Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、フライトトレーニングへと出発

米国小型機専門航空会社、操縦担当、裕坊と申します。こんにちは。

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先週は実質飛んだのが3日間だけだったにもかかわらず、中西部から東海岸を通っていた悪天候の影響にさらされ続けた4日間のフライト……

 

2日目の最終便などは目的地に到着できず、出発していた空港へと引き返すなどのとんだハプニングもありました……

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悪天候は広範囲に影響していて、雨氷(英語でフリージングレインと呼ばれる現象)も降るなどの悪条件……雪なら対処できる豪雪地方の除雪隊といえども、雨氷となると対処しきれないことも………滑走路の状態を回復させることができず、その夜は裕坊のフライトが着陸を諦めた後、結局空港そのものが閉鎖されることになり、あとで調べたところ、翌日金曜日はデルタのみならず、他社の便も全便が欠航……

 

雨氷、おそるべしです………

 

気流も安定しなかった水曜日と木曜日……

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巡航中の揺れもひどくて、客室乗務員もずっと着席させたままの状態……

 

最終日4日目となった土曜日はお天気は快晴………ところが、乗客の皆さまを乗せてやってくるはずの連絡バスが姿を見せず……
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待ちぼうけ………

 

その間、国際線の大型機材が入ってくるのを、ずっと眺めることになるテイタラク……
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とんだ4日間のフライトでした……

 

日曜日と月曜日は、ゆっくりとお休みをいただき……
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月曜日は、息子くんの検診を済ませて……

 

明日火曜日からは、1年に一度課されるフライトトレーニングへと出発。本社のあるミネソタ州ミネアポリスに向けて、朝方出発の予定……

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もちろん実機を使うことはなく、シミュレーターを使うことによって、実機では再現できない緊急事態の対処法などをおさらいします。

 

今年度から変わったことといえば……

 

ここ数年2日間だけだった年次飛行訓練が、3日間へと変わったこと……

 

 

毎年、連邦航空局による最低必須項目とされる内容は変わっていて、昨年途中から航空力学的学習要素を大いに盛り込むことになりました。

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どんなに航空機の自動化が進もうとも、航空力学的に飛行原理そのものが変わることはありません。これは手動で飛んでいる場合でも、自動操縦で飛んでいる場合でも同じこと。

 

飛行機が飛ぶ元々の原理とは、主翼上面がなだらかな曲面を描いていて、その上面を空気が流れると主翼上の空気の流れがやや速くなり、その反作用として上面の気圧が下がって、主翼が引き上げられる(正確には吊り上げられるような感じ)というものなのですが……
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主翼主翼の空気の流れの角度が一定を超える(一般的には、平均で16度)と、空気の流れが主翼上面で乱されてしまうという特徴も併せ持っています。

 

この一定の角度を超えた状態が、航空力学でいう失速(英語ではストール(stall)と呼ばれます)状態で、当然飛行に必要な揚力を得られず、飛行機を持ち上げることはできなくなりますから、当然高度も下がることに。
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こんな時は機首をやや下げて、空気の流れの角度を変えて(角度を少なくする必要があります)失速状態からの回復をしないといけません。

 

離陸、着陸時は高度も低く、機首下げにはやや勇気がいりますし、高度1万メートルを超えるような高高度ですと空気が薄く、失速状態からの回復には敢えて意図的に高度を下げる必要もあります。他にもいくつか学習要項はあるようですが、この部分にかなり重点が置かれているのが、今年度の訓練の特徴。

 

3日間の訓練、3日目はトレーニングセンターに午前5時のショーアップ………

 

頑張ってまいります……

 

 

ところで、野村克也さんがお亡くなりになってしまいましたね……
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妻の沙知代さんがお亡くなりになってからというもの、かなり憔悴されてらっしゃった様子が、画像からもかなりヒシヒシと伝わってきておりました。車椅子に押されながらも、あちこちに顔出しはされていたようですが、孤独感がつきまとっていたようですね……ノムさんならではの野球感、いつ聞いていても納得させられるものがありました。もっとボヤキを聞きたかったです……

 

心からご冥福をお祈りいたします。