Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、6日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

タイトルには裕坊、今日が6日間の予定の6日目。連邦航空法の縛りがあり、7日間続けては旅客機の操縦桿は握れないので、本来なら今日がお休み前の最終日。本当なら今日デトロイトからニューヨークのケネディ空港を往復する便を担当して帰ってきて、久しぶりの3連休を堪能するはずでした。ところが……………………………

ニューヨーク地方は朝から大雪。復路便のデトロイト行きは早々に昨日の夕方のうちに欠航が決まっていて、帰りの足がなくなってしまいました。取りあえず往路便だけは何としてでも飛ばしたいようで、気乗りしないまま出発の準備だけは整えておいた裕坊。予期せず今晩はニューヨークに宿泊することになりかけるところでした。明日は歯医者の予約まで入っていてちょっとヒヤリ……………………

日航空気象の情報を提供するウェブサイトを開けてみました。確かに大変そうな数字が並んでました。天気予報のアプリなどを開けてみても、ニューヨークと入れると途端に大雪警報発令中との赤い警報マークが上がってきます。積雪は1日で多いところで40センチくらいになるそうです。今年のお天道様は、雪で一杯になっていた倉庫の大掃除に躍起になっています。先々週の大掃除の時にハタキについていた雪の量が凄かったのでしょう。残った雪を大西洋に捨てるのに、東海岸を選んだようです。

これだけの量の雪が降るとなると、除雪の作業も大変になります。一度除雪をしても、また30分もするとすぐに目に見えて雪で除雪が終わったばかりの地表面が雪で覆われます。時速200キロを超える離着陸において滑走路が滑るのは飛行機にとっては命取り。ですから基本、滑走路は完全に除雪されているのが前提。一度除雪をして滑走路の供用を再開しても、また20分後30分後には閉鎖して除雪作業。雪が激しい時は融雪剤をふんだんに撒いてもせいぜい30分ほどしか効果を発揮できないので、またすぐ次の作業にかからないといけません。

当然のことながら空港、管制官が扱える離発着便は激減します。空港と恐らく航空会社が協議をしているのでしょう。扱う便数を決めた上で、どの便を予定通り運行するか、欠航にするかの作業に検討に入ります。座席数の少ないリージョナルジェット機の運航する便は、真っ先に欠航の対象になることに。我が社のフライトスケジュールを見てみると、もうほとんど全便、昨日のうちから欠航が決まってました。

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これ、今日のニューヨーク、ケネディ空港を出発する予定便を示す我がリージョナル航空会社のスケジュール表。便名に出発地と到着地の組み合わせ、定刻出発に定刻到着時刻、あとは担当機種に担当機材などの情報が並びます。1番左にあるのが欠航かどうかを示す欄。Yesとついている便は既に欠航が決定済み。赤で取り囲んだのが裕坊が本来担当するはずだったデトロイト行き。帰りの便が欠航が既に決まっているので、今晩あやうくニューヨークで足止めを食うところでした。

ケネディ空港に到着する便もほとんどが欠航になっているのに、裕坊の往路便だけなぜか通常運航。81便中76便が欠航して、5便だけが残ったうちの1つに選ばれました。大変光栄なことですね。裕坊の仕事ぶりと操縦技術がきっと認められたのでしょう。ニューヨークの雪景色を楽しめるご褒美つき。シェラトンという高級ホテルの宿泊も会社持ち……………………かったるいことこの上ねぇ〜…………………………あ、すいません。つい本音が……………

ということで、愛妻ちゃんと息子くんをお見送りした後、本社の乗務員配置係へと電話。昔取った杵柄で低姿勢で交渉。実は同じようにニューヨークへと帰る足を失っていたニューヨーク所属のパイロットが何人もデッドヘッドで裕坊の担当便にリストされていて、その中の1人に運航を担当してもらうことで交渉成立。足止めの刑を何とかまぬがれました。大きくため息………あぁ〜、よかった〜〜〜〜〜〜………………

取りあえず本来担当するはずだった時間はリザーブとして待機する必要はありますが、安心してコタツの中に潜れます。コタツのぬくもりの気持ちいいこと。2時までは取りあえず解放されます。おやすみなさい。

 

裕坊