Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、訓練から帰宅

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今ミシガンの自宅にいます。ボーリングで3つのストライクを取ってご満悦の愛妻のお料理をいただいて、こちらもご満悦です。鮭にお醤油が効いていて、食がとてもよく進みます。

今日は訓練終了後、運よく5時間も予定より早い便に乗れました。それに乗れなければ、今頃搭乗の時間でした。着いたデトロイト地方は一面真っ白。雪が降ると小心者の超慎重派の裕坊くんは絶対高速には乗りません。帰りは一般道をひたすら信号に引っ掛かりまくりながら、石橋が壊れるほど石橋を叩きながらの超ノロノロ運転です。

ときどき4輪駆動のピックアップトラックが猛烈な勢いで煽っておきますが、気にしません。恐らくピックアップトラックのお兄ちゃんは、後ろから裕坊に向かって中指を立てているのでしょうが、全く気に止めようとすら思いません。2輪駆動のセダンでは出せるスピードには限界があります。30分でいつもなら帰宅できるところ、1時間かけて帰ればいいのです。1時間で着かないなら、2時間でも3時間でもかければいいのです。事故を起こさないことが大切なのです。安全第一です。その思いは微塵たりとも揺らぐことはありません。但しガス欠には気をつけましょう。

その安全性を高めるための訓練、2日目の今日の内容は長年パイロット達が望んだものを正に反映したものでした。かつて裕坊が今の会社に雇われた当時の訓練といえば、訓練とは名ばかりの、教官によるロシアンルーレットそのものでした。訓練に費やされる時間こそ1日でしたが、口頭試験がまず2時間ほど課され、それに続いてシミュレーターによる技能チェック。

まず口頭試験で皆汗を流しました。ときどきマニュアルにすら載っていないようなことまで聞かれて、心臓を凍らせました。何でそんなことまで知っていなきゃいけないんだ、と心の中で叫びました。空中では手が届かない、整備員しか触らない羽の下の無数にあるボルトの数など知っていて、一体何の役に立つのかと。

技能試験は、普段乗客を乗せた状態ではマニュアルですら禁止されている急旋回、失速ギリギリまで速度を落としての高度維持などが試験の対象でした。通常の運航とは全く無縁の操縦です。墜落の危険すら伴います。バスやタクシーなどに乗っていて、タイヤを鳴らしながら崖の下り坂の急なカーブを速度を落とさず入っていかれたら、生きた心地すらしませんよね。コンセプト的に全くそれと同類の操縦が試験の項目にズラリと並んでいたのです。それでもそれに合格できなければ、次の日から操縦席に座ることすらできないのですから、冷や汗ものでした。

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ここ数年は航空業界全体でその風潮が劇的に改善され、本当に安全性を高めるために前向きに新しいことが学習できる環境へと変わってきました。パイロット達が望む訓練環境をやっとのことで手に入れることができたのです。数年を費やしましたが、声高に言い続けただけのことはありました。

その分、時間は2日をじっくりとかけます。昨日、1日目は緊急事態を想定した場面を一つ一つ作り出し、その事態に対処をしてはシミュレーターを止め、次の場面へと移る形式の訓練でしたが、2日目の訓練では普通に出発ゲートで乗客を乗せて、とある便を担当するという想定の元での訓練です。それがどのように安全性向上に寄与しているのか、明日詳しく書いてみたいと思います。

明日は1日休んで、火曜日からまた2日間のフライトです。巷世間は明日は月曜日です。愛妻は明日学校が休校にならないか、気を揉んでます。休校の確認に余念がありません。今週はミシガン州は全体的に冷えるようです。日本もかなり冷え込んでいます。風邪も流行っているようです。皆さん、体調にはくれぐれもご留意ください。

 

つづく

裕坊