Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、帰宅

アメリカの小型機専門の旅客航空会社員の、裕坊と申します。こんにちは。

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昨日金曜日から、1ヶ月ぶりとなるフライトをこなして、今日お昼前にデトロイトへと戻ってまいりました。

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昨日の夕方の出発で、ウィスコンシン州までやってきておりました。

 

アメリカの中西部、特に北部のスーペリオール湖に跨る州には大小たくさんの湖が存在し、この季節になるとたくさんのセーリング用の船で賑わいますので、セーリング用小型船の業者も星の数ほど存在します。
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船の規模も大小さまざまあるようで…

 

家族でゆっくりできる小型のものもあれば、

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船内で宿泊でもできてしまいそうなほどの、豪華セーリングが可能な船も…
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中西部も地方に行くと、一軒家の敷地がとても広く、数隻のセーリング用のボートを停めることだって十分に可能。夏の有給休暇を利用して、湖まで出かけて周辺でキャンプというのは、アメリカではお馴染みの夏休みの過ごし方の1つ。ボートはこちらの豪邸とともに、ステータスシンボル的な位置づけだったりもします。

 

ただアメリカ人の皆さんが、どんな予算の立て方をしてセーリング用ボートを購入しているのかは、さっぱり想像がつきません……10年落ちの中古物でも、日本円でおよそ500万円が最低ラインで、豪華なのになると……

 

 

家、3軒ほど建つやん………………

 

 

大体我が家には、そんな敷地もありませんので、チラ見しただけで素通り……

 

昨日に比べるとやや雲が多くなっていて、ウィスコンシン州グリーンベイを出発する頃は、雨も降っていたものの……

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デトロイトに帰ってきたときは、まずまずのお天気でした。

 

昨日出発したゲートB19にお昼前には戻ってきて、その後フライトは入らず、そのまま終了。

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今日は76名仕様の客席に、39名の乗客でした。上限を40名にとどめていますので、現在の基準ですとほぼ満席。3月中旬にコロナウィルスの感染が拡大して空気が張り詰めた頃に比べると、お客さんは確かに戻りつつあります。

 

まだまだ閑散としたデトロイト空港、Bコンコース内……

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ただCコンコースの供用がいつでも始められるように、準備だけは終わっています。

 

既にバリケードが撤去されておりました。

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ただ6月20日(土)現在では供用は始まっておらず、ロープは張られたまま………

 

こちらも、しばらくは需要の推移を見ながら、ということになりそうです。

 

 

ただそんな中でも、コロナウィルスの感染拡大への工夫は必要。まだアメリカでの感染は全く治まる気配がなく……アメリカの一部の州では、過去最高の感染者記録まで更新中……特にフロリダにおける感染者は、ここ数日連日で3,000名(6月19日(金)の陽性報告は、4,049名)を超えることになってしまいました……いくら検査体制を強化したといっても、この数字はやっぱり尋常ではないです。まだまだ注意は必要……

 

アメリカの航空会社では、格安航空会社のジェットブルー航空などを皮切りに、搭乗の際の乗客へのマスク義務付けが次々に施行されて、

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今ではほとんど全航空会社が、この方針を採用しています。飛行機は与圧装置で空気を半強制的に循環させ、ほぼ3分に1度の割合で機内の空気はほとんど入れ替わっているので、同じ密室内でも比較的安全といえば安全な部類には入るのでしょうが、それでも完璧というわけではありません……

 

飛沫が飛んできて直接粘膜に付着すれば、感染のリスクは飛躍的に上がってしまいますから、防衛手段は取らないといけません……
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その手段の1つがマスク。他にも搭乗手続きカウンターや、搭乗ゲートではアクリル板が立てられるようになり、従業員の感染を防ぐところが多くなりました。

 

乗務員たちも、空港内ですとか客室における業務中は、マスク着用が義務化。
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そんな中、ある男性が頑なにマスクの着用を拒否して、搭乗していた旅客便から出発前になって降ろされてしまったという一件があり、ニュースを賑わせることになりました。

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どうやらトランプの熱烈支持の男性だったらしく、その男性によると『マスクを着用しないのも、乗客に与えられた権利』なのだそうです………

 

拒否したのはアメリカン航空で、ニューヨーク発ダラス行きだったらしいのですが、

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アメリカン航空でも、先月中旬からこの方針を採用していて、アメリカン航空のホームページを立ち上げると、1番上にコロナウィルスに関する最新情報が出てきてそれを読み進めていくと、搭乗の際にはマスク着用が原則義務化されている旨、はっきりと書いてあります。

 

購入する際にも、利用約款の中に改めてマスク着用義務の記載がはっきり見られ、それに同意した上で航空券を購入することになりますから、この一件に関しては航空会社社員だから航空会社側の肩を持つ、というのではなく、客観的に解釈しても航空会社側に分があるように思います。
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航空会社が必要と判断した際には、『航空会社の「権利」として、乗客の搭乗を拒否すること』が可能になるのです。

 

確かに今までマスク着用の経験がなかったなら、マスクを着けたくない気持ちは分かる……
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しかし、裕坊思うに物は考えよう。

 

こちらはもう見慣れたコロナウィルスの写真。「ウィルス」と聞くと、私たちは思わず厄介者的なイメージを頭に描いてしまいますが、実際にはこの地球上には、何百万、何千万という無数の微生物が存在していて、

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中には人間の進化に深く関わったウィルスも存在します。哺乳動物の胎児が守られているのも、最近の研究でウィルスが起源であることも分かってきています。

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人間と共存するウィルス、人間とは遠いところに存在するウィルス、中には宿主として人間の中に大人しく居住し、体が弱くなった時に突然牙を剥くウィルスも……

 

コロナウィルスの存在とは、インフルエンザウィルスやデング熱、黄熱病といったような病原体となるウィルスと同様、無数に存在するウィルスの中の、『ごく稀な厄介者』……

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即ち、人間の世界における「容疑者」であり「被告」。既に6月半ばまでの間に40万人の尊い命を奪っているのですから、「罪状」は相当重いものになることでしょう。ウィルス界からも追放しなければいけません。

 

 

ではどうするのか……

 


コロナウィルスは最近までの研究で、約5日から11日という比較的長い間、感染後潜伏することが分かってきています。この間はほとんど病状を発症することがありません。
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これは人間の窃盗犯に例えていうと、逃亡中に人目のつかないトラックの荷台だったり、

 

列車の片隅だったり、
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あるいは荷物の中に潜み込むのと同じこと……
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ここで遠くへと運ばれるのを待って、次の窃盗を企てようとするわけです。

 

遠くまで来ることができたら、荷台などから脱出して次の窃盗先を探すところで……
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もし荷台からの脱出を阻止することができたとしたら……
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裕坊は、これが人間が着けるマスクだと考えるのです。ウィルスは生物学上の生物ではなく、単独で生息していくことはできないので、感染者の体内で増殖ができない限り、次の宿主を見つけないといけません。免疫系と闘うコロナウィルスが何の症状も発しないまま、人間の体内に潜んでいられるのはおよそ5日間で、通常何らかの症状が出る場合は、11日前後から発症が始まります。

 

アメリカ疾病予防管理センターでは、この研究を元に14日間を隔離の1つの基準に定め、発症を防いでいる間に一つの宿主の中でのコロナウィルスを死滅させようとする試みを始めました。これが2週間の自己隔離の原理となったのです。上の例で言うと、荷台に鍵をかけて閉じ込めてしまい、窃盗犯がいざ外に出ようとしたときの出口を塞いでしまうような感じでしょうか。

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次の宿主を見つけられなければ、コロナウィルスに待っている運命は、死あるのみ。ですが無症状、症状ありに関わらず、感染者がマスクをしないままくしゃみをしたり咳をしたりすると、その『荷台の鍵』が解放されて、『犯罪者の敵前逃亡』をみすみす許してしまうことになるのです。

 

裕坊はこの原理を、トランプ大統領やブラジルのボルソナロ大統領が気付いてくれれば、少なくともアメリカとブラジルにおける様相は変わるはずなのに、と残念で仕方ありません………