Yuichibow’s diary

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊、2日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

春はあけぼの………………………………のはず…………………

やうやう白く成り行く………………………………全然太陽が昇ってくる様子ねーし………………………

今朝は久々の3時起き。窓の外を開けても目に入ってくるのは街灯だけ。しかも気温がちょっと下がって、窓に夜露がビッシリとついていて、外の景色すら見えず。早朝の出発の時は用意するまでに2時間たっぷりかかってしまう裕坊、チョコクロワッサンとコーヒーの組み合わせで何とか無理やり起き上がります。これからほぼ2週間に渡って、ずっとこのパターン。来週は2時台起き、あぁー、考えたくもない………………………

本来4日間のフライトでしたが、代休をもらえたおかげで実質2日間に短縮。ご褒美といえばご褒美。この時期は風が強い時は風速20メートルを超える日があるなど、激しい時は激しい天気に晒されるのですが、今朝は比較的な穏やかな東海岸。今日の朝一番のケネディ行きのフライト、窓の外にはこんな感じの景色が見えていました。

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もやがかかっていて地上はほとんど見えません。ただこんな感じで地上が霞んでいるというのは実は大気が安定している証拠。大抵こんなときはお天気がいいです。乗り心地もとても良好でした。

今日と明日、裕坊とペアになる副操縦士のエリック氏、裕坊と同世代のパイロット。長らく他のリージョナル航空会社に勤めていたらしいのですが、しばらく旅客航空業界を離れてある会社のパイロットとして勤めていたそうです。会社の重役クラスの機動力を保つために自社機を所有しているところはアメリカでは普通。そこで社長や役員クラスを乗せてあちこちを飛んでいたようです。

そのエリック氏、最近になってこちらのLCCを代表するスピリット航空に就職が決まったらしく、スピリット航空が保有するエアバスA320の飛行機の仕組みに関する勉強も始めています。

景気がいいときは各航空会社とも積極的に人材を採用。本当にアメリカの景気がいいのかどうかについてはいろいろ議論もあるようですが、各航空会社ともかなりの利益を出していますので、航空会社にとってはビジネス拡大。新しい機材を積極的に購入したり、新しい路線を開設したり。それに伴って当然パイロットの数も必要になりますから、次々に新規の人材の雇用を進めます。

旅客航空業界は大きく分けると、デルタ航空ユナイテッド航空など、大型機材を使った国際線をも持つ昔からある大手航空会社、日本でも最近地位を築きつつあるLCC、アメリカだとサウスウエスト航空やジェットブルー、そして裕坊が勤めているリージョナル航空会社の3層に分かれます。

リージョナル航空会社は大手やLCCなどと比べると条件は劣り、労働条件も悪くなる傾向にあるので、リージョナル航空会社に勤めるパイロットは旅客航空の業界での経験を積むための踏み台にして、次のステップアップの機会を狙う連中がほとんど。今回、裕坊の副操縦士として飛んでいるエリック氏もその1人です。

エリック氏が採用されたというスピリット航空、パイロットの大量採用を進めるために、最近になってパイロット組合との間で大幅な昇給を含むパイロット契約を更新しました。頑張って10数年勤め上げた後の機長の基本給、なんと我が社の倍!やっぱり考えちゃいます。

裕坊も今の会社に入社してはや12年目。配属先がニューヨークになってみたり、破産法下に置かれて減給を経験したり、それでも何とかここの会社でのらりくらりと過ごしてきましたが、もうそろそろ次の機会を本気で考えるときかも知れません。

今日はまずニューヨークのケネディ空港へと到着。普段は第4ターミナルの南端にあるゲートへと到着するのですが、今日は久しぶりに第2ターミナルへの到着でした。空港開港当時からあるような古いターミナルですので、第4ターミナルと比べるとかなり年季も入っています。

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そこから連絡バスで第4ターミナルへと移動。こんな景色を見ながら移動して、

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今はクルーラウンジでちょっとのんびり。

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まさに男の部屋そのものです。

もうしばらくここで待機した後、お昼過ぎにバーモント州バーリントンへと出発です。

 

裕坊

 

裕坊、3日間のフライトに出発

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

バタバタと嵐のようにお出かけしていった愛妻ちゃんと息子くんを見送ったあと、お昼前に我が家を出発して3日間のフライトを始める裕坊。昨日は代休を1日もらって、明日から本来の担当便へと復帰。今日は宿泊先への移動だけ。乗客の皆さんと一緒に客席に座って、アトランタ経由でフロリダ州のジャクソンビルへと向かいます。

明日からはいよいよ5月。日本はほとんどの地域でとっくに桜など終わっているというのに、こちらには似たような花であるリンゴの木には未だつぼみすらついていません。お昼過ぎになってやっと20度近くまで気温も上がり暖かくなってきた今日も、朝はなんと気温摂氏0度…………………冬やん………………………

我が家を出発すると、高速道路に乗ること10分ほど。高速道路といってもミシガン州に住む住民にはほとんど生活道路。合計でも我が家から空港までは25分ほどの距離。ミシガン州には有料道路はどこにも存在しないので、高速道路といえども道路は全てタダ。その分高速道路といえども生活道路になっているので、一度工事が始まり出すとあちこちで渋滞が起こります…………冬は雪に備えて早めに家を出発。夏の間は工事渋滞に備えて、家を早めに出発…………………………………

デトロイト空港のやや南側にある従業員専用の駐車場へと車を止め、これまた従業員専用の送迎シャトルに乗り込んでターミナルまで向かいます。本当はバスの写真でもお見せしたいのですが、息子くんにしっかりと受け継がれている『元祖いつもギリギリに用意するDNA』の持ち主である裕坊、今日もギリギリでした。いつになったら写真撮るねん、と1人ツッコミを入れています。

各航空会社とも運航の都合によりクルーが所属、帰属する空港は大抵複数ありますが、裕坊が勤めるリージョナル航空会社の配属先はニューヨーク(ラガーディア空港とケネディ空港とを両方掛け持ち)、本社があるミネアポリス、世界一の多忙空港アトランタ、そして裕坊の所属するデトロイト。航空会社のクルーの間では当たり前の『州外への飛行機を使った通勤』をしなくていいので、通勤はラクになりました。

人口が70万人弱のデトロイト。日本では中堅都市規模。最盛期には200万近くにまで人口も増えたのだそうです。未だに人口の減少は続いていて、2000年に70万人いた人口は2012年には遂に70万人を割り込んだそうです。乗り換えの乗客でひしめくデトロイト空港のターミナル。お昼頃は閑散としています。今日お昼過ぎに空港に来たときのターミナルの中はこんな感じ。

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窓の外に目をやっても、今日はずいぶんとゆったりとしていました。

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2時間半ほどのフライトでアトランタまでやってきます。世界で一番乗客の行き来と飛行機の離発着が多いアトランタ空港は、普段でもターミナル内はこんな感じ。

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ここは本当にいつ来ても人の往来が激しいです。

今朝はゆっくりと出来た裕坊ですが、今晩は一旦目的地のジャクソンビルに到着すると、ホテルでの宿泊滞在は法律で定められた必要最小限の10時間。その時間には空港からホテルまでの送迎シャトルに乗る時間やホテルでのチェックイン、明日の空港でのセキュリティーの時間なども含まれます。明日の定時出発時刻は6時8分。空港でのショーアップ5時23分…………………………

遂にまたやってきてしまった、早朝ショーアップ。バタバタの笑撃、珍道中の始まりです。また明日早朝の実況中継を乞うご期待ください。

 

裕坊

 

裕坊、3連休3日目

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

今日は3連休3日目。2週連続での週末のお休みをゆっくりと寛ぐ裕坊。実は今日は本来なら4日間のフライトへと出発するはずだったのですが、今月初めの4日間のフライトでクリーブランドで足止めされて1日お休みが削られてしまい、今日はその代休。結果的に家族とともに一緒に過ごせる2週連続のお休みとなりました。

夜寝る直前になるまで宿題を終わらせる気が全くない息子くん、まさに裕坊のDNAを受け継いでいます。その息子くんに無理やり着替えをさせて、春になると始まる屋外サッカーへ。今日は車を走らせること30分。我が家からちょっと東のフィールドへと向かいました。昨日とは打って変わって快晴でちょっとヒンヤリのサッカー日和。

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のどかな光景が広がります。但し子供たちは既に大人体型でフィールドもフル規格。本格的な練習をさせさえすれば、けっこうな試合ができるだけの身体能力は既に備えています。今日は相手チームのスピードに圧倒される形になり、0対4。無抵抗のままの惨敗……………………

サッカーはスピードやフォーメーションもさることながら、足でのボールさばきがものをいうスポーツ。ゴールには迫ってもシュートが入らなければ得点にはなりません。サッカーも難しいスポーツです。

外の気温は15度。簡易の椅子に座ってのんびり観戦を決めていた裕坊。外が快晴とあって油断していました。一枚羽織れるものこそ準備してきたものの、下は今日も半袖。座ってみるとブルブル。今日も風が強く、寒さが身にしみました。よく考えてみると、この時期ちょうどいいジャケット持ってなかったよなー、と帰り際には家族3人でお買い物。

昨日のゴルフの時にもウィンドブレーカーになりそうなものがなく、こんなのを一枚思い切って奮発して買ってみました。

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本当は薄手のダウンジャケットなどが欲しかったのですが、今日立ち寄ったお店では既に在庫なし。普通の年であればこの時期はセーター一枚でも何とか凌げるのですが、今年は本当に春の訪れが遅いです。りんごの花も咲き始めるのは、来週あたりになるでしょうか。

ちなみに我が家の芝の手入れも本格的に始めるのはこれから。春になると芝生も一気に伸び始めます。綺麗な緑色のフサフサの芝生を育てるためには、今の時期が結構肝心なのだそうです。我が家は住宅が密集した団地の中に家があるので、庭自体はそれほど大きくありませんが、それでも初夏になると蛍が充分舞うくらいの広さはあるので、手入れはしておかなくてはいけません。

既に場所によってはフサフサになっているところもあり。

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でも庭のほとんどはこんな感じでまだらになっています。

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種蒔きをして栄養剤も蒔き、水やりもしてと農作物を育てている農家の皆さん方と同じようなプロセスで芝生の手入れ。来週には夏日のように暖かくなるという予報が出ているデトロイト地方。春の訪れ、ようやくです。

明日からは3日間のフライトへと出発する裕坊。今日は代休をとっていて本来の担当便からは遠く離れているため、明日は裕坊の予定担当便には乗れず、デッドヘッドによる移動だけ。お客さんとともに客席に座ってアトランタ経由でフロリダ州のジャクソンビルへと向かい、火曜日から2日間にかけて裕坊の本来担当するはずだったフライトへと復帰です。これから2週間、裕坊の大の苦手な超早朝パターン。寝覚めの武器、チョコクロワッサンを買い込んで出発します。

 

裕坊

 

裕坊、またゴルフ

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

ここ2週間ずっとあちこちを走り回ってさすがにちょっと疲れたのか、昨日は1日ほとんど動けず。歯医者の支払いが滞り、本当は行きたいところもあったのですが、結局ほとんどコタツの中で過ごし、愛妻ちゃんと息子くんが帰ってくるのを待ちます。炊事も何もしないまま夜になって帰ってきた愛妻ちゃんに炊事をお願いできるはずもなく、夜になってちょっとお出かけ。

行った先はファーストフードのハンバーガー。それにチキンナゲットをつけます。そりゃ〜、お腹周り痩せねえよなぁ、と1人ツッコミ。

今日は先週お誘いいただいたメンバーの方々の中からまた別のお誘いをいただき、ゴルフへと行ってまいりました。お天道様、今年は今一つ体の調子がよくないようで、本格的な春の準備がまだできていないようです。今日はこんな感じの曇り空。

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お昼過ぎに始めたのですが風が強い日で、寒風が身にしみました。少し暖かくなるかな、と期待して下にはポロシャツを着ていたのですが、結局着ていたセーターすら脱ぐことはないままのラウンド。特にコンペとかではないので、スコアは聞かないことにしてください。

後半になって少し日も差し始め、風が弱まると少し暖かくなります。

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ちなみに正面に見えるの、ホールとホールの境ではありません。コースの真ん中を草むらが通ります。そしてその18番ホールの最後がこれ。

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あまり当たっていなかったアイアンが最後の最後になって芯を捉え、池の中へと一直線でした。ゴルフは難しいです。製薬会社勤務時代は練習にもよく行っていましたが、なかなかスコアは上がりませんね。しかしよりにもよってグリーンの手前に大きな池。そしてそんな時に限って芯に当たってしまう裕坊のアイアン。いつもの裕坊ゴルフです。ゴルフは難しいです。

それでもときどきまぐれも起こります。パットで突然開眼したかのように転がすことがあります。1パットで10メートルをねじこんでしまい、パーを取ったりしてしまいます。こんなことがたまにですが起こるので、ゴルフはやり出すとやめられません。でもそんなことはたまに。あくまでたまにです。

そのあとはメンバーの方のお家にお邪魔して、夕食までいただいて帰りました。とても気の利いたユーモアのある方がたくさんで、裕坊も会話がとても弾みます。とても楽しいひと時を過ごさせていただきました。

明日は息子くんのサッカーの試合。ほんのちょっとの距離ではありますが、遠征にはなりますので、30分ほど運転して試合会場まで。2週連続で入っている週末のお休み。家族や友人とともに過ごせる楽しい休日。そんなときは時間が経つのが本当にあっという間です。

 

裕坊

 

 

航空気象予報の読み方、第2弾です

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皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

いきなり皆さんの目を釘付けにしてしまいそうな写真を載っけてみました。夏になるとよく目にする光景ですね。今日から日本はいよいよゴールデンウィーク。週末はまずまず全国的にお天気も良好なようです。航空気象の予報を見ていても、かなり穏やかな予報になっています。

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RJAAは成田空港、RJBBは関空

成田空港は午前5時現在の気温が14度。予報では北からの風が3メートルでほぼ快晴。視界を遮るものもなし。

関西空港周辺も同じように午後5時現在の気温が14度。予報では北東から約4メートルの風。ほとんど雲のない快晴で、とても凌ぎやすそうです。週末もまずまず穏やかな日が望めそうです。この週末はお出かけ日和になりそうですね。

こんな風に航空気象予報に記載される情報量が少ない時は、大抵お天気であることが多いですね。ではもし、雨や雪、積乱雲や霧などが出て来たら航空気象ではどんな風に掲載されるのか、ちょっと今日は解説してみます。

今日はアメリカ東海岸のボストン、ニューアーク、またフロリダ州のマイアミでそれぞれ雨や霧などが発生しているようなので、その情報を取り上げてみました。

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KBOSとはボストン・ローガン国際空港。そのボストンの気象状況を取り上げてみます。

KBOS 271954Z 06007KT 3SM RA BR FEW032 BKN048 OVC060 09/08 A2983 RMK A02 PRESFR SLP101 P0011 とあります。

発表時刻がグリニッジ標準時で4月27日19時54分。日本時間だと28日の午前4時54分、アメリカ東海岸東部時間は夏の間はグリニッジ標準時から4時間遅れますので、ボストン現地時間だと27日午後3時54分ですね。

風が60度の方向、北東から7ノット、およそ3メートルで視程が3マイル、およそ5キロとあります。その次に出てくるRA、BR、これが今のお天気の様子を示しています。想像いただけたかも知れませんが、RAとはRainの略。すなわち雨。現地時刻午後4時現在で雨が降っていることを示しています。その後ろにあるBRは英語ではMist、もやのことを指します。雨のために少しもやがかかっていて、視界もほんの少し遮られているようですね。

予報の方はどうなっているでしょう。

272006Z 2720/2824 10007KT 3SM RA OVC035

   FM272030 09007KT 2SM RA OVC015

   FM272200 07007KT 3SM −RA OVC008 最初の3行がこうなってますね。

気象予報が作成されたのがグリニッジ標準時で27日午後8時6分。現地時刻で午後4時に作成されています。この予報が使えるのはグリニッジ標準時で27日午後8時から28日24時まで。現地時刻では27日午後4時から28日午後8時まで有効です。

風向風速は100度、ほぼ真東から7ノット、約3メートルの風。視程が3マイル、およそ5キロ。そのあとに気象状況と同じくRAとあります。予報でも雨になっています。そしてOVCですから雲で空が完全に覆われてしまい、雲底が3,500フィート、およそ地上から1,000メートルの高さに雲があるとの予報です。

次の行に行くとFM272030 09007KT 2SM RA OVC015 とあります。

ここのFMとはこの時間からという、英語でのFromを意味します。グリニッジ標準時で27日午後8時30分 現地時刻では午後4時30分からの予報ですね。まず風向風速が90度の方向から、すなわち真東から7ノット、凡そ3メートルの風。視程が2マイル、およそ3キロへと落ちます。そしてRAとありますから、まだ雨が続くようです。その前まで3,500フィート、1,000メートルの高さにあった雲は1,500フィート、およそ地上から500メートルのところまで下がってくるようですね。湿気を多く含んだ空気がたくさんやってきていることが予想できます。

次の行は FM272200 07007KT 3SM −RA OVC008 となってますね。

グリニッジ標準時で22時以降、現地時刻では午後6時以降、風向風速はほとんど変わっていませんが、視程がほんの少しよくなり、3マイル、およそ5キロに回復する予報になってします。そして−RAとありますね。これは降雨の強度、激しさが少し緩やかになっていることを示します。−がつけばあまり降雨が激しくなく、+がつけば激しい降雨であることが示されます。−RAですから、小雨の予報だということですね。もし+RAと表示されると豪雨、大雨のことを表します。午後6時以降が小雨になるようですから、雨がひと段落すると考えていいようです。

このように何か特記するべきお天気の現象が予想される時は、2文字のアルファベットからなる記号でもって、気象の現象を表記します。この気象現象、視程と雲底の情報に間に表記されます。ここに何かが表示されると、悪天候を示すことが多いのです。

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次の段に行きますと、KEWRで表示される気象状況と予報とがあります。これはニューヨークのすぐお隣、ニュージャージー州にあるニューアーク空港。予報の第4行目を見てみてください。FM280700 VRB03KT 1/2SM FG VV004 とありますね。

視程が2分の1マイル、すなわち0.5マイルですから、メートル法に換算すると800メートルほどにまで落ちているのが分かります。その後ろにあるのがFG。これは英語でいうところのFog。すなわち霧ですね。霧が少しかかっていて、視界が悪くなることが予想されています。

ちなみにこの行、風向風速のところが VRB03KT となっていて、さらに雲底の情報のところが VV004 となっています。これは風向が安定せずに変わりやすい状態であることを示しています。英語ではVariable。大抵ほとんど無風に近い状態で示されることが多いです。そして雲底のVV003。これは英語ではVertical Visibilityといい、はっきりと雲とは特定できないが、真上に向かってどれほどの視程が効いているのか、を示しています。単位はフィート×100。003ですと300フィートなので、垂直方向には90メートルほどしか見通しが効いていないことを表します。視界が全体的にあまり効いていないようですから、高速道路などを運転する際に、ちょっと注意をした方がよさそうですね。

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最後にKMIA、マイアミ国際空港の気象状況と予報を見てみます。

気象状況を見ると、KMIA 272002Z 18008G19KT 7SM −RA FEW022 BKN070 OVC110 22/22 A2986 RMK A02 LTG DSNT ALQDS CB となっていますね。

現地時刻で午後4時現在、風が南から8ノット、およそ4メートルの風、そこでG19KTとあります。風向風速のあとにGとある場合は突風が吹いていることが分かります。GとはGustの略、突風。最大風速19ノット、およそ10メートルのやや強い突風が吹いているようですね。

視程は7マイルでおよそ10キロの視界、−RAとありますから、小雨も降っているようです。雲は完全に空を覆っていて、気温が22度、露点温度も22度ですから、空気中にしっかりと湿気が含まれているのが分かります。

予報を見てみます。1行目と2行目に注目です。

KMIA 271720Z 2718/2824 17008KT P6SM SHRA VCTS SCT030CB BKN050

  TEMPO 2718/2719 P6SM TSRA SCT025CB BKN045 BKN080

となっていますね。予報が作成されたのはグリニッジ標準時で午後5時20分、現地時刻午後1時20分。この予報はその日の午後2時から翌日の現地時刻8時まで有効。南からの風8ノット、およそ4メートル。視程はアメリカではマイル表示でその前にPがつくとそれよりも視界がいい、ということになります。P6SMですので、最低6マイルの視界が確保できるということですね。日本では9999と表示されます。

次の4つのアルファベットからなる2つの現象に注目です。一つ目がSHRA、次がVCTS。RAは雨。SHがつくと”にわか”であることが表記されるのですね。すなわちSHRAでにわか雨であることが分かります。にわか雨がどうやら空港で降る予報になっているようですね。次がVCTS。VCとは英語ではVicinity。近隣の地区でという意味で、直接空港の上では起こっていないが、航空機の運航上影響がある可能性がある場合に表示されます。そして次に来る2文字。TS。これは英語でThunderstormの略。サンダーストーム、日本語では雷電と呼ばれます。ゲリラ豪雨などをもたらす雷雨などが発生する場合に大抵使われる記号です。

次の行に行ってみます。TEMPO 2718/2719 P6SM TSRA SCT025CB BKN045 BKN080 とあります。

TEMPOとは英語でTemporary。一時的なという意味です。テレビなどのお天気情報でよく一時雨とか一時雪とか使われるやつです。グリニッジ標準時で午後6時から午後7時にかけて起こる一時的な現象の予報が書かれています。P6SMとありますので、視界には問題なさそうです。次が問題。TSRA。TS、すなわち雷電、そしてRAとありますから、雷雨がかなりの確率で発生することを示していますね。現地時刻では午後2時から3時の間になっていますから、その時間帯の雷雨には注意した方がよさそうです。

そしてその次のSCT020CB。空を半分ほど覆っている雲の一番下の部分は地上から2,000フィート。およそ600メートルのところから上に向かって伸びています。実はCB、これはCumulonimbosといって、雷雨をもたらす大きな積乱雲、通称入道雲って呼ばれる雲なのですね。雷雨に伴う入道雲が発生するのが、予報にもしっかりと記載されています。

既に時期が過ぎてしまいましたので、もうしばらく予報の中でも見ることはありませんが、SNは雪、FZRAとあると雨氷。DZであれば霧雨など、インターネットを使うとそれぞれの記号もすぐ検索できます。最近の天気予報は以前に比べて格段に精度が上がりましたが、さらに正確にお天気を知りたければ、この航空気象、かなり役に立ちます。正確な時間で掲載されていますから、雨や雪がいつ降りそうか、どれくらいの割合になりそうかなど、皆さんの普段の生活にもお役立ていただけると思いますので、是非活用してみてください。

かなり長くなってしまいました。本当にお付き合いありがとうございました。裕坊もさすがにここ2週間ほどバタバタでしたのでちょっとクタクタ。歯医者さんの支払い、そのままになってます。支払いの準備できていて、あとは小切手持って行くだけなのに、ずっと滞納のままです。T先生、ごめんなさい……………………

 

 

裕坊

 

航空気象、予報の読み方、第1弾です

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

今朝はアイオワ州の州都デモインのダウンタウンの端にあるホテルで朝食を済ませて、部屋に戻ってコーヒーをすすりながらキーボードを叩きます。今日も昨日に続いて夕方ゆっくりの出発。しかも担当便1本だけ。外は快晴で気分もゆったり。たまにはこんなことがあってもいいいよなー、と幸せな気分に浸る裕坊。

その一方で昨日のニューヨークは濃い霧に包まれていたようで、軒並み2時間、3時間の遅れ。ニューヨークでの離発着があった我がエンデバー航空のクルー、皆こぞって夜中の2時、3時くらいまでフライトをこなしていました…………………やっぱり天気の影響は大きいですね。ということで今日もちょっと航空気象の読み方、今日は予報の読み方を解説してみました。

昨日のブログを上げたときに使った気象予報をそのまま使ってみます。

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昨日は気象状況の読み方を書いてみました。予報も基本の読み方は同じ。そこに時間の要素がほんのちょっと加わります。

ではTAF RJAA 251700Z のところから。TAFとはこれが航空気象予報ですよ、ということです。次の4つのアルファベットRJAA、これが空港の記号。RJで始まると日本の空港で、RJAAだと成田空港。RJBBなら関空でRJGGならセントレア、RJTTなら東京羽田。

次に251706Zとあります。これはこの予報が作成された時刻を示します。使われる時間はグリニッジ標準時。25が日付で25日。1706が時間。すなわちイギリス時間で午後5時6分。日本時間を出すには9時間を足すといいです。するとこの予報が日本時間で4月26日の午前2時6分に作成されたことが分かります。(昨日のブログで8時間と間違って書いておりました。申し訳ありません)

次に書いてあるのが 2518/2700。これはこの予報が有効な時間帯。4桁のうちの最初の2桁が日付で後ろが時間。同じくグリニッジ標準時を使います。イギリスからの時差が9時間。それで計算すると日本時間で4月26日午前3時から4月27日午前9時間まで有効であることが分かります。

次が予報の本文。

01006KT 9999 FEW020 SCT030

   BECMG 2601/2603  08006KT

   BECMG 2615/2618  36003KT

順番は風向風速、視界の効き(視程)、雲の高さ(雲底)の順に並びます。もし雨や雪、あるいは霧やゲリラ豪雨をもたらす積乱雲などが予想されるときは、視程と雲底の間にその予報が入ります。

まずは風向風速から。

01006KTの最初の3つは風向。北が360度、東が90度、南は180度で西なら270度の方向。010度の方角ですから風はほぼ真北から吹いていることが分かります。次の2桁の06KTが風速で単位はノット。6ノットの風が吹く予報になっています。日本のお天気チャンネルで使われるのはメートル/秒。ノットの数字を単純に2で割ってください。するとメートル/秒に換算できます。6ノットであれば3メートル/秒です。予報ではほぼ真北からおよそ風速3メートルの風との予報ですね。歩いていてほとんど気になる風ではないようです。

次の4桁が視程。どこまで先が見えるのかが分かります。単位は日本のはメートル、アメリカだとマイルが使われます。9999とありますので、視界を遮るものはなさそうですね。1000を切ると霧が出ることが予想されますので、運転などのときに注意をした方がいいようです。

次が雲の状況です。この日の成田は FEW020 SCT030 と書いてあります。まずは最初の3つのアルファベットから。雲が空を覆う割合に応じて、5つの記号が使い分けられます。

雲が少ない方から SKC FEW SCT BKN OVC。

SKCはSky Clearの略ですなわち快晴。雲がない状態ですね。FEWとは英語でかなり少ないの意味。ほんの少し雲が出ているものの、量はかなり少ないことを示します。SCTはScatteredの略で、雲が空全体に散らばるように広がっていることを表します。BKNはBrokenの略。雲に少し切れ目が入っている状態。ほとんど空が雲で覆われている状態です。OVCはOvercastの略で、完全に空が雲で覆われてしまっていることを示します。

その後ろに来る3桁の数字が、雲の一番低い部分の地上からの高さを表します。単位はフィート。020であれば2,000フィート。これに0.3をかけるとメートルが算出できます。020すなわち2,000フィートであれば、雲の一番低い部分が地上から600メートルの高さにあることが分かります。

雲の量が多く、さらに高度が低ければ低いほど空気が湿っていて、雨や雪などが降る確率も高くなります。逆に雲の割合が少なく高度が高い位置にあると、空気が乾燥していることが多いので、晴れる確率が高くなりますね。

この日の成田は FEW020 SCT030 ですから雲の一番低い部分は地上から600メートル、900メートルの位置にあり、そんなに雲の割合は多くありませんから、取りあえずお天気は持ちそうな感じです。

次の行のBECMG。これはBecomingの略で、徐々にお天気が変わっていく予報が入力されます。最初の行で 2601/2603 08006KT とあります。最初の合計8つの数字で表されるのが時間帯。同じように日付時間/日付時間で読んでいくと、グリニッジ標準時で26日午前1時から26日午前3時、すなわち日本時間で26日午前10時から26日午後12時の間にかけて、風向風速が080度の方向、6ノットへと変化する、と読み取ることができます。すなわち3時間の間に徐々に風がほぼ真東からに変わり、風速はそのまま3メートル/秒であることが分かります。

次の行も同じように読むことができます。日本時間で27日午前12時から27日午前3時の間に、風向がまた真北に戻り、風が弱まって1.5メートルの風になることが分かります。

またまたずいぶんと長くなってしまいました。本当にお付き合いありがとうございます。次は雨や雪、霧や積乱雲などが予想されるときの予報を追ってみますので、またお付き合いください。

 

裕坊

 

気象情報の読み方、解説してみます。

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皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

ミルウォーキー空港の近くにあるホテルの窓を開けて、お昼下がりの出発までの時間をゆっくりと楽しむ裕坊。スケジュールの変更が入り、ミルウォーキーからミシガン湖を超えてデトロイトまで。そのあと再びミシガン湖を西へ向けて飛び越えて、アイオワ州の州都であるデモインへと行くことになりました。明日は夕方ゆっくりと出発してデトロイトまで1本のフライトだけ。昨日一昨日と空港での待機が長かったこの4日間のフライト。最後に来てちょっとしたご褒美となりました。

このお仕事は天気にかなり影響を受けます。冬の間は雪に雨氷、夏の間は積乱雲に大雨、風の影響も大きく、風向はもちろん、風の強さなども気になります。そこでスケジュールが変更になると職業病のように必ず開けてしまうのが航空気象のホームページ。折角ですので、航空気象の読み方を少し解説してみたいと思います。最近の航空気象はとても精度が高く、読み方を知っていますと皆さんの普段の生活にも使っていただけるかなりのスグレモノ。

今日はまず記号の読み方から。 aviationweather.gov/taf  をコピペしてホームページを開けてみてください。こんなホームページが出てきます。

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赤で囲んである部分に緑色で囲んだ小さな入力欄があります。そこに4桁の空港コードを入力。アメリカの空港はKで始まる4つのアルファベットで、ケネディであればKJFK、デトロイトであればKDTW。日本はRJで始まる4文字のアルファベット。成田ならRJAA、関空であればRJBB、セントレアはRJGG、福岡板付ならRJFF、札幌千歳ならRJCCといった具体。アメリカの航空気象のホームページですが、日本の空港コードさえ入力すれば、日本の空港の天気も調べられます。インターネットで調べれば、空港コードも簡単に検索可能。それを入力して Get TAF Data をクリックします。今日はまず気象状況の読み方を追ってみますので、Include METARにチェックマークを入れて情報をゲット。

今の日本まずまずお天気が安定しているようです。そこで少しお天気が下り坂になっているアメリカ東海岸と積乱雲の予報が出ているアトランタも一緒に入れてみました。するとこんな画面が出てきます。

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今日はまず気象情報の読み方から。

1番上の段のRJAAの行、これが現在の気象状況。成田空港における現在の状況を示しています。その下の段にTAFとあり、これが予報になります。TAFとはTerminal Aerodrome Forecastの略。Aerodrome とはイギリス英語で空港のことを指し、Forecastが予報。

ではまず一番上のRJAAから。251800Zとありますね。最初の2つ、25は25日。日付です。1800Zとは世界標準時グリニッジ子午線の標準時の時間です。航空気象ではほぼ例外なくこのグリニッジ標準時間で表示されます。日本時間に直すには単純にこれに9時間を足すと出てきます。18時のイギリス時間に9時間を足すと午前3時。即ちこの表に示されているのは4月26日午前3時の成田空港の気象状況。

そのあとに風向風速、視程、雲の状況、気温、露点温度、海面気圧と続きます。

気象状況のデータを取得した時刻を示したあと、07009KTとあります。最初の3桁が風向。次の2桁が風速。方角は360度を一周とする3桁の数字で表されます。北が360度。東が090度で、南が180度、西は270度の方向。070であれば東北東方向ですから、ほぼ東からの風が吹いていることになります。09KTとは9ノット。日本のお天気チャンネルなどでよく表示される風速はメートル/秒。単純に2で割るといいです。9ノットですから、およそ4.5メートルの風。今の成田地方、歩いていてもほとんど気にならない風のようです。

次の4桁は視程。日本ではメートルで表示されます。9999とは視程9999メートル、即ち視界を遮るものがない状態。霧などが出て視界が少し遮られるようになると、3000とか2000など数値も落ちてくるようになります。これが1000を切るようになると濃霧に注意した方がいいようです。今の成田は霧などの視界を遮るものは何もないようですね。

次にFEW010 SCT030 BKN040 とあります。これが雲の状態。雲底と呼びます。最初の3つのアルファベットがどれくらい雲が空全体にかかっているかを示し、次の3つの数字がそれぞれの雲の一番下の部分がどれほどの高さにあるかを示します。数字はフィート基準。010とあると1,000フィート。1,000フィートで約300メートルくらいの高さになります。

空全体に対して雲が覆う割合によって最初のアルファベットが決まり、雲が少ない方から順番にSKC、FEW、SCT、BKN、OVC。

SKCとはSky Clearの略で快晴の状態。雲がない状態を示します。FEWはほんの少しの雲、SCTになるとまだ青空こそ見えるものの、雲の量が増え、BKNになると空のほとんどが雲で覆われる状態を表し、OVCになると完全に雲で覆われてしまいます。

FEW010だとほんのちょっとの雲が1,000フィート、即ち地上から300メートルのところにあり、SCT030で示されるのは、さらに量が多めの雲の層が地上から3,000フィート、およそ900メートルくらいのところに浮かんでいて、BKN040が空全体をほとんど覆ってしまっている雲の層が地上4,000フィート、およそ1,200メートルくらいのところにあることを表しています。午前2時の成田はかなり雲が出ているようですね。

次に15/14と出てきます。これは温度と露点温度。温度はそのまま今の気温。成田地方の2時現在の気温は15度。まずまず凌ぎやすい気温のようです。

次にあるのが露点温度と呼ばれ、湿度がこれで分かります。露点温度が気温に近ければ近いほど、水蒸気が簡単に水に凝結しやすく、即ち湿気を多く含むことを示します。

霧が出ている時や雲底がかなり低く、雨が降りやすいときは温度と露点温度がかなり近くになります。逆に露点温度が気温から10度以上開いているとなかなか水蒸気が凝結しにくい状態。空気中にあまり水蒸気が含まれていないことを示します。即ち空気が乾燥しているのですね。このときは晴れていることが多いです。今日の成田は少し雲が多く、空気も若干湿っているようですね。

次のQ1003は成田地方の海面気圧。アメリカでは水銀柱ミリメートルが今現在も使用されていますが、国際的にはほとんどヘクトパスカルで示されます。標準気圧は1013.2ヘクトパスカルで、それよりも高い数値であれば高気圧に覆われていることが多く、好天であることが多いです。逆にそれより低いと低気圧に覆われている可能性が大ですから、お天気が下り坂になることが多いようですね。今の成田地方、若干気圧が低くなってますからお天気が下り坂であるか、悪天候が過ぎ去った可能性が高いことが分かります。

ちょっと長くなってしまいました。お付き合いありがとうございます。次のブログで予報の読み方を追いますので、またお付き合いください。

 

裕坊