Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

今日もまた予定変更になりました。

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です

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5日間のフライトを木曜日に始めていた裕坊。金曜日はお天気にかなり影響を受けて、ダラス到着が午前様になり、昨日は担当2便が外されて、ほとんど何もすることなくダラスで1日を過ごしていました。外には出たものの、やったことといえば中華料理を食べに行ったくらい……………

気を取り直して4日目………………

スケジュールの上ではニューヨーク・ケネディ空港まで飛んで、そこからお客さんとして飛行機に乗り、デトロイトへと帰るスケジュール。愛妻ちゃんと息子くんに会える………………………………………はず…………………………………………

スケジュールを見る限り……………………………

ダラス空港は日曜日の朝とあって、比較的閑散としていて、

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定時より10分ほど早くゲートを出発します。なかなか順調………………………………………
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この機械がクセモノ………………………………………

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操縦席備え付けのコンピューターで、通常はナビゲーションや飛行機の重量計算などに使われるのですが、本社との連絡機能も付いています。連絡やメッセージが入るたびに、機械が「セルコール セルコール」と大きな叫び声をあげます。今日も「セルコール セルコール」と叫び声が上がり………

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「またスケジュールが変わったから、ケネディ空港に着いたら、乗務員管理課に電話入れてな」……………………………………

最近は電話を入れなくても、本社のスケジュール管理のソフトウェアに直接アクセスできるアプリがあり、ゲートに到着後にスマホの電源を入れると、自動的にスケジュールの変更が知らされるようになっているので、電話をかける手間は省けるようになりました。

で、そのアプリを開けてみると…………………

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「回送便で、今乗っている飛行機をノースカロライナ州のローリーまで運んでくれ」…………………………

ってことは、そのまま降りずにローリーまで乗っていけばいいんやな………………………………

でもまだ着いた先のローリーからは、お客さんとしてデトロイトまで飛ぶスケジュールは入っています。とりあえず今晩デトロイトへ帰れるのは帰れる…………………

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全米中どこに行ってもすぐに見かけるファーストフードのお店から、鱈サンドイッチを買ってきてすぐに折り返します。

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回送便ですので、お客さんは乗っていません。フライトクルーであれば10名ほどは乗せていいことになっているのですが、乗ってくる人はいませんでした……
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上空は雨雲がかかっていてけっこうな揺れ…………まぁでも愛妻ちゃんと息子くんに会えるんであれば、少々揺れたって構わんわ…………………どうせお客乗っ取らんのやし……………………

「セルコール セルコール」

……………………………………………………………………

ローリー到着後、恐る恐るアプリを開けてみると…………………………

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「故障した飛行機が、貨物機の駐機場に止まってるから、そこからその飛行機をシンシナティまで運んでくれ」……………………………

どうやらノースカロライナ州・ローリーからフロリダ州・タンパまで行くはずだった機材に不具合が発生して乗客を乗せてのフライトができない状態になり、飛行機が急遽必要になって裕坊たちが乗っていた飛行機を使うことになったようです。

で、裕坊たちはというと………………………………

故障を抱えた飛行機をシンシナティまで運ぶことに………………………………

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但し故障を抱えたままですので、連邦航空局からの特別な許可を取る必要があります。その名も『Ferry Permit』。フェリーというと日本人的には島と島を結ぶ船を想像してしまいますが、ここでは回送という意味で使われます。Permit、パーミットとは許可。飛行機が充分安全に飛べる状態であるのならば、故障があっても整備工場のある空港までは飛んでもいいという特別な許可になり、大抵の場合一度だけフライトをすることが許可されます。

こんな感じの書類を……………

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通常のフライト用の書類とともに受け取り、機長と副操縦士の2人だけで出発。

同じ回送便になるのですが、目的は整備工場のある空港への飛行機の回送ですので、乗客の皆さんはもちろん、フライトクルーといえども同乗することは許可されません。

大抵故障した飛行機はターミナルから離れた駐機場に置かれているので、地上係員が使用するワゴンに乗って移動………

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空港の敷地内を駐機場まで移動して…………………
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飛行機へと到着………
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どうやら機体を地上で支えるランディングギアから、ほんのちょっと油圧液が漏れていて、それが完全には直っていないようです。若干油圧液の水溜りもできていました………………
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ただ漏れる量を最小限に抑える処置自体はしてくれていたみたいで、1時間ちょっとのシンシナティまでのフライトには何ら問題はなし…………

地上係員は今日はこんなことの繰り返しで、さすがに疲れているようでした………
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乗客が誰1人いない静まり返った客席。
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1時間10分ほどのフライトでやってきたのは、シンシナティの修理工場。ここで直接修理作業が行われますので、着陸後はこちらへとやってきました。
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一般の旅客ターミナルは遠くに見えます………
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尾翼がある飛行機を収める必要があるので、天井が高い飛行機の整備工場。
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通路を通って、
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普段は機材などでいっぱいになるピックアップトラックの荷台にカバンなどを載せて、直接ホテルまで整備員の1人が運んでくれました………
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整備工場はシンシナティ空港の南側にあり、貨物専用機がたくさん駐機する駐機場の横を通り抜けます。
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やっとのことでホテル到着。
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それにしても長い1日やった………………………
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至福の瞬間……………………
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明日は5日目。元々は3便を担当するはずだったのですが、いずれも外されて、明日はお客さんになってデトロイトまで帰ります。長い1日やった………………………………………

もう「セルコール セルコール」は、いらないです…………………………………………

 

裕坊