Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

9.11テロから17年が経ちました

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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今日はアメリ同時多発テロ、通称9.11から17年の日。アメリカ人にとっても航空業界に携わる者にとっても、あるいは全世界の人たちにとっても忘れられない1日です。ニューヨークのワールドトレードセンターにおけるビル崩壊は今も脳裏に焼き付いて、離れることがありません。

あの日は航空機4機に乗っていた方、ビルにいて崩壊に巻き込まれた方、消化活動、救助活動へと出ていて命を落とした方などを含めて、3,000人以上の方が犠牲になりました。改めて犠牲になった方には、心からお悔やみを申し上げます。

この9.11の影響はまだ終わっていません。世界貿易センターヘルスプログラムでは、この世界貿易センターの崩壊による影響を受けた方々を初めとして、テロによる影響を受けた方々の健康状態のモニタリング、さらには治療の提供を行なっています。2010年12月の連邦議会によって法制化され、前大統領のオバマ氏の署名によって正式に機関として成立しました。2015年12月には改訂が加えられ、モニタリングだけでなく治療を行う機関としても機能するようになっています。

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それによると登録者数の数が現在ほぼ90,000人に登っていて、そのうち癌に罹患していると診断された方の数が、ほぼ10,000人にも登るのだそうです。既に癌で亡くなった方が420人。癌の原因と考えられているのが、ビル崩壊により生じた有害ダスト。粉砕されたコンクリートに萌えたジェット燃料、焼けたコンピューターやその他様々な機器類が混じり、おびただしい量の粉塵がビルの崩壊とともに撒き散らされました。

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世界貿易センターヘルスプログラムのマイケル・クレイン医師によると、17年が経過した今でも1週間あたり15件から20件の照会があり、世界貿易センターヘルスプログラムに登録した方は、一般の方に比べると癌に罹患する確率が最大で30%も高くなっているのだそうです。なかなか表立った疾患がすぐには現れず、有害物質にさらされることによる癌の発症には時間がかかるそうなのですが、甲状腺癌や皮膚癌に罹患する率が高く、膀胱癌になるリスクも高いのだとか………他にも乳癌、リンパ腫、白血病などの確率も非常に高くなっているようです。

当日救助活動に当たっていた消防士も、多くが有害ダストが原因とされる癌に罹患しています。テロ以降亡くなった182人のうち、100人以上は癌が原因。そのうちの1人、ウィリアム・ゴームリー消防士。かなりの粉塵に巻き込まれながらも、その日は無事に帰宅。その後グランドゼロと呼ばれる世界貿易センター崩壊後の瓦礫の中で、多くの救命活動に携わりました。まだ粉塵の影響が残る中での救命活動、確実にゴームリー消防士の体を蝕み、つい先日膀胱癌によって帰らぬ人となりました。享年53歳だったそうです。

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クレイン医師によると、この粉塵の影響を受けた方達は今後喘息など、呼吸器系の疾患を患い、何年も経過した後癌を発症することになるだろう、と話しています。ここ最近急激に9.11の生存者が癌を発症している背景には、この有害ダストが大きく関わっている可能性が高いそうです。ただ癌を発症しているのは15パーセントにも満たず、まだ初期段階なのだとか。今後の経過に注意を払う必要がありそうですね……。

 

また登録者の中には癌の疾患だけでなく、心的外傷後ストレス障害PTSD)に苦しんでいる方も大勢いらっしゃるようです。その中のニューヨーク市警の登録者は、署内のカウンセラーに相談することなく、苦しみながらも心が壊れるまで働き、遂には自殺に追い込まれてしまった人もいるのだとか……第一線の現場の仕事を外され、デスクワークなどへの配置転換を恐れて相談できず、1人で抱え込んでしまっている方が多いのだそうです。

 

まだまだ9.11の残した爪痕は大きく、大勢の方がそれと闘っています。9.11はまだ終わっていません…。

 

裕坊