病欠保証時間」、英語では『Sick leave credit』。我が社の場合は、毎月4時間ずつが加算される契約になっていて、例えば病欠のために4日間のフライトへと出られない時、本来担当するはずだったフライトの合計の飛行時間分のお給料が、こちらから保証される仕組み。
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4日間で20時間の予定が入っていた場合、20時間分のお給料が「病欠保証時間」から支払われ、その20時間は病欠保証時間の残りから差し引かれます。もしそれまでに100時間の病欠保証時間が貯まっていたとすれば、残りは80時間。

 

 

逆に「病欠保証時間」が尽きていた場合は、病欠をするとお給料が支払われないことになってしまいます……大抵そんな時は、3回を超える病欠を使っていることが多く、所属する支社の事務所に呼ばれて上司と対談。そんな時、高級カーペットを敷いた部屋にどっかりと腰を下ろす責任者を前にして、心臓がタップダンスのように小躍りしてしまうことから、航空業界ではこのことを『カーペットダンス(Carpet Dance)』と呼びます。余計な踊りをしなくていいように、普段から健康管理には気をつけないといけません……

 

 

我が社の場合、連続で14日を超える病欠等が必要になった時は、保険会社からの短期病欠保証が使えるようになるので、大半はそちらへと切り替えてしまいますが…
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さらに3月以降は、コロナウィルスを職場に持ち込みたくないという会社の意向があり、風邪のような症状が出ている場合は、積極的に病欠を申し出るように社内で通達が出ていて、病欠の使用回数としても数えなくなっているので、本社のスケジュール担当の係員によると病欠による休暇がここ数ヶ月かなり増えているらしいです……乗務員の半数以上が自宅での待機を強いられているので、人員確保には全く困っていないようなのですが………

 

 

ちなみに、我が社の乗務員の間では、「自分が休みたい時期に合わせて病気に罹るように努力をする」ことを、英語で『Sickation』と呼んでおります………病気の「Sick」と長期間の休暇の「Vacation」を掛け合わせた造語……

 

 

まさかシックケーションやないやろな〜〜。マシューくん!!

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感染が一向に収まらないアメリカにあって、なぜか航空会社を利用する客足は少しずつ戻りつつあり、需要増に合わせて各社とも一時停泊状態に置いていた飛行機を、徐々に現場復帰させ始めています。

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エンデバー航空が旅客機として登録している保有機は、全社で172機。一時は最大で119機が保存状態に置かれていましたが、そのうちの52機が1ヶ月半の間に現場へと復帰することになりました。

 

カンザス州のサリーナ空港でも、60機以上が保管されておりましたが、そのほとんどが現場へと復帰するようです。
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コロナウィルスの本格的な影響が出る前の、今年2月6日(木)の我が社の運航実績は、合計で902便。それに対して昨日6月29日(月)の運航実績は336便。2月は通常なら閑散期で、1年間のうちでも需要が最も低い時期になり、対して6月の後半は学校が年度末を終えて夏休みへと入り、旅行客で大幅に賑わい始める時期。全体で見ると、まだまだ便数も乗客数もかなり限られた状態は続いています。

 

 

ここ数週間の間に、一部では新規に陽性と診断される方が記録的な伸びを示しているアメリカ。特に南部と西海岸での状況が悪化しているようで、それに影響されるように、今日はマイナーリーグの今季の全試合中止が決定しました……

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大リーグの方は労使協定が締結されて、辛うじて7月下旬からの試合開催が決まってはいるものの、具体的なスケジュールは未だに決まっていない状態のまま……本当に試合が開催されるのか、ちょっと雲行きが怪しい状態になっています。

 

家族への影響を考えて、既に欠場を決めた選手も現れ始めました。昨年初めて念願のワールドシリーズ制覇を成し遂げたワシントン・ナショナルズ
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写真上のライアン・ジマーマン選手は、母親が多発性硬化症を患っていて、欠場に言及していましたが、結果的に今季の全休を決断したようです。

 

同じくナショナルズからは、先発投手のジョー・ロス投手も全試合欠場を決断。
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さらにアリゾナダイヤモンドバックス所属のマイク・リーク選手もそれに続き、
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さらにはコロラド・ロッキーズの主力、イアン・デスモンド外野手もそれに続くことになりました……
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ちなみにコロラド・ロッキーズの主力といえば、髭が恐らくメジャーリーグ全体を通しても1番濃そうなチャーリー・ブラックモン選手がいますが、
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ロッキーズ一筋、ここまで10年に渡って安定した活躍を続けている、デンバーのスーパースター。

 

どうやらコロナウィルスに感染してしまったもよう………
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ちなみにこの写真では、2018年度8本塁打となっていますが、シーズンを通しては29本の本塁打を放っています。昨年度は32本。2017年シーズンは37本塁打を記録しました。

 

ちなみに、デビュー当時は髭がなく、今とは全く違う風貌をしておりました……
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屈強な現役バリバリのアスリートですので、恐らく回復は早いのでしょうが、家族への感染を避けるために今後も今季の欠場を申し出る選手は増えるかも知れません。まだまだこちらも流動的。最悪、メジャーリーグも今シーズン中止が現実となる可能性はありそうです。

 

 

明日お昼過ぎに出発して、4日間出かけてきます。