Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、休養の1日、ちょっと昔を懐かしむ

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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中身の濃い6日間のフライトをこなして5連休に入った裕坊。幼少の頃、お正月3が日以外はほぼ毎日馬車馬のように薬局経営に奔走する父親の背中を見て育ったせいか、少しでもヒマがあると休日返上で取れそうな仕事を探してしまう裕坊。先月末には飛べそうなフライトを狙って乗務員配置課へと申請を出します。その度に返ってきたのは拒否の返事。

「仕事はさせてやりたいけどな、残念やけど、法律の規定を超えとるんや」

ウソやろ……………………ちゃんと計算して………………………………………あ、ホンマや…………………

アメリカの旅客航空業界における就業規定、総飛行時間と拘束時間に関する法律は連邦航空法第117条にしっかりと定められています。

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今月引っかかってしまったのが、この表には記載されていませんが28日以内に100時間の総飛行時間を超えてはいけないという規定。エンデバー航空では、出発後の地上待機などの不測の事態が入った場合を想定して、98時間を超えるスケジュールを組まないという決まりになっています。既に2日間のフライトをピックアップしていた時点でほぼ97時間。それ以上は……………まーしゃーない……………

先月末には有給を取って10日間ほどのお休みはいただきましたが、有給使わず5連休など取るのは久しぶり………………………ただおかげで駐在さんが企画しているゴルフの集まりには参加させていただけることになりました。

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朝は8時前に年度末の追い込みに忙しい愛妻ちゃんと、既に通常の授業が終わってしまって学校で何してるんや状態に入っている息子くんを見送ります。お天気いいし、ゴルフの練習に行きたい………………起き上がれん………………………芝生また目一杯伸びとるなー、そろそろ刈らんと……………………やっぱ起き上がれん………………………愛妻ちゃんは年度末の追い込みで忙しいし、台所に食器溜まっとるなー、食洗機回さんと……………………………

こちらはさすがに後回しにするわけにはいかず、お昼頃頑張って起き上がりました。しかし、本当に体力がなくなってしまった…………………………

薬局一家に育った裕坊。何の疑いもなく薬学部のある大学へと進学。現在は6年制になった薬学部ですが、裕坊が通った当時の薬学部といえば4年制。裕坊の通った大学には薬学部内に2つの学科(薬学科、製薬化学科)があり、そのうち製薬化学科は男子のみ。中学高校と6年間男子校へと通って女性の教室内の存在に飢えに飢えていた裕坊。入学願書に記載されていた希望欄にはハッキリと薬学科希望を明示。その願書には「もし薬学科に入れなかった場合、製薬化学科への入学を希望しますか」の項目がありますが、そこにもハッキリと「希望しません」。

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卒業後は製薬会社に入社して九州北部を担当。ちょうどバブル崩壊直後だったこともあり、各製薬会社の営業部門は裕坊と同年代の入社したての社員で溢れています。同年代の若者同士が集まり、とにかくあの当時はよく遊びました。同業他社の営業マン、お得意先の薬局店員、卸売業者の担当者などで集まってはスキーにゴルフに遊園地、九州内でも高千穂、霧島、阿蘇、宮崎などを回ったものです。

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スキーに行くときは大抵金曜日の夕方ごろ集まり、数台の車に分かれて出発。目指すは広島県北にあるスキー場。

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深夜2時や3時といった時間に到着。同じように夜の間に着いていた車の列に混じり、皆車内泊。5時くらいになると起き上がってスキーを1日楽しみ、その日は近くの民宿に泊まって次の日はお昼過ぎの3時ごろまでスキーを楽しみ、また数時間をかけて九州まで戻るという大行脚。今そんなことしようものなら………………………裕坊、絶対卒倒……………………………1泊2日のシカゴまでの車の旅行ですら帰りはたびたび休憩を取る裕坊。2泊3日の強行スキーなんて、今じゃ絶対ありえん…………………………

ほぼ四半世紀昔の思い出です。ちったー、体力つけなあかんな………ということで、今晩はビタミンたっぷりの豚肉、大きな塊をオーブンでしっかり焼いて、これから夕食をいただきます。

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裕坊

裕坊、フライト6日目、帰宅の日

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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今回の裕坊の正規の4日間のフライト、非常に中身が濃くて夜も遅かったのでちょっと疲れました。よくここまで乗り切った…………………………

昨夜はニューヨーク州のサラキュースへとやってきて宿泊滞在。今日はお昼過ぎまでゆっくりして、まずはニューヨークのラガーディア空港へとお客さんになって向かいます。6日間続いたフライトの6日目、直接の担当便は2本だけ。ピッツバーグを経由して目指すは愛妻ちゃんと息子くんの待つデトロイト

その息子くん、今週の金曜日で1年間の学校終了。2ヶ月半にも及ぶ夏休みへと入ります。アメリカの通常の公立校では夏休みにはまず宿題は出されません。日本の学校から夏休みの友でも譲ってもらって、それでもやらせようか………………………でも中学に上がると、もうないんやったっけ?…………………………

最近の息子くんのマイブームは、お友だちとのオンラインゲーム。学校の友だち仲間でも際立って腕が立つらしく、電話でお話ししながらお友だちにゲームの手解き。地球儀でここ何処、とマイアミ辺りを指すとフランス?と仰天ものの答えを返す息子くんも、任天堂のスイッチになると学校内の王者。スプラトゥーンというゲームになると、右に出る者はいないのだそうです。教えもしないのに、この手の情報は自ら詳細に至るまで仕入れてくる能力を持つ息子くん………………………まー将来にこれが生きてくれば何もいうことないけどなー…………………………

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裕坊の勤めるリージョナルの航空会社は大小様々な都市、空港へと就航します。我がエンデバー航空で現在離発着がある空港は150ほど。ですから宿泊するホテルや立地なども本当に様々。昨日から宿泊していたここニューヨーク州のサラキュースのホテルは、その中でもかなりユニークでした。丸い形をしたタワー型のホテル。朝は8時ごろまでグッスリ。

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窓を開けるとこんな景色が目に入ります。

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16階に宿泊していたので、景色はマズマズ。お昼過ぎに部屋を後にすると、すぐ目の前にはエレベーター。これがちょっと変わっています。見た目には何の変哲も無い普通のエレベーター。

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ところが普通ならドアの横にある上下のボタンがここにはありません。代わりにあるのは、自分が行きたい到着階を予約する機械。予約階を押すと3基あるエレベーターのうちの一つがお迎え。どこの階に行きたいかを押してくれ、とあります。

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大抵宿泊部屋がある上の階からだと向かうのはロビー階。それを押すとエレベーターCに乗ってくれ、だそうです。

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30秒ほど待つとエレベーターがお迎え。

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エレベーターに乗ると、到着階のボタンはなし。あるのは開閉ボタンと緊急時の呼び出しボタンくらい。

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右側に何かあるかと思われるかも知れませんが、タネも仕掛けもございません。

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んで、予約した通り、ちゃんとロビー階まで降ろしてくれます。

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ロビー階で降りてみると、その乗り口も同じように、ちょっと大きめのスクリーンが設置されてました。

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今日はお昼過ぎまでゆっくりして、こんなシャトルに乗り込んで空港まで。

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空港到着後は工事が忙しいターミナルの中に入り込んで、

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かつてよく飛んでいた50人乗りのCRJにお客さんとして座ってニューヨークまで。

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ラガーディア空港で6日間頑張った自分へのご褒美。

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ここのロブスターサンドイッチ、いつ食べてもめちゃウマ。これからピッツバーグ経由でデトロイトへと帰ります。明日からはなんと、5連休……………………………………有給のときは10日ほどお休みをいただきましたが、普段こんなに休むのは久しぶり……………

日曜日はゴルフにお誘いいただいていますので、練習ひたすら頑張ります。

 

裕坊

裕坊、あと2日。

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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2018年6月12日、アメリカの現役大統領ドナルド・トランプ氏と北朝鮮の最高指導者・金正恩氏との首脳会談。米朝による直接対話が実現。歴史に刻まれる1日になりましたね。

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実業家出身の異例の経歴で大統領就任を果たしたトランプさん、結果を貪欲に求めるその姿勢がやはり政治家上がりの政治家とは違っています。先月の末には(よりにもよって裕坊の49回目の誕生日に)米朝首脳会談の見送りを一旦は発表。その強気の姿勢に世界が度肝を抜かれたのは記憶に新しいお話。

会談に当たっては「我々は北朝鮮が非核化するまで最大限の圧力を掛けていく」と決意表明。「前にも言ったように、非核化を完璧に、検証可能かつ不可逆な形で達成すれば、北朝鮮には明るい道筋が待っている。北朝鮮にとっても世界にとっても、素晴らしい日となるだろう」

そして丸一日を費やした会談の後の共同声明。取りあえず非核化は盛り込まれました。それが出来なければ経済制裁もやめんぞ、はさすが実業家出身のトランプ氏。元々アプレンティスというバラエティ番組で、全米で流行語にまでなった「おまえ、クビ(You are fired!)」のフレーズはトランプさんの隠すことのない本心の表れ。ただ非核化費用は日韓で負担しなさい、だそうです。仰天ものの発想、ここでもトランプワールド全開でした。

そのトランプさんがアメリカ大統領選中に掲げていた選挙公約の中に、アメリカ第一主義というのがありました。トランプさん的には「自らの産業を犠牲にして他国の産業を豊かにすることに貢献し、他国を守るために、自らの軍隊を犠牲にしてきた」のだそうです。1番新しいところでは、鉄鋼やアルミに対しての関税。

同じように航空機製造業にも影響がある関税が課されていました。昨年の9月に発表になったカナダのボンバルディア社製造の最新型旅客機・Cシリーズに対して220%という天文学的な数字の関税を課すというもの。ボンバルディア社といえば、裕坊が今乗っているCRJシリーズの製造メーカー。CRJとはカナディアンリージョナルジェットの略で、元々は小型のジェット機を中心に作っていたモントリオールに本社を置く小さな航空機メーカーでした。ボンバルディア社の代表的なビジネスジェットといえばチャレンジャー。

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そのビジネスジェット機の派生型で、飛行機のボディを延長し、50席の座席を詰め込んだのが初期型CRJ。ここから短中距離用、小型旅客機のビジネスが本格的に始まります。これをさらに伸ばして76席の座席を確保したのがCRJ−900型機。裕坊が今担当している機体。

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ボンバルディア社、さらなるビジネスの機会を逃そうとはしませんでした。中型・大型旅客機の市場はエアバス社とボーイング社の2社がほぼ独占。しかし100人乗りの市場をボンバルディア社は決して見逃しませんでした。そこで開発されたのが今までの小型機と中型機の中間に位置する100人乗りの旅客機、Cシリーズ。全て新しく設計された機体、開発から市場に出るまで15年を要したボンバルディア社の力作、アメリカではデルタ航空が75機を発注しています。

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それが気に入らなかったのがボーイング社。黙って見過ごしてはいませんでした。アメリカ第一主義を掲げるトランプ氏に、カナダ政府からボンバルディア社が不当に補助金を受け取っているとロビー活動。昨年9月になってCシリーズ型旅客機に対して220%という前代未聞の率の関税がかかることが、トランプ大統領の一存で決まります。75機のCシリーズ型旅客機を発注していたデルタ航空は懸念を表明。2018年には始まるはずだった新型旅客機の稼働の予定を遅らさざるを得なくなることに。

ボンバルディア社も負けてはいませんでした。既に2015年にアラバマ州モービルという小さな町で、北米市場用の工場で中型機エアバス320型機を中心とした旅客機製造を本格化させていたエアバス社に働きかけます。

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エアバスブランドとしてCシリーズをアラバマ工場で生産し、アメリカで売ってみるのはどうか、と。有り得ない程に高い関税を回避するための苦肉の策ではありましたが、背に腹は変えられなかったのでしょう。ビジネスチャンスを自らも目論むエアバス社もその合弁の機会に乗り、今年7月1日に正式な合意を以って、2020年以降の納入を見据えたCシリーズ型旅客機のアラバマ工場における生産に踏み切ることになりました。

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皮肉だったのはアメリカの航空機製造業を保護しようとしたトランプ政権。かつてほぼボーイング社とマクドナルダグラス社がかなりのシェアを占めていた大手航空会社向け航空機市場。デルタ航空ボーイング社の関係を微妙なものにする皮肉な結果になってしまいました。

既にデルタ航空では今後の大型機の発注をエアバス社製にシフトする方向に入っていて、実際にドリームライナーと呼ばれたボーイング787型機の発注を中型機であるボーイング737型機に切り替え。デルタ航空との契約における国際線用大型機機材の新規発注はエアバス社が独占する皮肉な結果を生み出しています。(最新型エアバス330型機25機、エアバス350型機25機を既に確定発注、うち10機のエアバス350型機は納入済み)

残念ながら、少なくとも航空機製造業市場においては、トランプさんの目指すアメリカ第一主義は必ずしも成功したとは言えないようです。

ただ歴史的な米朝首脳会談に名を刻んだトランプ氏。評価はかなり割れているようですが、少なくとも北朝鮮の非核化への一歩を踏み出したのは事実。課題は山積ですが、一定の評価は与えていいのではないか、に一票です。

 

裕坊

裕坊、航空機関士と今回は4日間の旅に出ます。

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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今日から元々入っていた4日間のフライトへとお出かけ。霧雨の中を空港までやってきて30分ほど車の中で心の準備。

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昨日と一昨日、一緒に飛んだ副操縦士は2人とも若いパイロット。経歴も裕坊にとても近く、一通りのライセンスを取得したあとは2人ともフライトスクールで飛行教官をしていたそうです。飛行教官ならではの、こんなことあんなことあったよね、の話に花が咲きます。まだ先が長いその若いパイロットたちが見据えるのは当然のことながら、デルタやユナイテッドなどの大手の航空会社。いずれは大型国際線機材にきっと乗務していることでしょう。

そして今日から4日間は裕坊の正規のスケジュール。入社してちょうど1年になるというのトーマス氏が今日からの4日間の裕坊の相棒、副操縦士。いろいろ話を聞いていると、裕坊の5歳年上のトーマス氏、前立腺がんの治療をやっている真っ最中とかで、その治療を先々週受けてきたばかりだと言っていました。他人事じゃないし……………裕坊もいっぺんガン検診受けた方がいいやろか……………………………

聞くと長らくミネソタ州のとあるチャーター中心の航空会社の航空機関士として飛んでいたのだそうです。30年ほど前の旅客機といえば操縦席では3名体制による運航が中心。機長、副操縦士に加えて航空機関士と呼ばれる各機械の系統を監視し、必要に応じて調整をするという、横を向きながら飛ぶ機械専門の管理役。こんな機械やメーターと常ににらめっこしながら、飛行機の安全運航の重要な役割を担っていたのです。

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今から30年前、40年前の旅客機であれば、ほぼ例外なくどの機体にも航空機関士は乗務していました。トーマス氏が勤めていたという会社での使用機材はボーイング727全日空でも採用されていた機体なので、以前は日本でもよく見かけていたものです。

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旅客機の世界でも機械化、特にコンピューターによる監視装置の採用が進み、燃料系統、油圧系統、与圧系統といった航空機関士が専門としていた領域の自動化が進みます。象徴的なところでは、アメリカの航空会社がこぞって採用していたマクドネルダグラスのDC−10。主翼の下に2つ、さらには垂直尾翼の下にもう一つのエンジンを積んだ3発機。この機体もやがては自動化の波が訪れて、ほとんど同じ外観でありながら全く中身が一新されたMD−11という新型の機体へと置き換えが進みます。

こちらは丸いメーターをたくさん積んだ旧式のDC−10の操縦席。

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そして自動化が進んだMD−11の操縦席がこちら。大きなスクリーンに計器類がまとめられ、今まで航空機関士に委ねられていた機械系統もほとんどが自動化され、それをモニターする計器類がスクリーン内にまとめられることになります。

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航空機関士の活躍する場面は次第に減ることになり、旅客機の操縦席は2名体制へと移行が進んでいきます。多くの会社では航空機関士パイロットへと再養成したり、他の部門へと転身させるなど航空機関士の数を減らしていきます。

トーマス氏の勤めていた会社では、一貫して航空機関士を必要とするB727を使用機材としていたそうですが、最新の機材と比べるとエンジン騒音が大きく、その騒音の大きいエンジンを3基搭載、さらにはメカニズムが古くて燃費効率がとても悪い機体だったこともあり、その活躍の場を減らすことになります。チャータービジネスを大手航空会社へと奪われることになったトーマス氏所属の会社はやがてはビジネスの機会を失うことになり、2008年5月31日をもって会社が閉鎖され、航空機関士としての職を失うことになったのだそうです。

その後チャーターを中心とする会社をコネを使いながら転々とし、最近になって取得したというパイロットのライセンスを片手に旅客航空会社にパイロットとして戻ってきたのが昨年6月だったのだそうです。長らく機械を扱う仕事を専門にしているだけあって、さすがに機械の知識にはかなり長けていました。ミシガン生まれのミシガン育ちのトーマス氏。航空機関士時代の話になると懐かしそうにしている目がとても印象的でした。

今日は3本のフライトを担当してニューヨーク州のサラキュースで宿泊滞在。明日は4本のフライトを担当。お昼前から飛び始めて夜の10時過ぎまでビッシリのスケジュール。

そろそろ横になります。

 

裕坊

裕坊、休日出勤2日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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野球シーズンの野球の結果が気になって仕方がない裕坊。今シーズン30球団でもダントツの勝率を誇るレッドソックスを相手に7対2の快勝劇を演じた我がデトロイト・タイガースはインディアンスに力負け。まー再建真っ最中やし、しゃーない………………それよりエンゼルスの大谷くん。右肘靭帯損傷で故障者リスト入り…………………………………

こちらでも結構名前が知られていた大谷選手、やはり滑るボールの影響があったのでしょうか。少し心配………………靭帯損傷といえばヤンキースマー君こと田中将大投手も同じようなケガをしていました。

大リーグの場合ベンチ入りできる選手の数は25人。日本のプロ野球の28人と比較しても3人少なく、先発投手は日本の中6日登板と比較して休みが2日少なく負担が大きい、中4日登板。選手名鑑を見ていると、いつも誰かが怪我をしている印象。1チームあたり年間162試合もあるのですし、せめてベンチ入りを30人くらいに増やせないものか、と思ってしまいます。大谷選手はまだまだこれからがありますし、是非完治した上で戻ってきてほしいですね。

昨夜、ブログを上げたあとバタバタとシャワーに入り、11時過ぎにはベッドにゴロン。5時過ぎに目を覚まして今日は久しぶりの卵かけご飯。眠い時はこれが本当に1番手っ取り早い………………愛妻ちゃんはまだベッドでグッスリ熟睡中……………愛妻ちゃんは金曜日は長い1日を過ごして大抵疲れて帰ってくるので、早朝5時に起こすわけにもいかず、こっそり着替えを済ませて家を出ます。眠いなー…………………

有料道路がないミシガン州の高速道路。どこも生活道路の一部になっていていつ通っても交通量が多いフリーウェイと呼ばれる高速道路も今朝はまだガラガラ。7時前には従業員駐車場に着いて専用シャトルでターミナルへと向かうのですが、何で今朝はこんなにクルーが多いねん??…………………………

クルー専用のセキュリティーを通って、昨日と同じくBコンコースからの出発。地下トンネルへと降りていきます。

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このトンネルには音楽もかかっていて、それに合わせるかのように色合いも変わり、

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旅人の心を癒してくれます………………きっと……………………

赤色で示した西側のターミナルにあるゲートから、離陸滑走路である空港の東端に位置する滑走路3R(青い線)へと向かいます。普段は土曜日ともなると便数が減り、特に午後になると空港から人影が見えなくなるくらい便数もがく然と減るのですが、朝8時ごろには出発便でごった返し、離陸滑走路へと向かう誘導路(緑色の線)は飛行機で渋滞。写真には撮れませんでしたが、今日もかなりの数の飛行機でごった返していました。

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30分ほどかかってやっとのことで離陸滑走路へとたどり着きましたが、そのあとは今日は全てが順調でした。往路便の目的地であるコネチカット州ハートフォードには定時到着。お昼がわりに何食べようかなー、とフードコートを探していて目に入ったのがこちら。

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見た目の通りエビ付きを頼めばいいのに、なぜかビーフ付きを頼んでしまって、出てきたのがこんな感じのお料理。

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お味の方はというと………………………ボリュームはあってお腹はそこそこ一杯になるものの、ちょっとビミョーかなー。ここハートフォードでゆっくりと食事を取る機会はあまりないのですが、今度機会があるときはエビ付きを試してみます。

ハートフォードで2時間待った上でデトロイトへととんぼ帰り。お客さんとして乗ったのですが、乗ってきたのは同じ機体。ファーストクラスへとアップグレードされたのはいいのですが、座席に落ち着いた瞬間からほとんど熟睡状態、気づいた時にはほとんど着陸態勢へと入っていました。

明日から元々のスケジュールの4日間のフライト。取りあえず一家の大黒柱である裕坊。明日も頑張ります。

 

裕坊

裕坊、休日返上出勤1日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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昨日ビックリするような金額の医療費請求書を受け取って、やっぱりチャンスがあるときは仕事せなあかんわ、の思いを強くした裕坊。今日と明日と休日を返上してのフライトへと出かけます。今日担当するのはウィスコンシン州の州都マディソン往復便。んで、空港までやってきてみると、ほぼ1時間の遅れ…………………他は定時運行なのに、なんで裕坊のフライトだけ???…………………………

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ちなみに裕坊担当の5450便、黄色で囲っています。出発ゲートはA15…………………………となっていますよね。間違いなくA15………………………のはず………………………

家に帰る頃にはお腹も空くかも知れんなー、となぜか変な予感がして、こんなもん買ってみました。何の変哲もないコーンサラダ。でも味付けがよく食は進みます。結果的にこれ買っといて正解……………………………

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定時出発1時45分のところ、新しい出発時刻は2時35分。50分遅れの発表。んで飛行機が2時過ぎに入ってきます。急いでクルー交代。パイロット2人、客室乗務員2人が交代して急いで出発の準備を始めます。副操縦士のブライアンくんは新人ですが、客室乗務員は2人ともこの道10年以上の超ベテラン。遅延時の扱いも慣れたもの。5分とかからず非常用設備の点検を済ませ、ファーストクラス用の乗客の皆さんをお迎えするのにコーヒーまで沸かしてしまう手際のよさ。やっぱすげ〜な〜〜。

乗客をゲートでお迎えしていたゲート係員、血相を変えて飛行機へと姿を現します。

「システムの画面が急に変わって、乗客の数の確認ができんのやけど」

んなもん、単純に通路歩いて数えてったらえーがな、何でそんなこと聞くの?…………………………………あ、ホンマや…………………………

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ボードをよく見ると、この飛行機、ピッツバーグ行き5101便…………………いつの間に変わってんの?

デルタのモバイルアプリを開けてみます。そこで出てきたのが1番上の画面。んでよく見ると裕坊たちの出発ゲート、いつの間にかB19へと変更になっていました。

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運航課の担当者に慌てて電話を入れます。

裕坊:もう搭乗も終わって、既に出発の準備は全部整ってんだけど、この飛行機で何とかマディソンまで行けないかなー?

運航課:ゴメンな。夜間整備の関係があって、既にだいぶ前に機材変更は入ってたんだよ。もう既に乗客の荷物は新しいゲートに止まってる飛行機の中に積まれてるから、そこまで行ってな………………………………

ウソやろ〜〜〜???しかも新しいゲートB19…………………………めちゃ遠いやん……………………

乗客の皆さまにはお詫びを言った上で、次のゲートへと全員で民族大移動。車椅子での移動が必要なお客様も3人いらっしゃるので、車椅子担当者の到着も待たないといけません。既に他の乗客の皆さまが降りられたあと、客室乗務員とともに車椅子が到着するのを待ちます。

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車椅子の乗客の皆さまを送り出し、裕坊たちも自らの荷物をまとめて、まずは空港内を走るトラムに飛び乗り、

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一つ目の停留所で降りて、B,Cコンコースへと繋がる地下トンネルへと副操縦士のブライアンくんとともにエスカレーターで降りていきます。

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んで、こちらがデトロイト名物のB,Cコンコース行きへ繋がるトンネル。音楽とともに色彩が色とりどりに変わっていくのが売り。

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急いでトンネルを駆け上がり、

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ゲート階まで来て、

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さらに1番奥にあるゲートB19まで。やっとのことで到着しました。

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さっきまで乗っていた飛行機の登録番号N923XJ。んで運航課が要望して来た飛行機はN915XJ。間違いがないかどうかを確認します。うん、間違いない……………

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結果的に今日は2時間40分遅れて出発。往復便を担当して5時前にはデトロイトに戻ってくるはずが、結局帰ってきたの7時半。

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本当なら家族揃って学年度末の週末を祝って、ステーキでも焼こうかと思っていたのに、それはまた明日に延期じゃ…………息子くんよ、ガマンしてね……………

明日は朝8時20分発のフライトを担当。逆算すると遅くても朝6時半には我が家を出発。そうすると遅くても5時には起きなあかん。んで時計を見ると、もう10時半や〜〜ん……

急いでシャワーに入ってきます。

 

裕坊

 

 

 

 

 

 

 

裕坊、医療費請求金額に仰天…

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

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明日から怒涛の6日連続のフライト、1日しかないお休みを利用して頑張ります。裕坊のルーティン、お休みの日の芝刈り。芝が育つのに絶好のこの時期、最低でも1週間に一度は刈らないと、花が咲き出して取り返しがつかないことに………先週はあまりに伸びすぎてて、芝刈り機が完全に負けてました………

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庭がスッキリとなったところで、今日は愛妻ちゃんがお世話になっていた医療費の請求を小切手で送付します。日本でもすっかり見ることが多くなったアメリカ式の郵便受け。こんな風に旗を立てておくと、郵便屋さんが配達をするときにこちらの郵便を拾ってくれます。

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中を開けてみると、既に今日は配達があったようで、いくつかの封筒が入っていて、そのうちの一つは先日我が息子くんが便秘でお世話になった時の救急病院からの医療費の請求だったのですが…その請求金額を見てア然……………………………ほぼ2,000ドル…………………日本円に換算すると20万円ってこと?…………………

アメリカの医療費が異常に高いというのは日本でもよく知られた話。収入の少ない人になると保険に加入すらできず、医療も受けることができないという有様。救急車を利用しただけで数百ドルの請求書が送られてくるお国柄。癌治療などを受けた日には全財産を取られるほどの請求書が送られてきます。医療費が原因で自己破産するのはアメリカではよくある話。日本のように気軽にお医者さんにかかることはできません。今回の請求はなんとか貯金を切り崩しさえすれば払えなくはない金額……………でもさすがにそれ以上ともなると……………………………

アメリカでは前大統領のオバマさんがデンマークの医療制度を材料の一つとして、国民皆保険を導入しようと試みました。がしかし共和党の大反対に会い、徹底的に骨抜きにされたオバマケアと呼ばれた医療保険制度改革は、全く中身のないものになってしまいました。民間医療保険の存在感があまりにも大きすぎるアメリカ。オバマさんが目指したデンマークを初めとする北欧のような医療福祉制度の実現は、ここアメリカでは遠い夢物語かも知れません。

今から10年ほど前、日本で産声を上げた息子くんを連れてきたのは、息子くんが1歳半のとき。長時間のフライトで悲鳴をあげた耳には中耳炎が発生していました。フロリダでまだ飛行教官をやっていた当時の裕坊のかかりつけのお医者さんに診てもらうと、救急病院へ連れて行くよう言われます。

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こちらではEmergency Roomの頭文字を取ってERと呼ばれる救急病院。アメリカには通常の医療保険に入ることができない低所得者向けのメディケイドという数少ない中の一つの公的医療保険があります。そのメディケイドが適用される救急医療病院に我が息子くんを連れて行くと、映画の中でしか見たことがなかったような光景が繰り広げられていました。

患者の数に対して医療従事者の絶対数が少なく、皆一様に長時間待たされます。写真のような最新の設備ではなく、フロリダ州オーランドのダウンタウンの中にある病院は施設も古く、中の照明も暗い映画のワンシーンそのもの。痛みに苦しみ、呻く人で待合室は溢れ返り、座る場所を見つけるのですら一苦労………………………一体ここはどこなんや?野戦病院なのか?…………………………

裕坊も耳が痛そうにしている息子くんを抱えたまま3時間ほど待たされました。いざ診療が始まると、医師が入れ替わり立ち替わり、1人の医師が診てはまた1時間ほど待たされることになり、やっとのことで治療を終えて、お昼下がりに訪れた救急病院をあとにするころには外は完全に真っ暗になっていました。

まだ一家を支えることすら出来ない、雀の涙ほどのお給料だった裕坊。それでも何度も支払い催促の手紙が受け取ること数年、ミシガン州に引っ越してからですら請求書が裕坊一家を追いかけてきました。低所得者であることを証明して、最終的に医療費は免除になりましたが、その手続きですら3年を要したのを昨日のことのように思い出します。

裕坊が訪れてみたい国の一つに幸福の国、ブータンがあります。最近ではそのブータンでも近代化が進み、残念ながら物価高や若者の失業、地域格差の問題などが山積しているようですが、それでも国民の幸福度ランキングでは北欧の国に肩を並べて上位に食い込んでくるヒマラヤ山脈の東端に位置する高山国家。ここもデンマーク同様、医療費は基本的には無料。現国王であるジグミ・ケサル・ワンチュク氏は2008年の国王即位のときにこう述べたそうです。

「私(国王)は世界の支配者のようにではなく、国民の兄弟のように、また親のように、また息子のようになりたいのである」

残念ながら実業家出身であるトランプさんには響かない言葉かも知れません…………最貧国と呼ばれるブータンですら医療費無料を実現しているのですから、アメリカで実現できないはずはないのですが…………………………

 

裕坊