Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、3日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

昨日買ってきたチョコクロワッサンとコーヒーの組み合わせで幸せな気分に浸る裕坊。今朝は9時のシャトルでゆっくりと空港まで。日曜日の朝とあってスタートも遅く、久々にショーアップもゆっくり。こんなに出先で朝がゆっくりと起きられるのって、いつ以来?…………………

昨日3月17日は聖パトリックデー。聖パトリックとはアイルランドじゅうを旅してキリスト教を広めたというアイルランド人の誇りでもある守護聖人。その彼の命日である3月17日、聖パトリックデーはアイルランドのシンボルカラーでもある緑色にアメリカも染まります。昨夜着いたホテルのレストランでは、皆さん普通に緑色のビールを飲んでました。裕坊は全く飲まない人なので、飲み物といえば冷紅茶。でも緑色には染まっていませんでした。当たり前か………………かき氷のメロンシロップでも頼めばよかったかな?

f:id:Yuichibow:20180318093932j:image

昨日の朝は9時半の出発便を担当して、ニューヨークのラガーディアからミズーリ州カンザスシティまで。直線距離でほぼ1,000マイル。およそ1,800キロ。西へ向かう便は偏西風に逆らうので、2,000キロ近くも飛ぶと往路と復路では30分近く所要時間も変わってしまいます。離陸後、着陸までの所要時間ほぼ3時間。リージョナルジェット機ではほぼ最長不倒の飛行距離。

普段平日だと1日じゅう混雑するラガーディア空港も、土曜日になると急激に便数が減ります。他には出発便はありません。ゲートから飛行機をプッシュバックして、ほとんど間髪入れずテイクオフ。通常は田舎の空港でも平均15分かかるところ、何と9分!!あっという間に空へと飛び出していました。

昨日のカンザスシティは雲底が少し低かったこともあって、代替空港がリストされてました。気象条件が悪く、目的地の空港に着陸できなかった場合を想定して、他の着陸できる空港を確保しておきます。それが代替空港。飛行計画はミネアポリスにある本社の運航課の担当者が全て立ててくれます。使う機体、担当のパイロットに客室乗務員の名前、巡航高度、飛行経路、使用滑走路ごとの離着陸データ、運航時の注意事項など、全てが含まれます。

お天気の情報ももちろん一緒に添えられます。晴天で風も穏やかなときは着陸に障害になるものがないので、代替空港を考える必要はありません。逆にお天気が下り坂のとき、霧が張ったり雲が低かったり、或いは大雨や雪の予報が出たときなどには、飛行計画に代替空港を組み込みます。目的地周辺の空港の天候の情報を調べて、運航課の担当者が選択。その際には、当然燃料も余分に積んで行くことに。

リストされていた代替空港がカンザスシティから遠かったこともあって、昨日はたっぷり、これ以上給油できないレベルにまで燃料を積んでました。燃料は我がリージョナルジェット機の場合、主翼の付け根についている給油口に大きなホースを差し込んで、そこから圧力をかけて燃料を送り込みます。主翼の上からでも給油できるように蓋がついているのですが、その蓋を開けようものなら燃料が噴水のように噴き出してくるくらいの量を積み込んでました。

代替空港がリストはされていても、実際の着陸には問題ナシ。有視界飛行で着陸するのは無理ですが、霧が深く張っているわけではないので、着陸には影響はありません。ガンガン飛ばせます。操縦を担当していた副操縦士のアンドリューくん、スラストレバーを巡航上昇の位置に合わせたまま鼻歌を歌っています。速度計は「これ以上スピードを上げると、飛行機壊れても知らねえからな」の赤いリミッターギリギリのところを指しています。

着陸したの、到着予定の1時間前。国際線ではよくあることですが、国内線では滅多にないことが起こりました。到着予定のゲートには、まだ他の飛行機が出発準備中。昨日のカンザスシティ空港は往来も少なく管制官も手持ち無沙汰。到着ゲート入りまでの間、どこで待機していたらいいかを問い合わせたら、明らかにコーヒーを飲みながらの口ぶりで、どこでも構わねぇよ、の返事。お前の他に動いてる飛行機ねーだろ、だそうです。おっしゃる通りです。

便数が極端に減る土曜日は、次の便までの待機も長くなります。昨日はニューヨークへと帰る復路便までの待ち時間がほぼ5時間。休憩用にホテルの部屋が充てがわれます。常宿の送迎シャトルが止まっていて、いつもの如く普通に乗り込んでホテルまで。着いてみたら、つい先月もあったばかりの出来事が………………予約入ってねーし…………………

同じミスをまたもやっちまいました。予約が入っていたの全く別のホテル。送迎シャトルの運転手、目を丸くして苦笑い。ただ今日はホテルもヒマだったようで、乗ってきたばかりの送迎シャトルで予約の入っているホテルへと連れて行ってくれました。どうもありがとう………………

そのあとまたニューヨークのラガーディアに昨夜戻ってきて宿泊。今日はこれからシンシナティを往復して、ビール会社ミラーのあるウィスコンシン州ミルウォーキーへと向かいます。

 

裕坊