Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

気象情報の読み方、解説してみます。

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皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

ミルウォーキー空港の近くにあるホテルの窓を開けて、お昼下がりの出発までの時間をゆっくりと楽しむ裕坊。スケジュールの変更が入り、ミルウォーキーからミシガン湖を超えてデトロイトまで。そのあと再びミシガン湖を西へ向けて飛び越えて、アイオワ州の州都であるデモインへと行くことになりました。明日は夕方ゆっくりと出発してデトロイトまで1本のフライトだけ。昨日一昨日と空港での待機が長かったこの4日間のフライト。最後に来てちょっとしたご褒美となりました。

このお仕事は天気にかなり影響を受けます。冬の間は雪に雨氷、夏の間は積乱雲に大雨、風の影響も大きく、風向はもちろん、風の強さなども気になります。そこでスケジュールが変更になると職業病のように必ず開けてしまうのが航空気象のホームページ。折角ですので、航空気象の読み方を少し解説してみたいと思います。最近の航空気象はとても精度が高く、読み方を知っていますと皆さんの普段の生活にも使っていただけるかなりのスグレモノ。

今日はまず記号の読み方から。 aviationweather.gov/taf  をコピペしてホームページを開けてみてください。こんなホームページが出てきます。

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赤で囲んである部分に緑色で囲んだ小さな入力欄があります。そこに4桁の空港コードを入力。アメリカの空港はKで始まる4つのアルファベットで、ケネディであればKJFK、デトロイトであればKDTW。日本はRJで始まる4文字のアルファベット。成田ならRJAA、関空であればRJBB、セントレアはRJGG、福岡板付ならRJFF、札幌千歳ならRJCCといった具体。アメリカの航空気象のホームページですが、日本の空港コードさえ入力すれば、日本の空港の天気も調べられます。インターネットで調べれば、空港コードも簡単に検索可能。それを入力して Get TAF Data をクリックします。今日はまず気象状況の読み方を追ってみますので、Include METARにチェックマークを入れて情報をゲット。

今の日本まずまずお天気が安定しているようです。そこで少しお天気が下り坂になっているアメリカ東海岸と積乱雲の予報が出ているアトランタも一緒に入れてみました。するとこんな画面が出てきます。

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今日はまず気象情報の読み方から。

1番上の段のRJAAの行、これが現在の気象状況。成田空港における現在の状況を示しています。その下の段にTAFとあり、これが予報になります。TAFとはTerminal Aerodrome Forecastの略。Aerodrome とはイギリス英語で空港のことを指し、Forecastが予報。

ではまず一番上のRJAAから。251800Zとありますね。最初の2つ、25は25日。日付です。1800Zとは世界標準時グリニッジ子午線の標準時の時間です。航空気象ではほぼ例外なくこのグリニッジ標準時間で表示されます。日本時間に直すには単純にこれに9時間を足すと出てきます。18時のイギリス時間に9時間を足すと午前3時。即ちこの表に示されているのは4月26日午前3時の成田空港の気象状況。

そのあとに風向風速、視程、雲の状況、気温、露点温度、海面気圧と続きます。

気象状況のデータを取得した時刻を示したあと、07009KTとあります。最初の3桁が風向。次の2桁が風速。方角は360度を一周とする3桁の数字で表されます。北が360度。東が090度で、南が180度、西は270度の方向。070であれば東北東方向ですから、ほぼ東からの風が吹いていることになります。09KTとは9ノット。日本のお天気チャンネルなどでよく表示される風速はメートル/秒。単純に2で割るといいです。9ノットですから、およそ4.5メートルの風。今の成田地方、歩いていてもほとんど気にならない風のようです。

次の4桁は視程。日本ではメートルで表示されます。9999とは視程9999メートル、即ち視界を遮るものがない状態。霧などが出て視界が少し遮られるようになると、3000とか2000など数値も落ちてくるようになります。これが1000を切るようになると濃霧に注意した方がいいようです。今の成田は霧などの視界を遮るものは何もないようですね。

次にFEW010 SCT030 BKN040 とあります。これが雲の状態。雲底と呼びます。最初の3つのアルファベットがどれくらい雲が空全体にかかっているかを示し、次の3つの数字がそれぞれの雲の一番下の部分がどれほどの高さにあるかを示します。数字はフィート基準。010とあると1,000フィート。1,000フィートで約300メートルくらいの高さになります。

空全体に対して雲が覆う割合によって最初のアルファベットが決まり、雲が少ない方から順番にSKC、FEW、SCT、BKN、OVC。

SKCとはSky Clearの略で快晴の状態。雲がない状態を示します。FEWはほんの少しの雲、SCTになるとまだ青空こそ見えるものの、雲の量が増え、BKNになると空のほとんどが雲で覆われる状態を表し、OVCになると完全に雲で覆われてしまいます。

FEW010だとほんのちょっとの雲が1,000フィート、即ち地上から300メートルのところにあり、SCT030で示されるのは、さらに量が多めの雲の層が地上から3,000フィート、およそ900メートルくらいのところに浮かんでいて、BKN040が空全体をほとんど覆ってしまっている雲の層が地上4,000フィート、およそ1,200メートルくらいのところにあることを表しています。午前2時の成田はかなり雲が出ているようですね。

次に15/14と出てきます。これは温度と露点温度。温度はそのまま今の気温。成田地方の2時現在の気温は15度。まずまず凌ぎやすい気温のようです。

次にあるのが露点温度と呼ばれ、湿度がこれで分かります。露点温度が気温に近ければ近いほど、水蒸気が簡単に水に凝結しやすく、即ち湿気を多く含むことを示します。

霧が出ている時や雲底がかなり低く、雨が降りやすいときは温度と露点温度がかなり近くになります。逆に露点温度が気温から10度以上開いているとなかなか水蒸気が凝結しにくい状態。空気中にあまり水蒸気が含まれていないことを示します。即ち空気が乾燥しているのですね。このときは晴れていることが多いです。今日の成田は少し雲が多く、空気も若干湿っているようですね。

次のQ1003は成田地方の海面気圧。アメリカでは水銀柱ミリメートルが今現在も使用されていますが、国際的にはほとんどヘクトパスカルで示されます。標準気圧は1013.2ヘクトパスカルで、それよりも高い数値であれば高気圧に覆われていることが多く、好天であることが多いです。逆にそれより低いと低気圧に覆われている可能性が大ですから、お天気が下り坂になることが多いようですね。今の成田地方、若干気圧が低くなってますからお天気が下り坂であるか、悪天候が過ぎ去った可能性が高いことが分かります。

ちょっと長くなってしまいました。お付き合いありがとうございます。次のブログで予報の読み方を追いますので、またお付き合いください。

 

裕坊