Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、3日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今日も早朝のお馴染みのコンビネーション。片手にチョコクロワッサン、片手にコーヒーカップ。で、手が空くとときどきキーボード。今朝もコーヒーは小さなカップのコーヒー豆の機械で沸かします。ちょっと幸せな気分に浸る裕坊。

天下のデルタ航空のお膝元で、昨日は1日で5本のフライトを担当。今日は3本……………まさにザ・リージョナル。アトランタからの場合、ニューヨークやボストンといった主要空港へと向かうフライトは全てデルタ航空本体の担当。大型機も忙しく離発着。76人乗りの鉛筆のように長細い飛行機は、アトランタからだと小さな街を行ったり来たり。人口10万人にも満たないようなお隣の町に飛ぶことも。

短距離が中心のスケジュールになると、担当便数増えます。5本、6本のフライトを普通にこなします。離陸してすぐ着陸の繰り返し。巡航のときのゆったり気分を味わうヒマはなし。飛行機壊れる確率増えます。パイロットも一緒に壊れます。昨日は燃料の温度を示すセンサーが故障。プッシュバックしたあとに警告灯が上がってきて、しばらく足止め。

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燃料系統のシステムのモニターを立ち上げます。左側のエンジンの燃料温度センサー、完全に故障。普段は温度を示すボックスの中に黄色の点線が3本。温度が分かりません。飛行機の燃料は大抵エンジンオイルの供給ラインの横を通ったり、油圧装置の横を通ったりして温められた上でエンジンに供給されるので、氷結することはほとんどありません。ただ故障部品として登録をしておく必要があります。連邦航空法に記載された事項、守らなくてはいけません。
スマホを取り、本社の整備課に電話。スマホは駐機場内で使うことを前提にしていないので、アンテナの数は多くありません。電波の状態よくないです。会話が途切れます。電波が細切れになります。その度に電話の向こうの整備員が放送禁止用語を口にします。いや会話はモニターされているので、放送禁止用語は実際には出てきません。それに引っかからない言い回しの同じ意味の表現が口から出てきます。明らかにイヤイヤな整備員が故障部品を登録してくれます。やっと滑走路へ向けて出発。30分登録のために時間がかかり、既に定刻到着予定から20分の遅れ。
複数のフライトをこなすときは、大抵折り返しの時間がギリギリでスケジュールが組まれます。遅れはなかなか取り戻せません。お客さんの表情は曇ります。主要空港で乗り継ぎのある乗客の眉間のシワが深く刻まれます。お腹を空かせた裕坊には、夕食を買うヒマはナシ…………

5本のフライトをこなしてやっとの思いで、最終目的地ミズーリ州スプリングフィールドへと到着。ルート66の発祥の地だそうです。耐用年数を超えたターミナルは完全に新しく建て替えられ、中はとても綺麗。ターミナルを通り抜け、ホテルの送迎シャトルを探します。タクシー乗り場には見当たりません。一般の送迎レーンへ踵を返します。見当たりません。仕方なくスマホを取り出した時に、お迎えに上がってくれました。やれやれ………………

空港の敷地を出ます。草原が見渡す限り続きます。他には目に入るものはありません。カラカラに乾いた草が延々と続く景色だけが広がります。各社1日数便ずつしかない空港の周りでホテルをいくつも建てても商売にはなりません。大きな都市なら5分も走ればホテルに辿り着きます。スプリングフィールドでは送迎シャトルは草原の中を5分走り、高速道路へと入ります。さらに高速を走ること10分。モールやレストランが見えて来てやっと到着。裕坊、電池切れで歩くのもやっと。

副操縦士のブレットくんは24歳。エネルギーが有り余ってます。通りの向かいのバーベキューのお店に行くそうです。ありえないです。190センチ以上の超大柄ブレットくん、多分本当に行ってます。どんな味だったか、聞いてみようと思います。

今朝は6時の便を担当。アトランタに戻った後は、アメリカ人すら知らない町イリノイ州クォードシティを往復し、デッドヘッドで向かうはワシントン・ダレス空港。ザ・リージョナル第2章です。

 

 

裕坊