Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、2日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今月は本当に毎日が早起き。フライト中はほとんど3時台の起床。早起きは三文の徳という諺をどうやら私の会社はよく心得ています。早起きすれば健康になりますし、1日が有効に使えます。夜も早く寝られます。言うことなしです。眠い目をこすりながら、今朝も6時発の便を担当です。

朝が早いのはなかなか慣れませんが、リージョナルの航空会社の待遇は劇的に改善されました。10年前、裕坊が今の会社に入社した当時は、副操縦士のお給料というとハンバーガー屋のパートの水準。生活はギリギリ、裕坊自身も自らのお給料だけでは食べていけず、親の援助をアテにしての生活でした。

お給料の水準が改善され、若いパイロットたちがリージョナルへ次から次へとやってきます。彼らの最終目標はメジャー。目が輝きます。研修が進み座学が終わると、新人パイロットは研修の一環で操縦席に搭乗。シミュレーターでの訓練前に搭乗する便が指定されます。ジャンプシートと呼ばれる操縦席のすぐ後ろにある座席から、ラインパイロットの操縦を観察です。

昨日はミシガンの生まれ育ちのジャスティンくんがショーアップ。ジャスティンくんはジェット機はこれが初めて。ジェット機の経験がない新人パイロットには、全てが新鮮。プロペラ機に比べると、およそ倍の速さ。セスナなどの訓練機と比較するとおよそ3倍。頭も3倍速で回転させなければいけません。機械類も今まで扱ったことがない、初めてのものばかりがずらりと並び、スイッチ類の多さにも圧倒されます。ジャスティンくんも不安顔。

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シミュレーターの訓練が始まると、最初の課題は出発前のチェック。一通りのチェックを済ませるのに30分という目標を教官から立てられて卒倒します。大抵最初は1時間近くかかります。一つのスイッチを見つけるのに10分かかることもあります。裕坊も吸収には時間がかかる方。新人の頃はいつもモタモタして機長をイライラさせていました。

慣れはすごいです。飛行時間が増え、飛行機に慣れます。スイッチの位置を覚えます。操作手順が身につきます。そのうちスイッチの位置を目を瞑っていても触れるようになります。チェックリストの読み上げ項目などは完全に暗記してしまいます。宙で言えるようになります。出発前のチェックは入社1年後にもなると5分で終わってしまいます。

ジェット機の操縦とは、実は同じ操作手順の繰り返し。短距離便が多いリージョナルジェットともなると平均で1日に3本から4本のフライトを担当。1ヶ月だけで50本前後のフライトをこなします。どの便を担当しても操作手順は同じ。操縦には長距離便、短距離便の違いはありません。どの便でも同じ操作を繰り返しています。パイロットにとって飛行機の操縦とは、乗り慣れた車の運転と同じ。体が完全に覚えています。ジャスティンくんもいずれそうなるでしょう。

その慣れた手順を今日は2回繰り返し。メイン州ポートランドを出発し、ニューヨークのケネディ空港を経由して、目指すはフロリダ州ジャクソンビルです。

 

裕坊