Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、充電1日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今日のデトロイト地方はどんより曇り空。夕方には息子くんの音楽リサイタル。小学校からのお友だちの演奏のお手伝いです。息子くんが弾くのはピアノ。ちゃんとおめかしをして、スーツに身を包んで出かけます。息子くんはピアノを始めて早や5年以上が経ちますが、裕坊がリサイタルへお出かけするのは、今日が実は初めて。少し手に汗を握る裕坊。

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その裕坊が育ったのは昭和どっぷり真っ只中。時代背景は全く違いました。男の子と女の子では習い事も完全に分かれていました。裕坊はピアノなど触ったこともありません。我が家のピアノを前にして裕坊が唯一できるのは写真撮り。ピアノは女の子、男の子たちはスポーツをするのが当たり前の時代。裕坊は小学校のスポーツ少年団ではサッカーに明け暮れ、平日は岡山市内にあるスイミングスクールにバスで通います。

野球を見るのが好きだった裕坊少年。女の子たちの憧れの眼差しも、4番でエースの野球少年に注がれます。男の子たちの間でも4番エースは大ヒーロー。同じグラウンドを分け合う野球少年たちを、羨ましそうな眼差しで見つめる裕坊。ただ何故サッカーを選んだのかは全く記憶にありません。体育会系を地で行く野球部に少し距離を置いていたのかも。

炎天下の中の練習の中休み、運動場の水道に群がる野球少年たち。練習中に水を飲んではいけない当時の暗黙の了解に反した少年たちに、コーチの怒声が響き渡ります。「今水を飲んだ奴ら、全員グラウンド10周!」大きく見開いた目の中の眼球が点になる裕坊。恐れをなして水道の前で足がすくむ裕坊に、サッカー部のIコーチが後ろから声をかけます。「野球部は相変わらずやな、裕坊お前喉乾いたんやろ、はよ水飲んでこいや。これからシュートの練習やで」

お世辞にも運動神経がいいとは言えなかった裕坊少年。夏休みのサッカー部のキャンプでは登山に出かけます。今思えばトレッキングほどの坂でしたが、当時の裕坊にとってはロッククライミング。手で掴まる場所を探しては、坂を斜めに登って行きます。息を切らして登り切るのはいつも最後。先頭とは30分の時間差。下山は足ではなく、お尻で降りる下山。着く頃にはお尻は泥だらけ。ズボンには穴が空き、パンツの中まで泥が入ります。そんな中、Iコーチは文句一つ言うことなく、裕坊の後ろをただひたすら黙ってついてきてくれました。人間関係にはとにかく恵まれた裕坊、今でも貴重な思い出です。

そんな裕坊、小学5年の頃からは塾通いに明け暮れます。乗り物に乗るのが大好きで、バスと路面電車を乗り継いで行く裕坊。成績が上がらなくても、普段は乗れないバスと路面電車に乗れるだけでモチベーションが上がります。2年間通い続け、新しく開校する私立中学に何とか合格。そしてその裕坊が小学校の卒業文集の中で書いた、将来の憧れの職業こそがパイロットでした。いろんな人に支えられて、ここまで辿り着きました。貴重な出会いと一人一人の支えに感謝、感謝です。

我が息子くん、将来の夢を聞くとエンジニアだといいます。ゲーム機の研究には余念がありません。親が教えなくてもゲーム機の情報には精通しています。ゲームソフトの情報も漏らしません。必要なアイテムも熟知しています。スーパーボウルが何かを知らなくても、フランスがどこにあるかを知らなくても、任天堂のスイッチのことなら何でも答えてくれます。

リサイタルは夜の7時から。まずは息子くんをお迎えに、3時ごろに我が家を愛妻とともに出発です。

 

つづく

裕坊