Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、取りあえず帰宅

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

昨夜2日間のフライトを終えて、11時ごろに帰ってきた裕坊。朝は5時起き。完全に電池切れで昨夜は魚肉ソーセージ2本食べてそのまま力尽きて絨毯の上に転がってました。朝5時ごろ目が覚めてみると、毛布にくるまってました。愛妻ちゃんのとても優しい心遣いです。本当にありがとうね。

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朝はテネシー州・ノックスビルのホテルでまずは朝食。テレビで東海岸のお天気が大変なことになる、と大々的にやっています。ゲリラ豪雨に竜巻に突風に雷、ワシントンからボストンまで大荒れになるよー、と赤いワンピースを着た女性がテレビの前で身振り手振り大きな目を大きく開けて大袈裟に表現。航空気象の予報では、お昼頃には充分晴れ間も出るし、いくらなんでも大袈裟すぎるやろ……………………………………ほんまや……………………………

1本目のミネアポリス行き。本来の機体の故障が夜間の点検整備で直らなかったらしく、別の機体を整備員が猛スピードで運転してきて、定時15分前に搭乗開始。それでも定時ほとんどギリギリにドアを閉めて出発。整備員たち一言挨拶を交わしただけで、あとはトラックの中でスマホタイム。よほど忙しかったのでしょう。

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それでも昨日のミネアポリスは快晴。ほぼ定時には到着。次のフライト、折り返しでニューヨークからハドソン川を西へ渡ってすぐのニューアーク空港へと向かいます。40分の遅れ……………朝、ちょっと霧が出てたし、まーしゃーない。ほんのちょっと遅れて離陸。我が家のあるデトロイトの上空辺りまでは揺れもなく、快適なフライト。東海岸に近づくにつれてだんだんお天気が怪しくなります。こんな景色がだんだんと目に入ってきて、

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管制官により迂回誘導。「申し訳ないねんけど、天気の発達が思ったよりもはよーてな、ここしかルート残ってへんねん」…………………………

迂回ルート、既にニューヨークの遥か北、大きく大きく迂回して、気づいてみたらニューハンプシャー州マンチェスター上空を通過してました。昨日飛んできたばっかりやし………一旦裕坊たちの目的地どこやねん………………………(緑色の線が実際に飛行した経路です)

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それでも何とか雲の間を通り抜け、何とか着陸。やれやれ。普段国際線の発着の忙しい主要空港に向かうときは、着陸時には1時間半分の燃料は残っているのですが、このフライトの残り燃料、50分でした。まーちょっと遅れたけど、取りあえず着いたし、残りのフライトは1つだけ。あとはデトロイトに帰るだけ。目の前にはこんな天気が広がっています。

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飛行計画と経路を自動操縦用のコンピューターに打ち込み、管制塔からの飛行許可を待ちます。通常、主要空港では飛行許可はコンピューター経由で直接飛行機のコンピューターに送信される仕組みになっていて、定時出発のおよそ30分前には受け取れるようになっているので、直接管制塔とやり取りする必要はありません。ところが昨日は待てど暮らせど通信なし。仕方なく直接無線で管制官から飛行許可をもらうことに。

「あんたとこの飛行経路な、今積乱雲の真っ只中で通過できへんねや。新しい経路作ったったから、ペンと紙準備できたら教えてな」…………………ウソやろ、さっき飛んできたばっかりやのに……………………………ほんまや…………………………(青の点線が飛行計画経路です)

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かなり南回りの経路へと変更になりましたが、燃料は予備をかなり積んでいたので問題なし。家に帰って愛妻ちゃんの顔を見れるのであれば、もう経路なんかどうでもいいからと、早くここを脱出しようと乗客を乗せて急いでプッシュバック。滑走路へと向かいます。そこで地上管制官がひとこと。

「申し訳ないな、南の積乱雲もかなり沿岸に近づいててな、どの飛行機も今離陸できひんねん。エンジン止めてちょっと待っといてくれるか、離陸できそうなルート探してみるから」…………………………………

晴れ間の出ていたニューアーク空港

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やがてお天気が怪しくなり始め、

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ついには雷を伴った大雨が降り始めて、

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滑走路が閉鎖になり、結局はゲートへと燃料再補給のため引き返すことに………………………………

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先がほとんど見えないほどの大雨が30分ほど続きました。

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雨が上がって燃料を再補給し、再び滑走路へと向かいます。外にはキレイな虹も見えます。

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あと5機離陸したら自分たちの番。やっと帰れるとホッとしたのもつかの間、本社の運航課からテキストメッセージが入ります。

「離陸までの順番、何番目や?」

「今5番目。ウチのエンデバーの機体が滑走路でちょっと待たされてるけど………」

2分後。

「あと5分で時間切れや。それまでに離陸できんかったらゲートへと戻ってくれ」…………………………

裕坊と今日1日冒険の旅を一緒に共にしてきたマットくん、顔が青ざめます。管制官に無線でお願い。「あと5分で時間切れなんだけど、なんとかなんない?」

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管制塔:お前らのすぐ左の誘導路から滑走路へ入れるか?入れるんやったら、すぐ行かしたるで

裕坊:スペースなら充分ある、滑走路へなら問題なく入れるけど

管制塔:Endeavor 3513, Runway 4L CC intersection, cleared for immediate takeoff

離陸したの、時間切れ3分前でした。デトロイトには10時過ぎに到着。本当はお昼から何も食べてなかったのですが、魚肉ソーセージ2本食べたところで電池切れ。でも我が家にはなんとか帰ることができて、今朝はこんな景色を眺めています。

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今日1日お休みを取って、また明日からは4日間のフライトへと出発です。

 

裕坊