Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、5日間のフライトへ

皆さんこんにちは、「飛ぶパイロット」月間真っ只中の裕坊です。

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先週の週末は、アメリカは『メモリアルデー』の週末。あちこちで催し物が開かれ、日曜日には裕坊一家も「グリーンフィールドビレッジ」へとお出かけ。『ヘンリー・フォード博物館』に隣接されていて、春から秋にかけてオープン。19世紀の町の雰囲気を醸し出している、古き良きアメリカを知ることができます。

 

当時の生活スタイルを、そのまま再現。

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19世紀といえば、自動車の本格的な普及が始まった時代。「ヘンリー・フォード」が開発したこちら『T型フォード』。流れ作業による自動車の生産方式を開発し、「T型フォード」の低価格化を実現。
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合計で1,500万台を売る、大ヒット商品となりました。

 

そして19世紀といえば、アメリカ人にとって忘れることができない南北戦争
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当時の軍服そのままに、南北戦争時の様子を見事に再現していました。

 

他にも「偉大な発明家」の『トーマス・エジソン』が開発したという発明品なども見学して……
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蓄音機も、エジソンの有名な発明品の一つ。
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年齢が一回り以上離れていながら、「ヘンリー・フォード」と「トーマス・エジソン」はフロリダ(フォートマイヤーズ)に別荘を並べて建てるほどの親友だったんだそうです。

 

帰りには、そこからすぐ近くのレストランでお食事……

 

その名も「フォード・ガレージ」
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『グリーンフィールドビレッジ」内を走り回っていたのと同じように、19世紀の車が展示されておりました。
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中はアメリカによくある、スポーツバーを思わせるような雰囲気のレストラン。
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19世紀当時の給油ポンプなども置いてあります。この当時の給油ポンプは、給油前にこちらのガラスのチューブにまずガソリンが貯められる仕組み。
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まだ自動車が普及したばかりの時代とあって、ポンプから直接ガソリンが車のガソリンタンクに入っていくというのが、消費者にとってはまだ信用できなかったらしく、タンクに送り込まれる前にそのガソリンを自分の目で確かめておきたい、という当時の消費者の意向を反映したものだったらしいです。

 

他にもその当時の電話機なども置いてありました。
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前菜に出されるオニオンリング
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嘗て実際に使われていた漏斗を使っているみたいです。

 

そしてこちら、メインのハンバーガー。
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このお店ならではのソースと、ハンバーガーパティーの相性がとてもよく、味的にもなかなかでした。

 

お店の名前は「フォード・ガレージ」
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ヘンリー・フォード博物館」、「グリーンフィールドビレッジ」からも歩いて行けそうなほどの近いところにありますので、お帰りの際にはオススメ。

 

日曜日1日だけの、束の間の休日を楽しんで…………

 

息をつく間も無く、5日間のフライトへ出発……
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まずはウィスコンシン州グリーンベイを往復。
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昨日はこんなお天気と一日中お付き合い………
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特にシカゴは直接大きな影響を受けることになったみたいで、軒並みフライトが遅れておりました…………

 

担当便3つ目は、インディアナポリス行きだったのですが、
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シカゴで発達していた積乱雲が、ちょうど裕坊が出発する頃になってインディアナポリスへ差し掛かっていて、裕坊たちは大回り……

 

ただ南回りで迂回すると、その後の着陸には影響はなく、やれやれ……………

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実は『メモリアルデー』がある週末には、インディアナポリスでは『インディ500』と呼ばれる、全米を代表するカーレースも開催されています。

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「レーシングキャピタル」を名乗るここインディアナポリス

 

それを誇るかのように、空港内のあちこちにもレーシングカーが展示。
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5月は1ヶ月を通して、カーレースに関連する様々な催し物が開催されているようです。
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空港の出口に向かう途中にも、レーシングカーが一台。
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一昨日に行われた決勝では、フランス出身のサイモン・パジェノという選手が、インディ500レースで初優勝していたそうです。
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今回の5日間のフライトは、ひたすらデトロイトを行ったり来たり。今日火曜日はデトロイトへと一旦戻って、テキサス州サンアントニオに向かいます。

 

 

 

裕坊、束の間の休日を満喫

皆さんこんにちは、航空会社サラリーマン、裕坊です。

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昨日土曜日に4日間のフライトに区切りがつき、夕方には我が家へと帰ってきていた裕坊。担当便もなく、お客様とともに客席に座ってのリラックスのひとときを過ごし、

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デトロイトへと帰るのみでした……

 

ニューヨークのラガーディア空港からの帰宅便搭乗でしたが、
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デルタ航空系列が使用することになる、新ターミナルビルも輪郭がかなり出来上がって、既にボーディングブリッジが取り付けられているところも。早ければ、こちらのビルは今年秋には完成して、供用も今年中には始まる予定。

 

ニューヨークもやっと本格的に暖かくなり始めて、新緑がとてもきれい……
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宿泊していたホテルから、高速道路を挟んで反対側には、ニューヨークメッツが本拠地とする、シティーフィールドも見えておりました……

 

 

この週末は、日本語では『戦没将兵追悼記念日』と呼ばれる『メモリアルデー』の祝日がある連休。正式には「メモリアルデー」自体は、5月の最終月曜日となり、土曜日、日曜日と合わせて3連休。この連休間、全米中でパレードや、様々な催し物が開催されます。

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その「メモリアルデー」のそもそものきっかけとなったものといえば……
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この軍服姿からそれが分かる方は、かなりの歴史通。裕坊も今日まで知りませんでした。実は「メモリアルデー」がある5月というのは、アメリカの南北戦争が1865年に終結した時の月。上の写真というのは、その当時の北軍の軍服だったんだそうです。

 

南北戦争」は、アメリカ合衆国がこれまでにくぐり抜けてきた戦争史上でも、実は最も死者の数が多い闘いだったらしく(戦死者60万人)、その悲惨な歴史の中で犠牲になった戦没者を追悼する目的で、『デコレーションデー』として始まったのが、きっかけになったそうです。

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「デコレーション」とは、英語で「飾り」。兵士のお墓をお花などで飾り、追悼する習慣があったことから、この名が使われていました。第二次大戦後に、「メモリアルデー」と改名されて現在に至るのだそうです。

 

その「メモリアルデー」のきっかけとなった「南北戦争」を再現しているイベントがあると聞き、今日は家族でお出かけ……

 

デトロイトを代表する観光地、フォード博物館のお隣にある、『グリーンフィールドビレッジ』まで出かけてまいりました。
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19世紀のアメリカの歴史をよく再現する、ここ「グリーンフィールドビレッジ」

 

当時の一般の生活様式まで再現。着ている洋服まで当時のものを再現して、まるで本当にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。

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19世紀には、まだ移動交通手段の主力でもあった馬車……
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それに大きな革命を起こしたのが、ご存知『ヘンリー・フォード』による、大量生産による自動車の普及。
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『T型フォード(Ford Model T)』は大量生産をすることによって、自動車の価格を大幅に引き下げることに成功し、世の中の自動車の普及に大きな役割を果たしました。

 

出力20馬力、最高時速は60キロから70キロほどだったそうです。
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4気筒エンジンで、排気量は2900ccと、最近の大型セダンに実は排気量なら引けを取らない大きさ…

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低価格、頑丈さ、使い勝手ののよさ、整備の容易性から瞬く間に好評を博し、なんと1,500万台も生産されたんだそうです。

 

他にも、当時の交通の主力だったとも言える、蒸気機関車などもお出迎え。
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自動車の普及に伴って、こういったバスも馬車に置き換わって、交通機関の主力になっていったことでしょう。

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そして今日のハイライト。「南北戦争」展。

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軍服も当時のもの、そのままだそうです。

 

兵士だけでなく、太鼓隊もいたりしたそうですが、その太鼓隊はただ今休憩中……
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そしてこちらが北軍と相対峙することになった、「南軍」の兵士たち。制服も当時のものをそのまま体現。
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既に製造業があちこちで確立していた「北」は、財力でも「南」を圧倒していたようで、それは軍服の見た目の違いにも、はっきりと現れています。

 

他にも「北軍音楽隊」による、ブラスバンド演奏や……
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兵士達のオアシス的存在にもなったといわれる『コーヒーワゴン』なども登場しておりました……
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今日登場したのは、当時より若干小さめ、当時と比較して7/8の規格のレプリカだそうです。
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裕坊も喉の癒しに、コーヒーを一杯いただいてまいりました。

 

夕方には、実際の当時の合戦の様子なども再現されたらしいのですが………
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お腹も空いておりましたので、そのシーンを見ることなく、『退散』……………

 

平和な時代へと『タイムワープ』して……

 

他にもいくつかある「お目当」を回って、次を急ぎます………

ここで是非押さえておきたいのが………

 

まずはこちら、エジソンの実験の館……
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特許取得対象になっているものだけでも1,000以上からなる発明を行なった『偉大な発明家』「トーマス・エジソン」……

 

そのエジソンが実験を行なっていたのは、ニュージャージー州に当時あった、『メンローパーク』と呼ばれるこの実験施設で、

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様々な発明を成し遂げたことから、エジソンは別名『メンローパークの魔術師』とも呼ばれていたそうです。

 

こちらにあるのが、電気を作り出すのに使われた機械…
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原理自体は、今の発電に共通するものが………

 

そしてこちらが、白熱電球を作り出した、本物の研究室。
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開発されたばかりの白熱電球は、フィラメントが4秒で切れてしまう代物だったらしく、様々な失敗を繰り返して、最終的に扇子にも使われていた『日本の竹』をフィラメントに使うことにより、連続点灯時間が200時間を超えて、白熱電球の商業化に成功したのも、この実験室だったそうです。

 

そのエジソン銅像も、実験の館の前に飾られています。
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あと航空業界にとって、パイオニアになった『ライト兄弟』が実際に経営していたという、とあるお店もここで展示……
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この建物、当時あったオハイオ州デイトンから、実際に道路を移動して、こちらに「お引っ越し」

 

中を覗いてみると……………
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オハイオ州のデイトンで、自転車屋を兄弟で営んでいたのだそうです。

 

そして自転車を作ったり修理したりする、そのお店の裏側では……
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着々と、動力を使った飛行機の製作が、日夜行われていたのだそうです。

 

そして1903年12月17日……
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ノースカロライナ州キティホークで……

 

ついに人類で初めて達成された、動力を使った飛行機による初飛行…………

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オービル・ライトによるその初めてのフライトは12秒間に渡り、120フィート、およそ40メートル弱を飛んだ、とのことでした……

 

あれからまだ1世紀とちょっと。今はジェット機が普通に旅客を乗せて、海を軽々と超える時代……あり得ないくらいの速さで、まだまだ航空界は進歩を続けています。

 

 

さあ明日から、また5日間のフライトへ出発〜〜………

 

 

 

 

 

裕坊、50代の到達は、飛行機の中でした

皆さんこんにちは、リージョナルジェット機フロントオフィス担当、裕坊です。

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昨日はフライト2日目。金融の町、ノースカロライナ州のシャーロットを夕方に出発して、ニューヨークを経由し、デルタ航空の基幹空港の一つであるオハイオ州シンシナティまで行くはずが………

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最初のラガーディア空港行き、結局4時間遅れ…………

 

シンシナティへ行く便からも外されることになり…………

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結果的に昨日と同じく、シャーロットへと戻ってくることになりました………

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着いたの、結局夜中過ぎ………

 

ヒンヤリのお天気が続いていたミシガン州にすらいきなりやってきた夏日……アメリカ大陸は、気象学的にも積乱雲が発達しやすい環境にあるようで、気温が上がってちょっと大気が不安定になると、あっという間に積乱雲発達の土壌の出来上がり……

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これはニューヨークの木曜日のレーダー画像。

 

レーダー画面にはっきりと映るくらいに水分を含んだ雨雲が上がる季節になってくると、ただでさえ世界で指折り3本の中に入る忙しい空域を持つニューヨーク・メトロ地域。(はっきりとしたデータがないので、世界でどの空域が1番忙しいのかを検索することはできませんでしたが)狭い空域を積乱雲が覆い被さると、さらに使える空域が狭くなって、航空管制による離着陸数の調整が発生します。

 

これが原因で起こるのが、連邦航空局による、出発遅延………

 

皆さんがアメリカ国内でフライトでのお出かけの時、目的地に出発遅延があるかどうかを確かめるのにとても役立ちますので、是非ご参考までに。

「FAA Delays」とグーグルで検索すると、このウェブサイトが真っ先に立ち上がってきます。

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これがFAA、連邦航空局による遅延情報。上の画面は、実際の昨日木曜日の情報です。

 

ニューヨーク周辺の画面を拡大して、その様子を詳しく見てみると………
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裕坊の木曜日の目的地であるラガーディア空港を初め、ケネディ空港、ニューアーク空港と、ニューヨーク周辺の主要旅客空港がオレンジ色、ティーターボロウ空港が赤色になっているのが見えます。ここでのオレンジ色は出発遅延(大抵の場合、平均で1時間前後)、赤色になると大幅な出発遅延で、大抵の場合、離陸停止がかかっています。

 

そしてラガーディア空港のオレンジ色の点を押してみると………
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平均の遅延が、2時間24分となっておりました……………

 

次々と建物の改修、建て替え工事が進むアメリカの空港旅客ターミナル。
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上の写真は、ニューヨークのマンハッタンに1番距離が近いラガーディア空港で、こちらでも改修工事が急ピッチで進んで、一部では既に新しいターミナルの供用も始まっています。

 

それと同様、アメリカ国内では空域システムも次々に改訂が進み、今やほとんどGPSによるナビゲーションが標準になってきていて、

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国内の各空港からの出発経路、到着経路は、とても効率がいい、GPSをベースにした経路設定になっているところがほとんど。デトロイトクリーブランドインディアナポリスでも半年ほど前に、新到着経路の供用が始まって、遅延が大幅に改善されるようになりました。

 

GPSをベースにした経路設定ですと、どこにでも目標地点を設定して、そこに直線で行けるようになるのが強み。
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地上の信号を頼りにした航法だと、どうしてもジグザグを避けることができず、効率が下がってしまうのです。

 

出発経路、到着経路にGPSを応用したルートを描くと、航空管制の視点で見ても、空域が効率よく使えるようになるので、
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今までと同じ空域により多くの到着便、出発便を取り込むことが可能になるのです……

 

ところがニューヨークでは、空域の整理が遅々として進まず………各空港の到着経路は地上からの信号発信基地を基点にした経路が元になっているので、昨日木曜日のような悪天候が一度発生すると、数時間単位での遅延が発生…………

 

ニューヨークというと、3つの主要旅客用空港に加えて、ハドソン川を挟んでマンハッタンからのアクセスがとても便利な、チャーター機が中心に発着するティーターボロウ空港、と忙しい空港がひしめき合う、世界でも有数の超多忙空域。

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ですから、仮にGPSによる到着経路が施行になっても、ある程度の渋滞は免れないかも知れませんが……

 

何しろニューヨークというと、裕坊が真っ先に思い浮かべてしまうのが、コレ………

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ちなみに、ニューヨークの運転手さんたちは皆、とても「お急ぎの方」が多く、信号を見るのを忘れていても、信号が青になったことを後ろから「派手な音」で知らせてくれます。

 

地上と同じく、空もいつも大渋滞………

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これだけのおびただしい数の発着便を……

 

空港管制塔から、
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目視中心に、各航空機の離着陸や、地上での滑走路からの航空機の行き来を管理したり……
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ARTCC(Air Route Traffic Control Center)と呼ばれる巡航中の航空機を管理する部門で、
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こういった画面を見ながら、

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航空機同士の安全な間隔を保ったり、

 

こちらはTRACON(Terminal Radar Control)。
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使うのは、ARTCCとほぼ同じレーダー画面。空港を出発した航空機を巡航軌道へと誘導したり、空港周辺に入ってきた各航空機を、ほぼ等間隔で滑走路へと誘導したりします。

 

発着便数のことを考えると、とても彼ら管制官の方々には、頭が上がりません……

 

管制官たちも、少しでも早く各航空機が、少しでも早く、それでいて安全に目的地に到着できるように尽力してくれていますから、そこには文句を言うことはできません……


あとは、空域の改変が進んで、遅延が少しでも緩和されることを、祈るのみです……

 

 

昨日はラガーディア空港を風のように出発して、シャーロットまで戻ってきましたが……
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到着するのは、夜中12時過ぎ。思わぬ形で、シャーロットへと到着する便の操縦席の中で、人生の区切りの一つにもなる、50歳の誕生日を迎えておりました。

 

シャトル乗り場までも、足取りは重く…………
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夜遅くまで開いている、シャーロット空港の食材売り場も、昨日到着する頃には既に閉店………
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昨夜は遅くなっていたので、食べるのはガマン…………

 

今朝になって、人生50代に到達後の、初めてのお食事をいただいています。
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昨日になってまたも変更になった、裕坊のスケジュール。既に遅延が出ているニューヨークへ、夕方遅くの出発です。

 

 

 

裕坊、2日目

皆さんこんにちは、リージョナルジェット機運転担当、裕坊です。

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昨日水曜日のお昼頃に出勤し、4日間のフライトへと出ている裕坊。昨日は久しぶりに、ニューヨーク・ケネディ空港を経由しました。

 

急な欠員が出た時に必要となる交代要員である『リザーブ』と呼ばれるスタンバイシフトを、先月まで5ヶ月連続で務めてきた裕坊。ログブックを見ていると、最後にケネディ空港に立ち寄っていたのは、なんと4ヶ月も前の1月………

 

久しぶりに訪れるターミナル………

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デルタ航空の塗装の機体がたくさん止まっているところや、

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こんな外国からの大型機がたくさん見れるのも、ケネディ空港ならでは……
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6年ほど前まで所属していたこともある、ケネディ空港。ここに来るとやってきてしまうのが……

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最近日本でもお馴染みの、シェイクシャック………

 

もとい……………………

 

ここだと、お腹周りの皮下脂肪を増やしてしまうだけなので…………

 

 

 

今日はガマン………………

 

 

 

ということで、こちらのお店へとやってきて……
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立ち寄るのは、こちらのコーナー。
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こちらの希望に合わせて、

 

こんな野菜サラダを作ってくれます。
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今年の夏の帰国までには、水着を着れる状態にしとかんといかん……………

 

そして夕方ごろ出発してやってきたのが、

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ノースカロライナ州の中心部、シャーロット。

 

金融の中心部となっている都市の一つで、中でも目につくのが、アメリカのメガバンクの一つである、バンク・オブ・アメリカの本社。

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実はこの銀行、裕坊が17年前に渡米した当時から今現在に至るまで、ずっとお世話になっています。

 

アメリカを代表するメガバンクの一つの本社だけあって、このビルは遠くからでも、すごく目立ちます。
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そのバンク・オブ・アメリカアメリカンフットボール用の大きなスタジアムも所有していて……

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NFLカロライナ・パンサーズというチームが本拠として使っているのですが………
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NFLプレーオフにも、時々顔を出しているようです…

 

 

我がデトロイト・ライオンズとは実力が違いすぎる………………………………

 

 

金融都市、商業都市的な色が濃いここシャーロット。あまり観光としての見どころは多くありませんが……

 

フォースワードパークがあったり、
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都会のオアシス的な存在になっているようです。

 

あとはNASCARレースの発祥の地でも知られるのだとか……

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そしてそのシャーロットの町の中心から、やや西側に位置する、シャーロット・ダグラス空港。昨日はちょうど日が暮れた頃に到着したのですが……

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最近になって完成したばかりの、Aターミナル・北コンコースへの到着でした……

 

最近のターミナルのトレンドでもある、天井がとても高い真新しいコンコース。
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出発便の案内表示板も、最新のLEDの技術が取り入れられています。
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本来であれば、ユナイテッド航空が集中して発着させるゲートのようなのですが……
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恐らくデルタ航空系列の航空機が本来使っている、Aターミナル・南コンコースに空きがなくて、こちらに回されたというのが、本当のところなのでしょう……
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思いがけずに、新しいターミナルへと到着することになりました。真新しくて、気持ちがいいのですが……

 

こういった新しいコンコースは、空いている敷地に無理やり作っていることが多いので………
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出口までが、と〜〜〜〜っても遠いのです………
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ひたすら歩きます………
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ひたすら歩きます………
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ひたすら歩きます………
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やっとメインターミナルにつながるムービングウォークまでやってきて………
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空港全体で、急ピッチな内装の改装工事も続く、ここシャーロット・ダグラス空港……

 

真新しくなっている壁、天井に対して……
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このムービングウォークだけが、この空港の歴史を物語っておりました………

 

元々はUSエアウェイズの基幹空港の一つだったシャーロット空港だったのですが、

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そのUSエアウェイズ、2015年にアメリカン航空と合併。
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現在のシャーロット・ダグラス空港は、アメリカン航空の重要な基幹空港の一つになっています。

 

ここの空港のウリは何と言っても、
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とても充実したフードコート。

 

天井がとても高くて、清潔感もあり、

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選べる食事の種類も、とても豊富。

 

日曜日は全社一斉にお休みとなる、アメリカでは人気のチキンバーガー屋さんもありますが、
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シャーロットまで来た以上、裕坊が是非おススメしたいのがこちら。
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ここノースカロライナ州が発祥だとされる、ポークバーベキュー。
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カロライナ風の甘めのソースにつけて、しっかりと焼き込んだポークリブ・バーベキュー。ここのお店ですと、15ドルほどでしっかりとお腹いっぱいにポークバーベキューを頂くことができます。

 

是非お試しアレ。

 


これからここシャーロットを出発し、ニューヨークはラガーディア空港を経由して、最近発着数が劇的に増えているシンシナティへと向かいます。

 

 

 

 

今日は、裕坊が先日遭遇した、ウィンドシェアについてのお話です

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン、裕坊です。

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先日の日曜日に5日間連続に渡るフライトをこなし終えて、月曜日、火曜日と2日間の休養を取る裕坊。明日水曜日からは4日間のフライトをこなし、そのあと1日にお休みを挟んで、また5日間のフライト、1日のお休みを挟んでまた4日間と、佳境に入っております……

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ただ次の4日間のフライトは、宿泊滞在先でかなりゆっくりできるのが、かなり救い……………

 

 

さて今日の話題はというと、実はパイロットの方なら、現役ラインパイロット、飛行教官、訓練生、或いは未来のパイロットの方も含めて、是非シェアしておきたいと思い、今日のブログに載せることにした『ウィンドシェア(Wind Shear)』のお話。

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『ウィンドシェア』とは何ぞや…………?

 

「ウィンドシェア」とは、気象学的には、風の方角、速度、の急激な変化のことを指します。

 

下の図でいうと、横線より上では風速は20ノット(およそ毎秒10メートル)で、下が10ノット(毎秒5メートル)となっていて、

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その境を飛行機が上昇していったり下降していったりすると、急激な風の変化を航空機も同様に通り抜けることになるのですが、実は航空機にとって、これが致命的になることがあるのです。

 

急激な風向風速の変化とともに、急激な揚力の変化も生じます。なぜなら、飛行機の揚力、すなわち主翼による機体を浮かせる力、というのは、主翼上面の風の速さの2乗に比例するから。向かい風が急に強くなれば、揚力は劇的に増すことになり、逆に向かい風が急に弱くなると、飛行機はその揚力を急激に失うことになります。

 

着陸進入中に急な風向風速の変化で揚力を失うとなると、しかも、それが滑走路から1キロと離れていない状態だったとしたら……………

 

かつてそれで大事故を起こした航空機がありました。1985年8月2日に、ダラスフォートワース空港への着陸進入中に起きた、デルタ航空191便(ロッキードL−1011、トライスター)の墜落事故。

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テキサス州は、特に夏の間は、世界中でも積乱雲天国と呼ばれるほどに、積乱雲が頻発します。そして着陸進入時に発生していた積乱雲の中に入り込んだ191便。

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機長は速度の急激な低下に気付いて、操縦桿を握っていた副操縦士にエンジンを全開にするよう指示。副操縦士もエンジンを目一杯前に押し上げた状態にしていたものの、エンジンの出力は、急激な速度低下、揚力喪失からの回復に必要とするまでには上がることなく…………

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乗客乗員164名中、136名の方が亡くなる大惨事となりました……

 

 

ウィンドシェアが起こる原因やパターンは、大きく分けると4つほどになるのですが、その中でも最も多く発生しやすいと言われるのが、『マイクロバースト』と呼ばれる、積乱雲を伴った強力な下降気流が発生させるタイプの「ウィンドシェア」。

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多くの雨粒を含んだ積乱雲は、下降気流の力も強くなる傾向があり、強力な下降気流が吹き付けると、一旦地面まで届いた時点で、風が一気に四方へと広がります。

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そしてその下降気流を航空機が通過すると、

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この図を見ていただいてもお分かりの通り、最初は風をほぼ正面に受けて揚力が増し、その後下降気流の直下を通過して、それが追い風に変わります。追い風を受けている状態では、主翼の上面に流れる風の量は減り、揚力が失われますから、最悪の場合機体の重量を支えることができずに、高度を下げることになり、地面へと叩きつけられてしまうのです。

 

基本的には積乱雲は、たとえ強力な下降気流が発生していなくても避けるのは、航空界では鉄則。大きな稲妻が走っていたり………

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大きな雷光が見えている中に入っていくのは、自殺行為そのもの………
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積乱雲に含まれる雨粒はとても大きなものになりやすく、レーダー画面にも映りやすいので、こういった画面が見える時には、パイロットは針路を変更するように管制官に要求します。
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管制官も、積乱雲が発生している場合は、その雲を避けるように普段であれば誘導するのですが、

 

先日の金曜日の裕坊のフライトでは、特別大きな積乱雲というのは発生していませんでした……
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レーダー画面を見ても、映っていたのは大きな雨雲一つだけ。ただ、その雲が裕坊の担当便の到着空港であるシンシナティ空港への着陸進入経路を、完全に覆う形になっていたのです……

 

外を見渡すと、これに似たような雨雲。積乱雲というよりは、日本語でいう乱層雲(Nimbostratus)に近い印象。水蒸気をかなり吸い込んでいたようで、光を完全に遮っておりました。
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ただ降水もあり、着陸進入経路は、視界が完全に遮られていて、雨雲の向こう側には滑走路が見えなくなっている状態……

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シンシナティ空港は、南北方向に滑走路が3本、そしてそれと直角に交差する滑走路が1本ある構造になっているのですが、西方向へと着陸する進入経路には、一切雨雲がかかっていませんでしたので、そちらの進入経路を航空管制にお願いしたかったのですが、

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(赤色が着陸進入を試みた経路で、青い線が裕坊が希望していた着陸滑走路)

たまたま到着便が重なっていて、無線は到着便と管制官のやりとりで混雑していて、とても航空管制には滑走路の変更をお願いができる状態にはなく………

 

結果的には雨雲の中に入ることに………

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実際には裕坊が操縦する航空機に先立って、2機が雨雲を通過。1機はデルタ航空B737型機、もう一つはATIという貨物航空会社が所有するB767型機。雨雲の中は、降水こそ激しいものの、特に大きな揺れもないとの、先を行く航空機からの報告……

 

ただ雨雲の向こう側は、視界が遮られて完全に見えない状態にはなっていたので、安心はしてはいませんでした。強い降水の中をくぐり抜ける時には、飛行機の速度も上下しやすい状態に陥りやすく………

 

 

ある程度、心の準備こそしてはいたものの……………

 

 

ウィンドシェアの警告メッセージ……………

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WINDSHEARと赤い警告のメッセージが、表示されているのがお分かり頂けると思います。

 

現在では、定期便を運航する航空会社の整備点検項目を管轄する連邦航空法125条で、全ての定期運送用の航空機へのウィンドシェア警告発生装置の装着が義務付けられており、その装置が作動することになりました。

 

この警告が計器画面上に上がり、すぐにゴーアラウンド。推力を上げて、着陸をやり直し。この時は雨雲の動きが速く、着陸復行後は、1番西側にある滑走路36Lへと着陸して、事なきを得ました。

 


裕坊、エアラインのパイロットとして飛び始めて13年。機長に昇格してから今年で7年。初めての経験でした。

 

 

幸いだったのは、雨雲が発生していたのが、滑走路着地地点からは5マイル以上、およそ10キロほど離れていて、まだ裕坊が乗る飛行機の速度が着陸目標速度に比べるとまだまだ高かったこと。そしてフラップと呼ばれる離着陸時に使用される補助翼が、完全には出切っていない状態だったことでした。

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これは着陸時に使用する補助翼が出た状態を見ることができる写真。ジェット機では、ある程度低速での(それでも平均的に時速230キロというスピードは出ているのですが)離着陸を可能にするために、離着陸時には補助翼が使用されるのですが、着陸時にはこの補助翼がほとんど完全に出切った状態になります。

 

裕坊が乗っているCRJシリーズの場合、着陸時に出ている補助翼の角度は45度で、その時の時速はおよそ135ノット。平均的に時速240キロで着陸。

 

先日の裕坊フライトでは、まだ着陸滑走路から10キロ離れていたこともあり、この時の補助翼の角度は30度で、その時の時速は170ノット。エンジンからの推力にも、補助翼の角度にも、速度的にもまだまだ余裕がある状態でした。でももしこれが滑走路に近い状態で、速度が遅い状態であったとしたら……………

 

今回はまだ比較的余裕があった状態でしたが、いい教訓にしたいと思います。

 

 

パイロットとして、もう一つ教訓にしておきたいこと。バーガ(Virga)…………

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よくバーガが見える時は、その近くを避けろという、パイロットの間でよく言われる決まり文句があります……

 

バーガというのは、そもそもどういうことか、というと………

 

上の写真からご想像いただける通り、降水状態でありながら、その降水が地上まで届いていない気象状態を指します。早い話、地面に雨や雪が届く前に、暖かい地上の気温が原因で、雨水などが蒸発してしまっているのですが、

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これは大気が不安定なことを示します。雨雲から降った雨が蒸発するということは、雨粒が急激な温度変化の中を通過しているからこそ、起きる現象。大気が安定している時は、高度差による気温の変化が少なくなる傾向があるのです。バーガが起こっているということは、それとは反対のことが起きている証拠……

 

特に上空の気温が氷点下以下の場合、雨粒も大きくなる傾向があり、その中を通過すると……

 

主翼を初めとして、航空機のあちこちで着氷……

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大気が不安定な状態では、積乱雲も発生しやすいですから、バーガが観測される状態では、その雲は避けるのが賢明です。

 

パイロット生活13年、まだまだ学習することは山ほどあります。

 

 

明日から裕坊、4日間のフライトへ出発です。

 

 

 

裕坊、フライト5日間のフライトを終える

皆さんこんにちは、航空会社サラリーマン、裕坊です。

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先月までは5ヶ月間連続で、急遽欠員が出た場合の交代要員として会社がパイロット全体の20%ほど保有しておく『リザーブ』と呼ばれるスタンバイシフトを担当していたのですが、今月は既に前月末の時点で担当便が確定している、通常の『ライン』と呼ばれるスケジュールへと復帰。怒涛の月後半へと入ってきました。

 

3日目から今日5日目までの担当便の合計、11便。

 

昨日土曜日、今日日曜日は一機の機体にずっと乗り続けていたので、空港を走り回ることもありませんでしたが、金曜日は4便を担当して、しかも2回も飛行機を乗り換え………

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まー、よう走った……………

 

 

しかも3日とも、こんなお天気に振り回されて………

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金曜日は、滑走路へのアプローチ中に、『ウィンドシェア』と呼ばれる、急激な速度変化にまで遭遇する羽目になり、アプローチやり直し……これはまた後日にでも、詳しく書きたいと思います。

 

ゴーアラウンド』と呼ばれる「着陸のやり直し」。正確に言いますと、ほとんど着陸態勢に入っている状態から、着陸を中止。そこから離陸とほぼ同じくらいにまで推力を上げて、上昇旋回をして着陸を再試行。

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車でいうなら、高速道路の出口を出るつもりにしていたのが、

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あ〜〜、出口間違えとるや〜〜ん、、、

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と、再び高速道路へと戻って、

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全速力で加速するのと、ほぼ同じこと………

 

この時の再上昇に必要なエンジン出力は、離陸時とほとんど同じ………

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実は飛行機のエンジンというのは、離陸上昇の時に一番負荷がかかっていますので、それは整備課に整備記録を通して伝達をする必要があります。

 

なぜなら、少なくとも我が航空会社では、エンジンの点検整備は、エンジンの離陸回数を追うことによってスケジュールがほとんどの場合決まるから。

 

航空会社によって、航空機に搭載されている整備記録は様式はまちまちですが、内容は似通っていて、

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我が社でも、大抵こんな様式。

 

ただこちらの写真にあるように、今は本社の運航管理課が、操縦席搭載の通信機器を使うことによって、

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飛行機の行方や総飛行時間などを、直接追跡できるようにはなったので、整備記録の書式は以前には比べると、簡略にはなりました。ただ「ゴーアラウンド」は記載しておかないと、そこまでは自動では上がってこないので、記録をする必要があります……

 

記録が終わって、デトロイト行きの飛行機に乗り換え、

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デトロイトに着いてから、実はまたも飛行機を乗り換え……………

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ターミナル内のコンコースを南北に走る電車に乗って、
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実はこのトラム、今年5月1日に整備点検を終えて再開していたのですが、整備点検が続いていたら、やばかった…………

 

かなり忙しいスケジュールが続いておりましたので、その間の食事は『高タンパク、高カロリー』……………………

 

アメリカで、大人気のチキンバーガー屋さん……

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ここのチェーン、従業員の生活の質向上のため、日曜日は全社一斉休業。どこのお店も、ここのチェーンでは例外なく日曜日はお休みになります。

 

鶏ムネ肉だけを使い、保存料やツナギなどを一切使わないこだわりのお店で、いつも行列ができる人気のお店。

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アメリカでは常用的に使われているコーンスターチやコーンシロップも一切使わない、こだわりぶり。
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健康志向やがな…………


今回の5日間のフライトでは、最初の3日間はボストンをかなり行ったり来たりしましたので………
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やっぱり手にするのはシーフード。

 

Aコンコース内にあるこちらのシーフード屋さん。
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3日間、いつも行列ができていました……

 

裕坊がいつも買いに来るのは、このクラムチャウダー
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貝の身がかなり詰まっています。

 

そして3日目の金曜日には、ちょっと贅沢して、

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カニサンドイッチに、ロブスターサラダまで購入……

 

なかなか我ながら、健康志向やな〜〜…………………………

 

 

土曜日には高級ホテルに宿泊して、
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プレミアムラウンジへのアクセスもありましたので、

 

野菜サラダに……
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言うことなしやな………………

 

ソーセージなども…
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高タンパクやし、言うことなしやね……………

 

ほんのちょっと頑張ったご褒美………
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ちょっとくらいなら……………

 

まぁ、こんな天気をずっと相手にしとったんやし、少しくらいええやろ………
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ちなみに、ここのデザート、どれもかなりの美味でございました………

 

頑張ったご褒美や…………………………………

 

明日は芝刈り頑張って、汗をかかんといかん………………………………………

 

 

 

あちこちに大雨を降らせていた大雨は、デトロイトでも猛威を振るっていたようで、
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帰ってくる頃には、りんごの木の花びらがかなり地面に落ちておりました……

 

でも、裕坊が復活を願って止まなかった、花海棠の木。
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南側半分が、見事なまでに復活してくれていました。

 

やっぱり癒される……

 

 

裕坊、明日から2日間のお休みです。

 

 

 

裕坊、2日目

皆さんこんにちは、リージョナルジェット機飛び職人、裕坊です。

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昨日から5日間のフライトへと出かけた裕坊。愛妻ちゃんの腰の調子が今一つで、心配のタネが尽きない中での出勤となりました。腰が痛いのが長く続いているというのが、ちょっと引っかかる………この5日間は、デトロイトに4日目まで立ち寄ることすらないのですが、必要があるときはいつでもトンボ帰りの準備はできています。

 

まさか膵臓がやられたりとか、してないよな〜〜………

 

奇遇か偶然か、デトロイト空港では新しいキャンペーンが始まっていました。American Cancer Society(アメリカガン協会)と呼ばれる、非営利団体のキャンペーン。

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様々なガン研究の臨床団体に対する寄付や、ガン撲滅のための一般周知活動など、1913年にニューヨークで立ち上げられて以来、様々な活動をやっているようです。(現在の本部は、ジョージア州アトランタ
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愛妻ちゃんは、裕坊と一緒に渡米して以来、定期検診、ガン検診などの健康診断をほとんど受けていないので、一度裕坊とともに、ちゃんとした検診を受ける時期かも知れません…

 

今回の5日間のフライトは、一旦オハイオ州最大の重工業都市クリーブランドへと飛んできて、

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この町は皆さんもよくご存知のように、映画「メジャーリーグ」の舞台にもなりました。
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裕坊が見たことがある、数少ない映画のうちの一つ。第2篇、第3篇の映画では、日本から石橋貴明さんも出演。

 

そして昨日からの3日間を、クリーブランドからボストンへの往復便を何度も担当。まさにクリーブランドーボストン間シャトルをこなす3日間。

 

クリーブランド・ホプキンス国際空港といえば、かつてはコンチネンタル航空の主要ハブ空港のうちの一つで、現在のユナイテッド航空の機体カラーにもなっている、この塗装の飛行機で溢れかえっていました。

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地下鉄の乗り入れもあり、ダウンタウンへのアクセスも悪くないクリーブランド空港……
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そしてそのコンチネンタル航空ユナイテッド航空との合併を2010年に発表………
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2011年に完全合併を終えて以来、中西部のハブ空港は、シカゴ・オヘア空港にほとんどが集約されているようで、

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クリーブランドにおける運航便数は、縮小の一途……

 

そこにビジネスチャンスをデルタ航空が見つけたということなのでしょう。以前はクリーブランドからのデルタ航空の行き先はというと、デトロイトだったりミネアポリスだったりアトランタ、ニューヨークと、デルタの主要空港だけだったのが、ここ最近コネチカット州ハートフォードにボストンなどの東海岸の主要都市を結んだりと、我々の間では増える一方。

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日本でいうなら、仙台から札幌への運航に位置付けが近い、クリーブランドーボストン便。ビジネス需要はそこそこあるようで、76席あるリージョナルジェット機の座席は、ほぼ満席になっていました。到着時のボストン空港のターミナルも、人でいっぱい……

 

そんな中でも、めげずに来てしまいました……
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ボストンに来た以上、ここを外すわけにはいかない……
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裕坊、大のお気に入りのシーフード屋さん。レストランと販売コーナーが一緒になっているのですが、
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夕食の時間帯だったこともあって、かなりの人で賑わっていました。

 

本当はカニサンドイッチなども買いたかったのですが、そちらの方は既に売り切れ……そこで手にしたのがこちら……
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クラムチャウダー……

 

貝の身がこれでもか、といわんばかりに入っています。
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お値段は10ドル近くと、やや張るのですが、やっぱり外せない。昨日もたくさんの貝の身が入ったスープを美味しくいただきました。

 

以前ノースウエスト航空傘下のリージョナル部門での運航時代は、ボストンへの運航といえば、インディアナポリスからだけでしたので、20時間を超える長時間の宿泊滞在もあったのですが、最近はあちこちからボストンへの運航便があり、宿泊滞在は長くても13時間程度………

 

一度だけボストンのダウンタウンを訪れたことがあるのですが、それはもう10年も前……

 

美味しい海鮮物に……

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ボストンコモン……
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フリーダムトレイルを歩くと……
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このようにレンガが色分けされているので、迷うことなく歩くことができます。
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サミュエル・アダムスやジェイムス・オーティスなどの独立派の有力者が演説を行ったことで知られるファニュエルホール……
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あるいは旧マサチューセッツ議事堂など、歴史的な建造物も見学することができます。
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次、ボストンを訪れることができるのは、いつになるやろか……………

 

 

そのボストンへと向けて、2日目のフライトへ出発です。