Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、明日から3日間フライト

米国航空会社にて、小型機を専門に操縦している、裕坊と申します。こんにちは。

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先週木曜日に4日間のフライトを終えて、実質次のフライトが入るまでの自宅待機に入っていた裕坊。明日水曜日からミネアポリスを基点とする、3日間のフライトが入りました。コロナウィルスによる大減便前のスケジュールから、全体でおよそ9割のフライトが既に欠航。スケジュールの再編成を終え、各乗務員に対してもスケジュールはほとんど1からやり直し。1ヶ月間ほぼ自宅待機だったのが、ここに来て徐々にスケジュール復活。1ヶ月間を通して、10便の営業便を担当する予定になっています…

 

ただ調べてみると、各便とも予約はほとんど1桁。連邦政府が提供する助成援助金の受け取りが決まって、その条件として一定の便を確保しておくという、運輸局の指導が入っているのかも知れません。

 

我が航空会社は、リージョナルジェット機専門(CRJシリーズ)の地方路線担当。大小3種類の異なる客席仕様(50名仕様、69名仕様、76名仕様)で、全部含めると190機を使っていますが、そのうちの約半数を保存状態で置いておくことが決まりました。

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需要が回復した際に、すぐに再投入ができるよう、整備課がある空港に駐機したり……
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写真はデトロイトマクナマラターミナル、Cコンコース。旅客便用の供用一時中断が決まっていますので、一般の方はCコンコースへは入れなくなって、現在は専ら駐機専用にスペースが確保されています。

 

需要が昨年並みに回復するまで再投入しないことを前提にした機体などは、重整備用の工場がある空港へと送られたりもしています。

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我がエンデバー航空の場合ですと、カンザス州にあるサリーナ空港。30機ほどの機体がこちらに送られ、運用が少なく距離が短い滑走路を駐機場がわりに使っているようです。

 

耐用年数目一杯に営業飛行を終え、退役を見込んだ機体ですと、大抵乾燥地帯での保存になります。長期保存、或いは永久保存を目的とした保存の場合、比較的経年劣化を防ぐことができるため。ごく一部こちらに運ばれた機体もあるようです。7年ほど前、我が社が連邦破産法第11条下(日本でいう民事再生法)に置かれた時、裕坊も一度だけ砂漠で囲まれた空港へと飛行機を運んだことがありました……

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着いた先は、アリゾナ州キングマン空港。まさに砂漠のど真ん中にある空き地という表現がぴったりの、敷地の広い砂漠の地。

 

元々は第二次世界大戦中に、アメリカ陸軍航空軍(United  States Army  Air Forces)用の、訓練基地として建設されたのだそうです。

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日本を始めとする連合軍と対峙するために製造された軍用機は、なんと15万機以上にも上ったらしいです。そのうち、余剰として扱われた機体は117,210機にも上ったのだとか。

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写真は戦後、売却のためにアーカンソー州のウォルナットリッジ空港で展示された、大戦時の軍用機。61,600機が戦後2年以内に売却が完了。そのうち,飛行を続けることを前提に売却された機体は34,700機。他の機体の多くは解体されるに至ったそうですが、その処理には4年の歳月を費やしました。

 

それから2年後の1949年,キングマン空港は民間用の空港として転用されますが……
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その際に,陸軍航空軍用の訓練基地用の建物は,ほぼ全て解体されるに至り,空いたスペースを利用して退役した旅客機を長期保存しておくための土地として使われるようになりました。

 

ここで保存される機体は,ほとんど買い手がつかないものばかりで,用途があるとすれば、これらの機体から取ることができる、スペア用のパーツ。

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現役で飛んでいる機体の一部(エンジンであったり、主翼であったり、機体の先端部分であったり)を取り替える必要が出てきた時に、航空機製造メーカーでなく、ここから中古部品として取り出されます。

 

これはミネアポリスから飛行機を一機運び終えた直後に、裕坊自身が撮影した写真。

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会社が破産法下に置かれた状態で、先が見えないまま撮影しておりました……

 

一緒に飛んできた副操縦士とともに、この時の裕坊はほぼ放心状態……
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その当日はタクシーに乗せられて、宿泊先となったラスベガスへと向かったのですが……

 

将来の不安を抱えて、2人とも放心状態……ラスベガスに到着するまでの2時間、全く会話がなかったのを今でもよく覚えています。
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あれから7年、今度は世界が未曾有の危機に立たされることになってしまいました……

 

日本でもとうとう発令されることになった、緊急事態宣言。

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日本では政府にも総理大臣にも、諸外国の大統領のようには発動権も強制権もありませんから、政治的には大きな意義というのは裕坊自身は見て取ることができないのですが、言葉の響きからして危機感を煽り、外出自粛を訴えるにはインパクトがあるのではないか、と思います。

 

マスク2枚の一斉配布がアベノマスクだと色々揶揄されていますが、マスクが劇的に不足する中でのこの政策自体は、間違ってはいないと思います。むしろマスクの確保に奔走する今の諸外国の動きを見ていれば、マスクを一般家庭で得られる安心感の方が大きいでしょう。ただ発信の仕方に、一工夫欲しかったですね。最近話題になっている中小企業、個人事業主への助成金、或いは一般家庭への助成金とセットで、さらりと「さらにマスクも配布します」と言ってのける配慮があれば、評価も違ったものになったでしょうし、それが残念。

 

もう一つ裕坊の意見を書き加えるとすると、日本のGDPのうち内需が占める割合は6割。GDPの半分以上を輸出に頼るドイツや韓国と違い典型的な内需経済ですから、なんとか内需の縮小を最低限に抑えることができれば、経済的ダメージも最小限に食い止められるはず。最近のデータを見ていても、消費税増税GDPの縮小が直結しているのは、グラフからも明らか……

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実は消費税率を上げるたびに、税収は減少しているという皮肉な現象が起こっています。まずは消費税減税、できれば完全廃止の方向で、政治家の方にはお考えいただきたいです。

 

 

そんな中、BCGワクチンの有用性の治験を始めたオーストラリアから、また嬉しいニュースが1つ入ってきました。今度は「イベルメクチン(商品名:ストロメクトール MSD社製造、マルホ社販売)」。静岡のとあるゴルフ場の土から発見した微生物が、その後の研究で抗寄生虫作用があることが分かり、熱帯地域における寄生虫に対するワクチンとして劇的な効果を上げたお薬です。開発したのは、北里大学特別栄誉教授の大村智氏。2015年にノーベル医学生理学賞を受賞されました。

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オーストラリアのモナッシュ大学生医学発見研究所で、1回量のイベルメクチン投与で、新型コロナウィルスの複製を48時間以内に死滅させる効果があったことが、確認されたそうです。本格的な臨床試験はこれからでしょうが、既に一般に流通しているお薬ですので、コロナウィルスに対する有用性を確認されれば、少しでも早い投入をお願いしたいです。